二行連
二行連(にぎょうれん;二行連句、対句、couplet, カプレット、カプリット、クプレ)は2行で1組の韻文(詩)。通常押韻され、同じ韻律を持っている。文化によっては、それぞれの文化に関連した装飾的な伝統を持っている。たとえばアフリカでは部族の精神的指導者が主に用いる。
西洋詩の二行連
[編集]伝統的に西洋の二行連は効果的な押韻であるが、すべての二行連が押韻されているわけではない(同様に、詩は空白を用いて二行連を区分する)。iambic pentameter(弱強五歩格)の韻律を持つ二行連はヒロイック・カプレット(heroic couplets, 英雄対句、英雄対韻句、英雄対連、英雄詩体、英雄詩体二行連句、英雄二行詩 )と呼ばれる。エピグラム(警句)も二行連で作られる。さらに、シェイクスピア風ソネット(シェークスピア風十四行詩)の最後の二行連のように複雑な押韻構成を持つ場合もある。
押韻された二行連は、詩の中でも、最も単純な押韻構成のうちの1つである。ジェフリー・チョーサーの『カンタベリー物語』はこの押韻された二行連を使って書かれている。17世紀のジョン・ドライデンと18世紀のアレキサンダー・ポープは、ともにヒロイック・カプレットで書いた詩が有名である。
押韻された二行連では、押韻がすぐ来るので、押韻それ自体に気が取られる傾向がある。押韻された良い二行連は、押韻およびすぐ終わることの両方から「ピリッ」とした傾向にある。次に挙げるのは、押韻の響き同様に、その「ピリッ」とした感覚を持った好例である。
- True wit is nature to advantage dress’d;
- What oft was thought, but ne’er so well express’d.
- -- アレキサンダー・ポープ『批評論』Part II
- Whether or not we find what we are seeking
- is idle, biologically speaking.
- -- エドナ・ミレイ 『I Shall Forget You Presently』の最後の二行連
一方で、押韻された二行連は押韻構成が予測がつくため、人工的でとぼとぼ歩きしているように感じられるかも知れない。ポープは18世紀当時の予測のつく押韻を(二行連を使って)次のように茶化した。
- Where-e'er you find "the cooling western breeze,"
- In the next line, it "whispers through the trees;"
- If crystal streams "with pleasing murmurs creep,"
- The reader's threatened (not in vain) with "sleep."
- (大意)あなたが「the cooling western breeze(冷たい西のそよ風)」という言葉を見付けたら、きっと次の行に「whispers through the trees(木々を抜けるささやき)」という言葉がくる。もし水晶が「with pleasing murmurs creep(心地よい響きをたてて)」動くのなら、読者は「sleep(眠気)」に誘われる(効果がないわけではない)。
中国の対聯
[編集]南アジアの二行連
[編集]タミル語のクラル(en:Kural)もまた押韻された二行連である。ティルヴァッルヴァルの『ティルックラル』(en:Thirukkural)はクラルで書かれた有名な本(箴言集)である。