カーネ・ディ・マチェライオ
カーネ・ディ・マチェライオ(伊: Cane di Macellaio)とは、現在は絶滅したイタリア原産の闘犬用犬種である。
歴史
ナポリタン・マスティフにチベタン・マスティフなどのモロシアン・タイプの犬種を交配させたものをもとに作出された。コロシアムでライオンや犬、人間と戦うのに使われていた闘犬である。また、犬種名は「屠畜人の犬」を意味していて、その名の通り料理に出す牛や羊を屠殺したり、重い犯罪を犯た犯人を処刑するなどといった恐ろしい使役も担っていた。そのため、ギリシャ神話に登場する地獄の番犬、ケルベロスのモデルにもなった。恐ろしい外見であり、死を司っているという点で両者は共通している。
闘犬が禁止されてからは牛追い(キャトル・ハーダー)と牛や羊の屠殺のみを行うようになったが、他国から輸入されたマスティフタイプの犬種との雑種化が進み、純血種としては絶滅してしまった。
カーネ・ディ・マチェライオの純血種のものはいなくなってしまったが、これを憂慮した愛好家が牛追い・番犬用のとして使える犬種にするために血を強く継ぐ雑種犬を集め、十数年をかけてもとの姿を保ちながらも、より扱いやすい性格に改良した。そうして再構築した犬はイタリアン・コルソ・ドッグという別犬種として生まれ変わった。
また、ロシア革命によって絶滅したロシア原産のメデランという犬種は、このカーネ・ディ・マチェライオの子孫であると考えられている。
特徴
カネ・コルソよりも体高が高く、体高は90cm近くもあった巨大な犬種である。マスティフタイプの体型で、垂れ耳は断耳して立たせ、垂れ尾は短く断尾した。マスティフタイプであるが皮膚はたるんでおらず、スムースコートで毛色はブラック系のもの。性格は獰猛で、一流の腕が無ければ手懐けられないといわれていた。
参考
- 『デズモンド・モリスの犬種事典』(誠文堂新光社)デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年
- 『犬のカタログ2004』(学研)中島眞理 監督・写真