たこつぼ心筋症

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たこつぼ心筋症(-しんきんしょう、Takotsubo cardiomyopathy)とは、突然発症する左心室心尖部の一過性収縮低下をきたす心疾患のこと。[1]

疫学

高齢女性(閉経後女性)での発症が多い。性差は男:女=1:7である。[2]ストレスが誘引となるため、大規模被災地でしばしばみられる。(新潟県中越地震阪神大震災東日本大震災での症例報告がある。)

病態

詳細は不明であるが、ストレスなどによるカテコラミンなどの影響から、微小循環不全に陥りやすい心尖部の機能不全・収縮不全が一因ともいわれている。ノルアドレナリンによる心筋細胞内へのブドウ糖取り込み阻害も研究されている。[3]

災害時にはたこつぼ心筋症の発祥が増えることが報告されている。新潟県中越地震では、地震の前後で比較し、地震後に発症数に明らかに増加したことが報告されている。[4]

症状

検査

  • 心電図 … ST上昇、異常Q波、陰性T波がみられることがある。
  • AST,ALT,LDH,CPK … 上昇することもある。
  • トロポニンT … 陽性となることがある。
  • 心臓カテーテル検査 … 狭心症・心筋梗塞などと鑑別診断をする上で最も重要な検査。
  • 心エコー … 心筋の動きをリアルタイムに確認できる。
  • MRI … 診断に有用との報告がある。[6]

予後

  • 一般的には良好で、自然に軽快・治癒することも多い。
  • 心原性ショック,心肺停止,血栓を形成するもの,再発するものなどもあるため、軽視はできない。

引用・参照

  1. ^ Lyon A. et al.:Stress(Takotsubo) cardiomyopathy : a novel pathophysiological hypothesis to explain catechoramine-induced acute myocardial stunning. Nat Clin Pract Cardivasc Med 2008;5:22-29
  2. ^ CARDIAC PRACTICE 22(3): 227-232.
  3. ^ Yoshida et al., A pathophysiologic study of tako-tsubo cardiomyopathy with F-18 fluorodeoxyglucose positron emission tomography, Eur Heart J (2007) 28(21): 2598-2604
  4. ^ Watanabe H, et al: Impact of earthquakes on Takotsubo cardiomyopathy. JAMA 294: 305-307, 2005.
  5. ^ 栗栖 他: 冠動脈の臨床(下) 日本臨床 2003; 61: 728-732.
  6. ^ Eitel I et al.Clinical Characteristics and Cardiovascular Magnetic Resonance Findings in Stress (Takotsubo) Cardiomyopathy.JAMA. 2011;306(3):277-286.

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