アバクロンビー&フィッチ
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | |
略称 | ANF、A&F、AF、アバクロ |
本社所在地 |
アメリカ合衆国 オハイオ州ニューオールバニ |
設立 | 1892年6月4日、ニューヨーク州ニューヨーク市 |
業種 | 小売業 |
事業内容 | 衣料品の商品企画・生産・販売 |
代表者 | マイケル・ジェフリーズ(会長・CEO) |
売上高 | 3.54B米ドル |
純利益 | 227.2M米ドル |
従業員数 | 94,600(2007年) |
主要株主 |
Fidelity Management & Research (11.99%) Capital Research Global Investors (7.54%) Barclays Global Investors NA (California) (5.21%) Columbia Wanger Asset Management LP (4.80%) Edinburgh Partners Ltd. (4.59%) Orbis Investment Management Ltd. (4.34%) |
主要子会社 |
Abercrombie & Fitch Holding Corp. Abercrombie & Fitch Fulfillment Co. Abercrombie & Fitch Distribution Co. Abercrombie & Fitch Management Co. A&F Trademark, Inc. Abercrombie & Fitch Stores, Inc. Hollister Co. Abercrombie & Fitch International, Inc. Ruehl No. 925, LLC Gilly Hicks LLC Abercrombie & Fitch Europe SA Abercrombie & Fitch Japan KK Abercrombie & Fitch Hong Kong Ltd. Abercrombie & Fitch (UK) Ltd. AFH Canada Stores Co. Abercrombie & Fitch Trading Co. |
外部リンク | www.abercrombie.com |
アバクロンビー&フィッチ(Abercrombie & Fitch 、A&F)は、
本社は、アメリカ合衆国オハイオ州ニューオールバニ。日本での通称はアバクロ。ロゴマークはヘラジカ。俳優や歌手などの有名人が愛用することでも有名。店員に白人男性を優遇したりして、物議を醸したりしたこともあった[1][2]。
アバクロンビー&フィッチ以外にセカンドラインとして1998年から7-16歳が客層の「アバクロンビー」(abercrombie )、2000年から14-18歳が客層の「ホリスター・カンパニー」(Hollister Co. )、2008年から下着やラウンジウェア専門の「ギリーヒックス」(Gilly Hicks )というブランドを展開している。2004年から22-35歳が客層で展開していた姉妹ブランド「ルールナンバー925」(Ruehl No.925 )は2010年1月末で使用されなくなった。
概要
アバクロンビー&フィッチは1996年にリミテッドからスピンオフされ、現在はニューヨーク証券取引所(NYSE: ANF)に上場している。2007年12月末には、アメリカ国内ではアバクロンビー&フィッチを359店、アバクロンビーを202店、ホリスターを444店、ルールナンバー925を21店運営していたが、ルールナンバー925は2010年1月に閉店した[3]。
海外展開
アメリカでは350店舗以上を展開しているが、海外展開にはこれまで消極的であった。
現在アメリカ国外では、カナダでアバクロンビー&フィッチとアバクロンビーを各5店、アバクロンビーを3店、ホリスターを1店、イギリスのロンドンにアバクロンビー&フィッチを2店開設している。
日本でも2007年に出店する計画があり、100%子会社の「ANF(エーエヌエフ)」を川崎に設立したが、イギリス・カナダへの出店が優先され日本進出は取りやめになった。同じ品を複数注文したりサイズ違いの品を注文したりすると業者による並行輸入を目的とした発注とみなされ受注を拒否されることがあったものの、公式サイトから日本でもネットショッピングすることが可能である。
2009年12月15日東京都中央区銀座六丁目に直営店をオープンした。これ以降日本からの公式サイトへのアクセスでは銀座直営店と同じ日本円での価格表示となり、円高差益が享受できず日本進出前より割高となっている。
2010年11月11日に銀座店(東京都)に続く日本第2号店として、国内最大店舗の福岡店を福岡市中央区天神二丁目の天神西通りにオープンした。
歴史
創業
1892年にニューヨーク州でスポーツショップとして創業した。創業当初は創業者であるデイビット・T・アバクロンビーが高品質なキャンプ・狩猟関連用品を商品として提供していた。1900年に顧客だったエズラ・フィッチが経営に参加し、1904年から「アバクロンビー&フィッチ」となっている。
紳士向け
元々は男性向きの無骨な商品がメインであり、冒険好きで知られたアメリカ人作家のアーネスト・ヘミングウェイもよくここで洋服や釣り道具を購入しており、「あそこはマッチョが行く所だ」と、作家仲間に薦めているほどであった[4]。
ヘミングウェイの言葉通り当時は客の85パーセントが男性で、残りも男性客についてきた女性客であり、女性が自主的に選択するタイプの店ではなかった。
方針転換
