HS.12

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種別 中周波マルチモード・ソナー
開発・運用史
開発国 フランスの旗 フランス
就役年 1980年代
送振系
周波数 中周波数(13 kHz級)
音源レベル 212デシベル
送振方向 全周無制限
送受波器系
装備方式 円筒形アレイ
ステーブ数 12本 (送受波器 各6個)
アレイ径 10.3 in (26 cm)
探知性能・その他諸元
探知距離 10キロメートル (11,000 yd)以上
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HS.12は、フランスのトムソン・シントラ(現在のタレス・アンダーウォーター・システムズ)社が開発したディッピングソナーTSM-8252として輸出にも供されたほか、のちには改良型のHS.312(輸出版はTSM-8240)、また小型艦艇に搭載するためのTSM-2362 ガッジョンも派生して開発された[1]

概要[編集]

元来は、小型艦用の可変深度ソナーであったSS.12から派生するかたちで開発された。また、HS.71/73ディッピング・ソナーとの技術的な関連もある。これはフランス軍がDUAV-4として装備化してリンクス・ヘリコプターに搭載していたものであった[1]

送受波器は12本のステーブとして配列されており、12本の待ち受けビームを生成することができる。吊下深度は最大300メートル、吊下/巻上速度は5メートル毎秒であった。HS.12においては、送振機およびドームが121 lb (55 kg)、ケーブルが42 lb (19 kg)、ウインチが158 lb (72 kg)、操作コンソールが187 lb (85 kg)であり、これは当時世界で最軽量のディッピングソナーとされていた。ソナードームの寸法は、直径10.3 in (26 cm)、全高33.7 in (86 cm)であった。HS.12は、必要であれば45分以内に機体から撤去可能とされていた。また、改良型のHS.312は、HS.12をもとにして、SADANGをベースにした4ないし8基のソノブイ受信機と連接されたものであった[1]

1992年には、これらをもとにした艦載版としてTSM-2362 ガッジョンも開発された。これは通常より縦長の直径0.2mの送振機を採用しており、18本のビームを生成することができた。動作モードは、基本的には全方向送信(ODT)のみであったが、オプションとして、音響ビームを旋回ないしその方向を適宜変化させながら送信するRDT(Rotating Directional Transmission)能力や、3本のビームを生成してそれぞれ120度ごとに旋回させて走査するTRDT(Triple Rotating Directional Transmission)能力の付与も可能であった[1]

採用国と搭載プラットフォーム[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d Norman Friedman (1997). “Anti-submarine warfare”. The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. pp. 576-712. ISBN 9781557502681. https://books.google.co.jp/books?id=l-DzknmTgDUC