アムフリート

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アムフリート
アムフリートの外観(アムフリートI)
基本情報
製造所 バッド社
主要諸元
軌間 1,435 mm
最高速度 201 km/h
車両定員 座席84人
自重 48 t (座席車)
50 t (カフェ車)
全長 25.91 m
全幅 3.035 m
全高 3.861 m
車体 ステンレス
制動装置 空気ブレーキ
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アムフリート(Amfleet)は、アムトラックが保有する一階建て客車である。「アムフリート客車」とも呼ばれる。バッド社により1970年代より1980年代にかけて製造された。アムトラック発足以来最初に発注された客車である。 車体寸法は長さ85フィート(26m)、幅9フィート11.5インチ (3.4m)、高さ12フィート8インチ(3.9m)。

2014年現在、アムトラック列車において広範囲で使用され、一階建て客車の主力として活躍している。2階建てスーパーライナーと並んでアムトラックを代表する車輌である。

歴史

ベースとなったメトロライナー電車

アムトラックは1971年の発足に際し、それまで旅客列車を運転していた私鉄各社より約1,200両の蒸気暖房の客車を継承した。しかし、ヘリテージ英語版と呼ばれたこれらの客車は老朽化が著しく、混結に適していない場合も多かった。 そのため客車の標準化の必要性から[1]、アムトラックは新造客車として「アムフリート」を二次に分け発注した。 このアムフリートは同じバッド社製「メトロライナー」電車をもとに設計されたため、丸みを帯びコルゲートで覆われた独特の車体や側面の固定窓の形状などの類似点が見られる。

アムフリートI

アムフリートIの座席

最初の発注は1973年10月12日に、70台の EMD SDP40F形ディーゼル機関車GE E60形電気機関車英語版11台と同時になされた[2]:194-204

最初の"アムフリートI"として知られるグループは計492両で、内訳は以下の通りである[3]:194-204

  • 「アムカフェ」(Amcafe) - スナックバーと呼ばれる軽食などの販売カウンターを中央部に持ち、51席の座席を有する合造車。全54両。
  • 「アムダイネット」(Amdinette) - スナックバーによる軽食の提供と食堂車としての設備を併せ持つ。4人がけボックスブース席を8つ備え、23の座席を有する。全37両。
  • 「アムクラブ」(Amclub) - スナックバーと呼ばれる供食カウンター、18のクラブ・シートと呼ばれる上級客席、23席の普通席を有する合造車。全40両。
  • 「アムコーチ」(Amcoach) - 60席を有する長距離列車用の座席車。全90両。
  • 「アムコーチ」(amcoach) - 84席を有する短距離列車用の座席車。全271両。

アムフリートの第一陣は1975年8月5日より運転を開始した[2]

アムトラックは「1975年はアムフリートの年である」とPRし、時刻表においてもアムフリート使用の列車を「アムフリート・サービス」と明記し強調した[1]

アムフリートII

アムフリートIIの座席。座席下部にレッグレストを備えている。
ヘリテージ荷物車、ビューライナー寝台車、ホライゾン客車などと混結で運転されるアムフリートII(中ほどより後ろに連結されている丸い客車)

アムトラックは1981年から1983年にかけて二次発注をかけ、"アムフリートII"と呼ばれるグループが総計150両誕生した[3]:194。内訳は以下の通りである。

  • 「アムコーチ」(Amcoach) - 59席を有する長距離座席車。全125両。
  • 「アムラウンジ」(Amlounge) - スナックバーおよび10の4人がけボックスブース席を備え、さらに17席を備えるラウンジカー。全25両。

これらアムフリートII車輌は長距離列車の座席車の置き換えを目的として導入されたため、大きな窓ガラス、広いシートピッチ、折りたたみ式のレッグレストを備えている[4]

これらアムフリートIIは座席車および軽食堂車のみの製造であり寝台車は製造されなかったため、夜行列車の多いアムトラックにおいて、座席車などをアムフリートに置き換えた上で旧来の荷物車寝台車食堂車などと混結での運転も広く見られた。

運用

アムフリートで運転される列車(ノースイースト・リージョナル)

アムフリートは米国北東部の架線電化区間や狭隘トンネルに対応しているため、北東回廊線などこの地域のアムトラック列車で重点的に使用されている。一例として、アセラ・エクスプレスと共に高速運転される「ノースイースト・リージョナル」が挙げられる。

アムフリートはサン・ホアキンなどカリフォルニア州各線でも用いられていたが、1990年代以降ホライゾン客車を経て2階建ての「カリフォルニア・カー」に置き換えられたため、これら西海岸地区での運用はほぼ消滅した。7月、8月のデルマー競馬場輸送や感謝祭の際運行される、いわゆる多客臨サンディエガン英語版区間に一列車残るのみである。 西海岸北西部を走るアムトラック・カスケーズにおいても、アムフリートは使われずタルゴ客車で運転されている。

脚注

  1. ^ a b Amtrak. “Digging into the Archives: Introducing Amfleet”. 2014年6月8日閲覧。
  2. ^ a b “August and September in Amtrak History”. Amtrak Ink 15 (8): 20. (August–September 2010). http://www.amtrak.com/servlet/BlobServer?blobcol=urldata&blobtable=MungoBlobs&blobkey=id&blobwhere=1249213842811&blobheader=application%2Fpdf&blobheadername1=Content-disposition&blobheadervalue1=attachment;filename=Amtrak_AmtrakInk-082310.pdf. 
  3. ^ a b Simon, Elbert, David C. Warner (1996). A Field Guide to Trains of North America. Kansas City, MO: White River Productions. OCLC 33242919 
  4. ^ “Amtraking”. Trainmaster (Pacific Northwest Chapter of the National Railway Historical Society) (244). (November 1981). http://www.pnwc-nrhs.org/Trainmaster1981/TM-1981-11.pdf. 

関連項目