舟歌 (サン=サーンス)

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初版譜の表紙(1898年)

舟歌 ヘ長調 作品108 は、カミーユ・サン=サーンスが1898年にヴァイオリンチェロハーモニウム(またはオルガン)とピアノのために作曲した室内楽曲。1909年には作曲者自身によりヴァイオリン、チェロ、ヴィオラとピアノのための版も制作されている[1][2][3]

概要[編集]

本作はサン=サーンスにとって、2度目となるこの楽器の組み合わせでの作曲の試みであった。1897年にも挑戦しているが、5ページ半を書いたところで放棄してしまっている[2]。彼は1865年に4つ目の楽器としてチェロの代わりにヴィオラを用い、似たような楽器の組み合わせでセレナード 作品15を作曲していた[4]。1898年5月18日に音楽協会ラ・トロンペットで催された初演では、ルイ・ディエメがピアノ、ギヨーム・レミーがヴァイオリン、ジュール・デルサールがチェロ、そして作曲者自身がハーモニウムを演奏した[3][5][6]

この作品はバルセロナでサン=サーンス作品による2つの音楽祭を立ち上げたアントニオ・ジャンベルナへと献呈された[7]

楽曲構成[編集]

アレグレットモデラートの単一楽章から構成される[3]。演奏時間は約8-10分。

出典[編集]

  1. ^ (Fenech 2009)
  2. ^ a b (Smith 1992, p. 17)
  3. ^ a b c (Smith 1992, p. 311)
  4. ^ (Smith 1992, p. 81)
  5. ^ (Anderson 2013)
  6. ^ (Ratner 2002, p. 208)
  7. ^ (Ratner 2002, p. 207)

参考文献[編集]

  • Anderson, Keith (2013). Saint-Saëns, C.: Piano Quartet/Piano Quintet/Barcarolle (CD). Naxos Records. 8.572904。
  • Fenech, Gerald (2009年). “Review of Saint-Saëns, Piano Quartets, MDG 9431519-6”. Classical Net. 2017年2月23日閲覧。
  • Smith, Rollin (1992). Saint-Saëns and the Organ. Pendragon Press. ISBN 978-0-945193-14-2. https://books.google.com/books?id=9rZzGPqNcXcC 
  • Ratner, Sabina Teller (2002). Camille Saint-Saëns, 1835–1922: A Thematic Catalogue of his Complete Works, Volume 1: The Instrumental Works. Oxford: Oxford University Press. ISBN 978-0-19-816320-6 

外部リンク[編集]