タイク

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タイク(Tyke)
ファイル:Tyke, Elephant Outlaw.jpg
市街を走り抜けるタイク 撃ち殺される数分前
生物アフリカゾウ
性別
生誕1973年
モザンビーク
死没1994年8月20日
アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル
職業サーカスのゾウ
著名な要素カカアコを暴れ回り、アレン・キャンベルを殺し、ほか13人を負傷させた。

タイクTyke1973年 - 1994年8月20日)は、ハワイホノルルのサーカス団に所属し、長期間虐待拷問を受けていた雌のアフリカゾウである。1994年8月20日にニール・ブレーズデル・センター(Neal Blaisdell Center)での公演中に、調教師アレン・キャンベル(Allen Campbell)を押し潰し殺害した後逃走した。タイクはその後、劇団からカカアコ(Kakaʻako)中央ビジネス地区までの通りを30分間超走り回った。地元の警察はタイクに発砲し、86発の弾丸が命中して殺処分された。劇団内での攻撃の大部分は、観客数人によってビデオ映像に撮影された。後から来たカメラマンのビデオ映像は、地元の広報係員であるスティーブ・ヒラノ(Steve Hirano)への攻撃と、タイクへの銃撃を捉えた。(どちらも建物の外で行われた)。

背景

当時のタイクの責任調教師タイロン・テイラー(Tyrone Taylor)(ドキュメンタリー映画でインタビューされた)によると、タイクは1994年8月の攻撃の前に3つの事件に関与していた。[1][2]

1993年4月21日-22日

1993年4月21日に、タイクは公演中にペンシルベニア州アルトゥーナ (ペンシルベニア州)のジャファ・シュライン・センター(Jaffa Shrine Center)の正面玄関から逃げ出し、1時間のあいだ拘束されないでいた。この大暴れは14,000ドル超の損害を引き起こした。翌日アメリカ農務省(USDA)がとあるサーカスの職員から入手した宣誓供述書によると、サーカスがアルトゥーナにいる間タイクはトラの調教師1人を攻撃したともある。[3]

1993年7月23日

1993年7月23日に、タイクはノースダコタ州マイノットでのノースダコタ・ステート・フェアで暴れ回り、訓練士1人を踏みつけ負傷させ、25分間制御不能のままに走り回ったために群衆をおびえさせた。("ran amok at the North Dakota State Fair in Minot, North Dakota, trampling and injuring a handler and frightening the crowd as [she] ran uncontrolled for 25 minutes")

アメリカ農商務省とカナダの法執行文書は、「タイクという名前のホーソーン社所属のゾウ(Hawthorn elephant)(前述の事件4件に関与したのと同一のタイクである可能性がある)がターザン・ザービニ・サーカス団(Tarzan Zerbini Circus)と共演している間、ゾウ調教師が一本牙のアフリカゾウを、そのゾウが殴打を避けるために悲鳴を上げ、3本足でかがみこむまで、続けざまに殴打しているのが目撃された。これの後、その調教師がそのゾウのそばを歩いたときでさえ、そのゾウは彼の存在に対する恐れを示して、悲鳴を上げ、彼の方を見るのですらも避けていた。」と述べている。("The elephant handler was observed beating the single-tusk African elephant in public to the point [where] the elephant was screaming and bending down on three legs to avoid being hit.Even when the handler walked by the elephant after this, the elephant screamed and veered away, demonstrating fear from his presence.")[3]

死傷事故

映像外部リンク
"Tyke the Elephant's Last Day on Earth" (contains graphic content)

1994年8月20日に、タイクはハワイ州ホノルルでの公演中に、動物美容師のダラス・ベックウィズを投げつける、踏みつけるなどして重傷を負わせ、その後調教師アレン・キャンベル(Allen Campbell)を殺害した。キャンベルはタイクの攻撃中に、ベックウィズがタイクに踏み殺されることから救おうとした際に地面に倒され、引きずられ、タイクの鼻で押しつぶされて死亡した。タイクはその後アリーナから外の市街に突進した。タイクはさらに、サーカスの駐車場から逃げようとするタイクをその場に閉じ込めようとした広報係員スティーブ・ヒラノを攻撃し、押し倒した。近くの警察官が襲撃を見てタイクに複数の銃弾を発射し、タイクの気を逸らしてタイクをヒラノから離れさせた。タイクを追いかけて30分後、地元の警察が8,000ポンド (3,600 kg)のゾウに弾丸86発を発射し、タイクは死亡した。[4]

