炭酸セシウム

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炭酸セシウム
識別情報
CAS登録番号 534-17-8
特性
化学式 Cs2CO3
モル質量 325.8198 g/mol
外観 無色結晶または白色粉末
密度 4.072 g/cm3
融点

610℃(分解)

への溶解度 260.5 g/100 cm3水 (15 ℃)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −1139.7 kJ mol−1[1]
標準モルエントロピー So 204.47 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 123.85 J mol−1K−1
危険性
EU分類 刺激性 (Xi)
EU Index Not listed
Rフレーズ R36/37/38
Sフレーズ S22, S26
引火点 不燃性
関連する物質
関連物質 炭酸リチウム;炭酸ナトリウム;炭酸カリウム;炭酸ルビジウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

炭酸セシウム(たんさんセシウム、caesium carbonate/cesium carbonate)は組成式Cs2CO3で表されるセシウム炭酸塩である。

製法[編集]

炭酸セシウムは以下のような方法で合成でき同様の方法は炭酸ルビジウムにも応用できる[2]

1. セシウム塩水溶液に硫酸アルミニウム水溶液を加えると、溶解度の小さいセシウム明礬が析出する。

3 Cs+ + 2 Al2(SO4)3 + 36 H2O → 3 CsAl(SO4)2·12H2O + Al3+

このセシウム明礬を再結晶した後、水溶液に少過剰の水酸化バリウムを加え、硫酸バリウム水酸化アルミニウムを沈殿させる。

CsAl(SO4)2 + 2 Ba(OH)2 → CsOH + Al(OH)3 + 2 BaSO4

得られた水溶液に二酸化炭素を通じて過剰の水酸化バリウムを炭酸バリウムとして除き、さらに二酸化炭素を通じて得られた水溶液を蒸発乾固して固体を得る。

2 CsOH + CO2 → Cs2CO3 + H2O

2. また塩化セシウムから以下の手順で合成される。 塩化セシウムに過剰の硝酸を加え、蒸発させることを繰り返し硝酸セシウムとする。

3 CsCl + 4 HNO3 → 3 CsNO3 + NOCl + Cl2 + 2 H2O

この硝酸セシウムを白金皿中で4倍量のシュウ酸と加熱反応させシュウ酸セシウムとする。

2 CsNO3 + 2 H2C2O4 → Cs2C2O4 + 2 NO2 + 2 CO2 + 2 H2O

シュウ酸セシウムを空気中で焼き、分解すると炭酸セシウムが残る。

2 Cs2C2O4 + O2 → 2 Cs2CO3 + 2 CO2

性質[編集]

無色結晶であり、水に易溶で潮解性をもつ。無水物のほか、3水和物が存在する。水溶液はアルカリ性を示す。エタノールおよびジエチルエーテルにも可溶である。

用途[編集]

酸化エチレンの重合触媒、各種セシウム塩および特殊ガラスの原料として用いられる。

脚注[編集]

  1. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  2. ^ 日本化学会編 『新実験化学講座 無機化合物の合成II』 丸善、1977年