Magma (数式処理システム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Magma
開発元 Computational Algebra Group, School of Mathematics and Statistics (豪シドニー大学)
最新版
2.25-5 / 2020年4月29日 (3年前) (2020-04-29)
対応OS クロスプラットフォーム
種別 計算機代数
ライセンス Cost recovery (非営利なプロプライエタリ・ライセンス)
公式サイト http://magma.maths.usyd.edu.au/
テンプレートを表示

Magma代数学数論代数幾何学組合せ数学の問題を解くために開発された計算機代数ソフトウェアである。Magmaという名前は代数的構造マグマから取られている。MagmaはUnix系あるいはLinuxで実行できる。またはWindowsでも利用することができる。

はじめに[編集]

Magmaはオーストラリアシドニー大学数学統計科 (School of Mathematics and Statistics) の計算機代数グループ (Computational Algebra Group) により開発と公開が行われている。

開発の経緯[編集]

MagmaはCayley (1982-1993) と呼ばれる群論を扱うシステムを元に開発された[1]

Magmaの最初の公式リリースは1993年8月であった(バージョン 1.0)。また1996年6月にバージョン 2.0が公開され、以降おおよそ1年ごとにバージョン 2.Xが公開されている。

カバーする分野[編集]

置換群行列群有限表示を持つ群可解群アーベル群(有限および無限)、多重巡回群 (en)、組み紐群、straight-line プログラム (en)。群論のデータベースもいくつか用意している。
整数および多項式に対する基礎的な演算に対するランダウの記号(たとえば整数と多項式の積を高速に求めるSchönhage-Strassenアルゴリズム (en)、楕円曲線法 (en) を含む素因数分解、二次ふるい法、一般数体ふるい法が実装されている。
  • 代数的数論
KANT と呼ばれる数式処理システムが内蔵されており、これにより幅広い代数体の計算ができるようになっている。また体の代数的閉包の計算も行える。
Strassenのアルゴリズムなどの、密行列のランダウの記号による高速な基本演算を実装している。
離散対数index calculus (en)アルゴリズムで求める際に行う疎な系の簡約化をStructured gaussian elimination (en) およびランチョスアルゴリズムで行うことができる。他の疎な線形代数の問題にはMarkowitzの方法が使える。
整数行列に対するLLLアルゴリズム(グラム-シュミット係数の計算に浮動小数点を使うが、得られる結果はLLL既約であることが証明されている)としてfpLLL[2]を実装している。
グレブナー基底の計算にFaugèreのF4アルゴリズム (en) が実装されている。
表現論の計算のために指標表とMeataxeのアルゴリズムが実装されている。
一次、二次および基本不変式のための不変式環を表すデータ型と、モジュール構造の計算をサポートしている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 原田 昌晃、木田 雅成 (2012年). “計算機代数のためのソフトウェアMagma”. 一般社団法人 日本数式処理学会. 2020年7月3日閲覧。
  2. ^ Cannon J. (2006年7月). “Magma 2.13 release notes”. 2009年8月26日閲覧。

外部リンク[編集]