余波

1994年8月20日のハワイの事故の後、タイクはサーカスの諸悲劇を表象し、動物の諸権利の象徴となった[5]。その後、ホノルル市、ハワイ州、問題のサーカス、タイクの所有者ジョン・クネオ・ジュニア(John Cuneo Jr.)と彼のホーソーン社(Hawthorn Corp.)に対して訴訟が提起された。ホノルル市の弁護士ウィリアム・フェントン・シンク(William Fenton Sink)は、タイクの殺害を目撃した後に精神的傷害を負った若年児童を含む多くの原告に代わってクネオを訴えた。訴訟は法廷外で和解した一方で、金銭的決定の詳細は公表されなかった。 Animal Rights Hawaii は、タイク事件でのシンクの業績に敬意を表して、その「"Order of the Innocent Award"」を、The William Fenton Sink Award for Defense of Animalsに改名した[6]

アレン・キャンベルの検死は、彼が主要な頭蓋骨と胸部の骨折を含む、重度の内傷のために死亡したことを明らかにした[7][8]

タイクの事件はハワイと海外の地方レベルで立法の必要性を与え、カリフォルニア下院議員サム・ファー(Sam Farr)は1999年と2012年に下院に法案を提出した(HTM HR2323[9]

大衆文化

ハードコア・パンク/パワーバイオレンス・バンド Man Is the Bastardは、この象の脱出と反乱についての曲「"Tyke"」を書いた。この曲は1995年のアルバム『Thoughtless...』に収録された[10]

クリスチャン・スラッシュ・メタル・バンド Tourniquetは、動物虐待に対する姿勢で知られ、2012年のアルバム『Antiseptic Bloodbath』でタイクについての歌「"86 Bullets"」を書いた[11]

作家K.A. Monroe はタイク事件によって遺憾を受け、人気のある独立した児童書『Tyke and the Elephant Angel』を出版した[12]

タイクはまた以下のものでも見られる、The History Channel show『Shockwave』、『World's Most Amazing Videos[13]、『Banned from Television[14]、そして『Maximum Exposure[15]

Hawaii Five-O リメイクも、シーズン6エピソード20『Ka Haunaele (Rampage)』で、ホノルル攻撃について言及している。

ハード・ロック・バンド 86Bullets は、タイクの殺害にちなんで名付けられた。 そして、事件についての曲「"Hail of Bullets"」があり、2017年の ep「"The Elephant in the Room"」に登場する[16]

脚注

  1. ^ Documentary: Tyke Elephant Outlaw (2015 Lambert, Moore)”. 2018年7月1日閲覧。
  2. ^ Valencia, Nanette. “The film TYKE ELEPHANT OUTLAW”. American Film Institute. 2021年3月17日閲覧。
  3. ^ a b Factsheet: Hawthorn Corporation (John Cuneo)” (PDF). Peta.org. People for the Ethical Treatment of Animals (2010年6月22日). 2013年7月8日閲覧。
  4. ^ Vorsino, Mary (2003年12月21日). “Steve Hirano obituary”. Honolulu Star-Bulletin. http://archives.starbulletin.com/2003/12/21/news/story10.html 2013年7月8日閲覧。 
  5. ^ Bernardo, Rosemarie (2004年8月16日). “Shots killing elephant echo across a decade”. Honolulu Star-Bulletin. http://archives.starbulletin.com/2004/08/16/news/story2.html 2013年7月8日閲覧。 
  6. ^ Hoover, Will (2004年8月20日). “Slain elephant left tenuous legacy in animal rights”. The Honolulu Advertiser. http://the.honoluluadvertiser.com/article/2004/Aug/20/ln/ln19a.html 2013年7月8日閲覧。 
  7. ^ Sahagun, Louis (1994年10月11日). “Elephants Pose Giant Dangers”. The Los Angeles Times. http://articles.latimes.com/1994-10-11/news/mn-49101_1_captive-elephant 2014年3月14日閲覧。 
  8. ^ Parsons, Jim (2002年11月21日). “Archived copy”. 2011年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年12月26日閲覧。
  9. ^ Strand, Patti (2012年1月9日). “Congress Considers Ban on Performing Elephants”. National Animal Interest Alliance. 2013年7月8日閲覧。
  10. ^ Man Is The Bastard – Thoughtless..., web page on www.discogs.com (accessed on March 23, 2016)
  11. ^ Antiseptic Bloodbath”. Bandcamp.com (2012年7月). 2013年7月8日閲覧。
  12. ^ Tyke and the Elephant Angel”. www.goodreads.com. 2021年3月17日閲覧。
  13. ^ World's Most Amazing Videos: Tyke the Elephant Rampage”. YouTube (2017年3月28日). 2021年3月7日閲覧。
  14. ^ Banned From TV 2 (1998)”. YouTube (2017年10月9日). 2021年3月7日閲覧。
  15. ^ Maximum Exposure 01x03: Nasty, Nasty Critters”. YouTube (2016年11月29日). 2019年4月5日閲覧。
  16. ^ 86 Bullets - Music”. 86bullets.com. 2021年3月17日閲覧。

外部リンク