自臭症

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自臭症(じしゅうしょう)とは周りから臭いと思われていると思い込む精神疾患自己臭症(じこしゅうしょう)または自己臭恐怖症(じこしゅうきょうふしょう)とも呼ばれる。嗅覚幻覚が出る幻嗅の一種である。

原因[編集]

病前性格として、几帳面、潔癖などが挙げられる。周囲の人に口臭や体臭などを指摘されることで、本来であれば取るに足らない行動も自身からの臭いによるものであると思い込んでしまうために発症する。
また、完璧、完全志向が強い人ほどこの症状に陥り易い。本来、体臭、口臭は少なからず誰にでもあるものだが、自臭症の人はこれを誇大解釈してしまい、少しの臭いも許せなくなる。
また心の病として、本症状は醜形恐怖症鬱病を併発することもある。つまりは、これらを包括的に強迫神経症の1類型と捉える事ができる。
他方、実際に強い体臭、口臭で悩んでいる人は、この症状に該当しない。あくまで実際の臭いよりもまして心理的要素、苦悩が強いのが本症の特徴である。

症状[編集]

  • 実際には発せられていない自身からの口臭体臭によって周囲に嫌がられているのではないかという妄想を生じる。
  • 鬱病を合併し、引きこもり自殺に至ることもある。
  • 他人の動作(咳払い、鼻に手をあてられる等)に過剰反応するのも特徴的である。その点で対人恐怖症とも深いつながりがある。
  • 他人の動作に対する恐怖から、生活の質が著しく低下し、重度になると社会生活から逃避行動を起こす。これは醜形恐怖症や強迫神経症と共通するところである。
  • 特徴的なのは、人が密集する場所、エレベーター、教室、バス・飛行機・電車等の車内、あるいは人との会話など、臭いをかぎとられる状況に過大な恐怖を抱く。

治療法[編集]

精神的な面に原因があるため、基本は面接療法となる。自身から発せられる口臭や体臭などが決して他人に迷惑をかけているわけではないことを自覚させることが重要である。
自身の実際の臭いと、自身が悩んでいる事の食い違いを修正するのが必要である。その点で認知療法が選択肢のひとつにある。
また、敢えて人ごみや会話など恐怖を抱く場所に、身を置き徐々に恐怖を取り除く方法、暴露療法も一定の効果がある。
元々は、根底に完璧思考の人が陥り易い症状であり、強迫神経症気質の人が陥り易い症状でもある。多少の臭いは生物である以上当然であるという、許容の心を持つ事が大切である。その点で、神経症で広く応用されている森田療法も、効能として期待できる。
森田療法に絡み、「流れる心」を持つ事は非常に大切である。多少の欠点を受け流す心が必要。これは、強迫神経症、醜形恐怖症を含む神経症全般に共通する事である。
対人恐怖症とも深い関連があるので、臭いに対する精神支援に加え、対人コミュニケーションにおける精神療法、思考改革も効果が期待できる。

診療科[編集]

また、口臭の原因を検査するための口臭外来が設置されている病院もある。