川北篤

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かわきた あつし
川北 篤
居住 日本の旗 日本
研究分野 植物生態学
植物進化学
研究機関 東京大学大学院理学系研究科附属植物園
出身校 京都大学
博士課程
指導教員
加藤真
主な受賞歴 種生物学会片岡奨励賞
プロジェクト:人物伝
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川北 篤(かわきた あつし)は、日本植物学者東京大学大学院理学系研究科教授学位は、博士(人間・環境学、京都大学)。2021年から東京大学大学院理学系研究科附属植物園園長を務めている。

来歴[編集]

植物園本館

2002年に京都大学理学部を卒業、2007年に京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程を修了した[1]。同年11月に同大学院自然環境動態論講座の助教に着任すると[2]准教授を経て2018年、東京大学教授として異動した[3]

2021年4月からは、東京大学大学院理学系研究科附属植物園園長を務めている[4]。植物園の施設は老朽化が著しいため「植物標本館」の新設が計画されているが、費用は20億円に上ると予想されている。これについて川北は「東大だから金がある、と思われているかもしれないが、ここまでの計画を実現するのは『夢物語』です」と話している[5]

人物[編集]

中学・高校時代はサッカーに熱中していた。「人と違うことをしたい」という精神から、東京の高校で周囲が東京大学志望が多く、物理選択が主流だった中で、京都大学の生物選択の道を選んだ[3]

京都大学入学後に生態学の屋外授業を受講したことで、生態学への興味、植物への好奇心が芽生えた。それからの学生時代は、サッカーサークルを辞め、ラーメン屋のアルバイトで植物を求める旅のための費用を捻出した。全国を旅しながら調査していた中で、メイガ花粉に関する論文を執筆した。そうした経験から、いつの間にか研究者を志すようになっていた[3]

受賞歴[編集]

著書[編集]

共編著[編集]

  • 「奇跡の共進化─カンコノキ属における絶対送粉共生系の発見と進化史研究」、奥山雄大、川北篤「系統解析プロトコル─塩基配列から分子系統樹へ」、「共進化研究のための共種分化解析法」、種生物学会 編、横山潤、堂囿いくみ 責任編集『共進化の生態学:生物間相互作用が織りなす多様性』文一総合出版〈種生物学研究〉、2008年、192-200頁、313-340頁、341-354頁。ISBN 9784829910696
  • 種生物学会 編、川北篤、奥山雄大 責任編集『種間関係の生物学:共生・寄生・捕食の新しい姿』文一総合出版〈種生物学研究〉、2012年。ISBN 9784829962008
  • 「系統樹から適応進化を読み解く」、日本生態学会、森長真一、工藤洋 編『エコゲノミクス:遺伝子からみた適応』 共立出版 〈シリーズ現代の生態学〉、2012年、36-55頁。ISBN 9784320057401
  • 有村源一郎、矢﨑一史、髙林純示、川北篤 『植物アロマサイエンスの最前線:植物はなぜ香りを発するのか』フレグランスジャーナル社、2014年。ISBN 9784894792425
  • E. Toby Kiers, Anthony R. Ives & Atsushi Kawakita "Global change and mutualisms" Mutalism, Oxford University Press, 2015, pp. 241–267, doi:10.1093/acprof:oso/9780199675654.003.0013
  • 「奄美大島で発見されたカンコノキとハナホソガの絶対送粉共生」、水田拓 編著『奄美群島の自然史学:亜熱帯島嶼の生物多様性』東海大学出版部、2016年、77-92頁。ISBN 9784486020882
  • Makoto Kato & Atsushi Kawakita. Obligate Pollination Mutualism. Springer, 2017.
  • 種生物学会 編 、川北篤 責任編集『花と動物の共進化をさぐる:身近な植物に隠れていた新しい花の姿』文一総合出版、2021年。ISBN 9784829962084

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 川北篤”. ブルーバックス. 講談社. 2023年10月22日閲覧。
  2. ^ 京都大学総合人間学部広報』(PDF)(プレスリリース)人間・環境学研究科 総合人間学部広報委員会https://www.h.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2016/01/bulletin42.pdf 
  3. ^ a b c 川北篤(インタビュアー:村松光太郎)「「積極的探究で独自の経験を」京大から東大へ、植物学者・川北篤教授インタビュー」『東大新聞オンライン』、東京大学新聞社、2020年4月21日https://www.todaishimbun.org/kawakita20200504/2023年10月22日閲覧 
  4. ^ 小石川植物園について”. 小石川植物園. 2023年10月22日閲覧。
  5. ^ 渡辺, 芳枝「植物標本80万点、保管もう限界 朝ドラ舞台の東大植物園、老朽化が深刻」『朝日新聞』、2023年9月15日、夕刊、1面。(Paid subscription required要購読契約)
  6. ^ 種生物学会片岡奨励賞”. 種生物学会. 2023年10月21日閲覧。

外部リンク[編集]