DM33

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陸上自衛隊のJM33(奥はDM12A1 HEAT-MP弾)

DM33は、西ドイツラインメタル社が開発したAPFSDS[1]北大西洋条約機構(NATO)の標準規格 (120×570mm NATOに準拠している。日本でもJM33としてライセンス生産され、陸上自衛隊で使用されている[2]

概要

ドイツ陸軍は、1970年に次期主力戦車としてレオパルト2の採用を決定し、1978年より先行量産型の受領を開始した[1]。同車は主砲戦車砲)としてラインメタル 120 mm L44を搭載していたが、これは滑腔砲であるため、同時に翼安定式の徹甲弾APFSDS)としてDM13も採用された[1]。また1983年には、第2世代のAPFSDS弾として、弾心をタングステン製・モノブロック構造としたDM23が採用された[1]

そして第3世代のAPFSDS弾として採用されたのが本弾薬であり[1]1987年よりドイツ陸軍のレオパルト2戦車への搭載を開始した[2]。弾心はDM23と同様のタングステン製・モノブロック構造だが、高L/D化によって貫徹力の向上を図っている[1][注 1]。弾丸部は弾心を中心として、風防や安定翼、曳光部、そして装弾筒によって構成される[2]。装弾筒はアルミニウム合金製で3つに分割されており、ナイロン製のバンドで結合されている[2]。また薬莢は半燃焼式で、側面円筒は発射薬と同質のニトロセルロース等、底部は製である[2]

諸元・性能

諸元

  • 完成弾重量: 19 kg
  • 完成弾全長: 980 mm
  • 弾丸部重量: 7.3 kg
  • 弾丸部全長: 643 mm
  • 弾心重量: 4.3 kg

性能

  • 距離0 km - 経過時間0.0秒、速度1,650メートル毎秒、貫徹力540 mm
  • 距離1 km - 経過時間0.6秒、速度1,573メートル毎秒、貫徹力499 mm
  • 距離2 km - 経過時間1.3秒、速度1,498メートル毎秒、貫徹力459 mm
  • 距離3 km - 経過時間2.0秒、速度1,425メートル毎秒

脚注

注釈

  1. ^ 高L/D化とは、長さ(L)と径(D)の比であるL/Dを大きくして、弾心を細長くすることである。APFSDS弾を含む運動エネルギー弾の貫徹力は、砲弾の断面積(Dの二乗に比例)にどれだけの運動エネルギー(Lに比例)を集中できるかで決まるため、L/D比が大きいほど貫徹力が高くなる[2]

出典

参考文献

  • Foss, Christopher (1998). Jane's Armour and Artillery 1998-99 (19 ed.). Janes Information Group. ISBN 978-0710617903 
  • 一戸崇雄「第七章 90式戦車のメカニズム」『戦後の日本戦車』カマド〈ストライクアンドタクティカルマガジン別冊〉、2009年、118-147頁。ASIN B002LG7978 

関連項目