菓子折り

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菓子折り菓子折、かしおり)とは、菓子を外箱(折箱)に収めた物。多くは手土産進物用として用いられる。

概要[編集]

菓子折の「折」とは本来は菓子を入れる箱のことで[1]、それに入れた物を数える際には一折、二折など言った[2]

初対面の挨拶時の手土産の品のほか、相手方への感謝や謝罪の贈り物として用いられることが多い[3][4][5]。また、本来ならば金銭が発生するような依頼事項の謝礼代わりとしてや[6][7]、要望を通すためのお願いの際にも用いられる[8][9]

歳暮中元の贈答品と同じく感謝を物で表す日本の文化であるが、金銭的な負担となることから謝罪としての菓子折を送る慣習をやめる会社もある[10]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 上田萬年松井簡治 (1916). “くゎし-をり”. 大日本國語辭典 しーく. 冨山房. p. 174. https://books.google.co.jp/books?id=RdyctgHZ_10C&newbks=1&newbks_redir=0&hl=ja&pg=PP188 2023年4月13日閲覧. "菓子折()菓子を遣物として贈るときなどに入るる折箱" 
  2. ^ “をり”. 言海. (1898). https://books.google.co.jp/books?id=sN_Sks7NHSAC&newbks=1&pg=PP1267 2023年4月3日閲覧. "(二)片木板ヲ折リ曲ゲテ方形ニ作レル粗ナル小匣、進物ナドニ用ヰル、古ヘノ折櫃ナリ。「-詰」「-の物 (三)又、ソレニ入レタル物ヲ數フル語。「菓子、一-」" 
  3. ^ 福田 健, 田上 健一 (2021). “借上型仮設住宅入居世帯の再建動向からみる近隣交流の変化 熊本地震後の中山間地域を対象として” (PDF). 日本建築学会計画系論文集 (日本建築学会) 86 (790): 2556. "10 軒ほどの(新しく知り合った) 隣保班の人には菓子折りを持って行き挨拶をした。少しでも繋がりを作って、人間関係を円滑にしようと考えている" 
  4. ^ 多田幸正「宮沢賢治と農村問題」(PDF)『日本文学』第33巻第3号、1984年、15頁、doi:10.20620/nihonbungaku.33.3_13“もっとも父政次郎が戦後の農地改革後に、自家の小作人たちの永年の労苦に謝し、菓子折を持って挨拶して廻ったというから” 
  5. ^ 唐津 一 (1991). “21世紀に向かっての技術の課題と展望” (PDF). 紙パ技協誌 (紙パルプ技術協会) 45 (1): 37. doi:10.2524/jtappij.45.30. "少しぐらい欠陥があってもバレませんよ。万一バレたらどうもすみませんと言って菓子折りでも持って行けば大体許してもらえる。所が飛行機が落ちるとこれは菓子折りではすまない" 
  6. ^ 柴田 義一 (1998). “研究レポート 翻訳料の研究” (PDF). 出版研究 (日本出版学会) 29: 174. doi:10.24756/jshuppan.29.0_167. "監修・監訳料については規定も基準もない(略)名前だけ借りる場合,「菓子折り1ケから,謝礼として3万円,5万円,10万円位まで」" 
  7. ^ 村山博美, ed (2004). “日本建築仕上学会の15年の歩みと今後の展望(創立15周年記念特集)” (pdf). Finex 16 (97): 22. doi:10.14820/finexjournal.16.97_12. "上村:僕なんかも丸一さんと同じなんだけど、退職して暇で、所属が無いけれど、相談したいっていうのが電話でよく来る。そうするとお客さんは菓子折り1つ持ってきて1時間も2時間も相談して帰る。" 
  8. ^ 西岡昭夫, 吉沢 徹「清水・三島・沼津石油コンビナート反対運動 住民組織の発展と学習会」(PDF)『行政研究叢書』第1968巻第7号、1968年、222頁、doi:10.11290/jspa1957.1968.7_217“県や進出企業も住民対策には大いに力をそそいだ。公報紙とか、宣伝資料とか、菓子折とか、現金とか、いろいろな形でなされた。” 
  9. ^ 市原 博「戦前期北海道炭鉱労使関係の展開」『現代社会学研究』第3巻、1990年、97頁、doi:10.7129/jject.3.90“……昔より長屋を借り受けんとするものは菓子折又は酒乃至金が遣物と相場が決まって居て是さへ怠ねば何時にても二つ返事で許可さるゝのである。” 
  10. ^ 日本放送協会. “コロナ感染「申し訳ない」職場復帰で“菓子折り”持ち謝罪?”. NHKニュース. 2022年2月7日閲覧。
  11. ^ 片山 憲一, 八田 達夫, 家田 仁, 塚田 博之, 引頭 雄一「北九州空港が変える日本・アジアの未来」(PDF)『東アジアへの視点』第30巻第2号、公益財団法人 アジア成長研究所、2019年、43頁、doi:10.20787/agishiten.30.2_32家田「(略)もう契約から何から,何か変なことやっててね,菓子折りの下に何かあるとか,もう信じられないよね,江戸時代かこれは,越後屋か,とかいいたくなる」” 

外部リンク[編集]

  • 中澤 弥子 (2013). “長野県南佐久郡川上村における食文化の変化―食卓,調理機器,祝儀・不祝儀の食および間食についての聞き取り調査の比較―” (PDF). 会誌食文化研究 (一般社団法人 日本家政学会 食文化研究部会) 9: 1-14. doi:10.50859/jfcj.9.0_1.