座屈
座屈(ざくつ、Buckling)は、構造物に加える荷重を次第に増加すると、ある荷重で急に変形の模様が変化し、大きなたわみを生ずることをいう(機械実用便覧、改訂第5版P.137)。構造に座屈現象を引き起こす荷重をその構造の座屈荷重という。 座屈荷重はその構造の剛性および形状に依存し、材料の強度以下で起こることもある。圧縮荷重を受ける柱の場合、材料、断面形状、荷重の条件が同じであっても、座屈荷重は柱の長さに依存するため、短い柱では座屈を起こさず、長い柱のみに発生する(右図)。
座屈現象は構造の不安定現象のひとつである。例えば、圧縮荷重を受ける長柱が、擾乱(例えば、風による圧力など)を受けて横方向に変形しても、圧縮荷重が座屈荷重以下であれば、長柱の横剛性(曲げ剛性)により擾乱が消えればもとに戻る。しかし、荷重が座屈荷重ちょうどであると、それに対する長柱の横剛性は十分でなく、擾乱を受けて生じた変形は元に戻らない(変形した状態で安定する)。荷重が座屈荷重よりも少しでも大きいと、小さな擾乱でも長柱は倒壊する。このように、座屈荷重を超える圧縮荷重を受ける構造は不安定な状態にあり、座屈による破壊とは、不安定な状態から倒壊というもう一つの安定状態に飛び移ることである。
圧縮荷重を分担する部材の設計では、座屈強度に対する注意が必要である。
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圧縮荷重を受ける長柱の曲げ座屈応力 [編集]
以下は圧縮荷重を受ける長柱の曲げ座屈荷重に関する記述であるが、曲げ以外にも、ねじりや、曲げ-ねじり連成などの座屈がある。 座屈が起こる時の応力は棒の末端部分の形状、曲げ剛性、細長比などによって異なる。
端末条件係数 [編集]
座屈応力を求める際に、端末条件係数と呼ばれる値が関係してくる。棒の末端部分の形状により係数は次のような値になる。
| 端末条件 | 端末条件係数C |
|---|---|
| 自由端-固定端 | 0.25 |
| ヒンジ-ヒンジ | 1 |
| ヒンジ-固定端 | 2.046 |
| 固定端-固定端 | 4 |
オイラーの式 [編集]
座屈応力を求めるには、通常はオイラーの式が使われる。オイラーの式は次のように表される。

ここで
: 座屈応力
: 端末条件係数
: ヤング率
: 細長比
である。
ランキンの式 [編集]
柱が短くなると、弾性座屈が起こる前に塑性変形が生じてしまうため、オイラーの式で座屈応力を求めることができなくなる。そこでランキンの式を使い座屈応力を求める。ランキンの式かオイラーの式のどちらを使用するかは細長比の値(これは材料によって異なる)によって決まる。ランキンの式は次のように表される。

ここで
: 材料の許容引張応力[MPa]
: 柱の材料による実験定数
である。
細長比が一定の値以下の場合、ランキンの式以外にもテトマイヤの式、ジョンソンの式などがある。
座屈の種類 [編集]
建築における座屈 [編集]
- 横座屈 ー 背の高いH形断面梁に曲げモーメントが加わると、ねじれながら(弱軸に向かって)横に倒れて崩壊することがある。このような座屈形式を横座屈(よこざくつ、英語:lateral-torsional buckling)または曲げ捩れ座屈という。対処法としては、横補剛材を入れる。
- 局部座屈 ー 梁端部の曲げが終局強度に達し、梁端部圧縮側のフランジが波をうつように座屈することを局部座屈(きょくぶざくつ)いう。対処法としては幅厚比を変える。
参考文献 [編集]
- 「材料力学入門」パワー社 1989年
: 座屈応力
: 端末条件係数
:
: 細長比
: 材料の許容引張応力[MPa]
: 柱の材料による実験定数