しかし、1988年にリミテッド(現リミテッド・ブランズ)により買収され、1992年にマイケル・ジェフリーズをCEOに迎えてからは方針を一変させ、20代前半をターゲットにしたヴィンテージ風カジュアルブランドに変身した。
その後はカジュアルながらも健康的なセクシーさがある、体にフィットするデザインが人気となった。このカジュアルファッションブランドへと変わったのが1992年であり、創業が1892年でもあるので、アバクロンビー&フィッチ(KIDS)の服には「92」というロゴが多く入っている。
2009年まで商品の価格は値引きはしない方針を採ってきたが、2009年12月に異例の大幅値下げをした。しかしそれにも関わらず、アメリカ本土での既存店売上高は前年同月比で19%減少した。不況下にあって競合ブランドのアメリカン・イーグル、エアロポステルなどは売り上げを伸ばしており、米国内においてはブランド戦略・差別化戦略の見直しが求められている[5]。
米国・カナダ以外では大衆化・日常化によるブランド価値の低下は起こっておらず、好調を維持している。
店内には非常にきつい香水がふりまかれており、店舗の周囲数十メートル範囲まで匂うほどで、このため東京の銀座店が開店した当初周辺の料理店から顰蹙を買うことになった。また、半裸でマッチョな男性店員が客を出迎えるという独特なサービスが行われている。
法的問題
雇用に対する差別問題
2004年、アメリカ合衆国にて白人系アメリカ人の従業員を優先して雇用し、それ以外の人種は雑用職のみに雇用したとして人種差別の疑いで集団告訴された。[6]アバクロンビー&フィッチは示談に応じ、450万ドルを該当する従業員と、人種により採用しなかった求職者に対して支払った。
2009年、イギリスロンドンにあるアバクロンビー&フィッチのフラッグシップストアで働いていた法学生が労働裁判所に身体的人権侵害を受けたとして告訴した。この法学生は先天的に左腕がなく、雇用当初は義手を隠すために長袖の服を着る特例が出された。しかしアバクロンビー&フィッチは会社の「外見規定」に違反しているとして法学生を客の目に届かない倉庫で働くように命じた。2009年8月、労働裁判所は、法学生が不当に異動させられ、違法な嫌がらせをしたとの判決を出した。精神的苦痛、不当解雇、給料の削減の保証として、法学生に8,013ポンドを支払うように命じた。[7][8]
客に対する問題
自閉症の少女に対する差別
2009年、試着室を利用しようとしていた少女に対し、自閉症のため洋服の試着を拒否したとして11万5千ドル以上の賠償を支払うようにミネソタ州人権局により命じられた。[9]さらに、自閉症であるとされた少女は自閉症では無かった。
無線機落下事故
2010年5月15日、東京都中央区にあるアバクロンビー&フィッチ銀座店にて、店員が携帯していた無線機が9階の吹き抜けから30メートルほど落下し、1階にいた女性客の頭部に直撃、女性は重症を負い病院に搬送された[10]。この店舗は1階から11階が吹き抜けになっている。同店は事故の経緯などについては開示しないとしている。警視庁築地警察署によると、店は客との示談交渉を進めており、無線機に転落防止用のストラップをつけるとしている[10]。
脚注
- ^ "EEOC Agrees to Landmark Resolution of Discrimination Case Against Abercrombie & Fitch," Press Release from the Equal Employment Opportunity Commission, Nov. 18, 2004.
- ^ "The Look of Abercrombie & Fitch: Retail Store Accused Of Hiring Attractive, Mostly White Salespeople," CBS 60 Minutes segment on Gonzalez case, Dec. 5, 2003.
- ^ Abercrombie shutting struggling Ruehl chain - Denver Business Journal 2009年6月17日
- ^ 「ハイ・ライフ」P.65 タキ・テオドラコプロス著 井上一馬訳 河出書房新社
- ^ Abercrombie & Fitch's Style Sense Wears Thin With Some Shoppers Wall Street Journal 2010年2月3日
- ^ $40 Million Paid to Class Members in December 2005 in Abercrombie & Fitch Discrimination Lawsuit Settlement
- ^ Sky News : Abercrombie And Fitch Lose Wrongful Dismissal Case Against Law Student With Prosthetic Arm
- ^ “UK | England | London | Woman wins clothes store tribunal”. BBC News. (2009年8月13日) 2010年7月24日閲覧。
- ^ Shiffer, James Eli and Jane Friedman, "Girl: I Was Treated Like a 'Misfit' at Abercrombie & Fitch; Magrath Agrees to Action." Minneapolis Star Tribune, September 9, 2009
- ^ a b 銀座「アバクロ」で女性重傷 無線機落下、頭に直撃 2010年9月24日