一ノ瀬祥一

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一ノ瀬 祥一
いちのせ しょういち
居住 日本の旗 日本
研究分野 物理学
研究機関 京都大学
静岡県立大学
出身校 埼玉大学理工学部卒業
筑波大学大学院物理学研究科修了
主な業績 ソフトマター物理学からの
食品の粘弾性解析
非平衡統計系の数理モデル
コンピュータシミュレーションの研究
宇宙の暗黒物質
暗黒エネルギーの研究
プロジェクト:人物伝
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一ノ瀬 祥一(いちのせ しょういち)は、日本の物理学者数理物理学ソフトマター物理学宇宙論)。学位は理学博士筑波大学1981年)。

京都大学数理解析研究所研修員、静岡県立大学国際関係学部助手、静岡県立大学食品栄養科学部助教授、静岡県立大学食品栄養科学部准教授などを歴任した。

概要[編集]

日本の理論物理学者である。数理物理学ソフトマター物理学宇宙論を専攻する[1]埼玉大学理工学部を卒業し、筑波大学大学院物理学研究科を修了した[2]京都大学数理解析研究所研修員を経て、静岡県立大学の国際関係学部助手、食品栄養科学部助手、食品栄養科学部助教授、食品栄養科学部准教授などを歴任した[3]表實と共同執筆した「Renormalization using the background-field method」[4]や、ゲイリー・ギボンズと共同執筆した「The finiteness requirement for six-dimensional Euclidean-Einstein gravity」[5]などで知られている。

来歴[編集]

生い立ち[編集]

埼玉大学理工学部(現:理学部)物理学科に進学[2]1976年3月、埼玉大学を卒業した[2]。大学卒業後は、筑波大学大学院物理学研究科に進学[2]1981年3月、筑波大学の大学院を修了した[2]。それに伴い、理学博士の学位を取得した[6]

研究者として[編集]

1984年4月より、京都大学数理解析研究所研修員を務めることになった[3]。1987年4月、静岡薬科大学静岡女子大学静岡女子短期大学の統合・再編により発足した静岡県立大学に転じ、国際関係学部の助手を務めることになった[3]。1996年4月、静岡県立大学の食品栄養科学部に異動し、引き続き助手を務めた[3]。2005年4月、静岡県立大学の食品栄養科学部にて助教授に昇任した[3]学校教育法の改正に伴い、2007年4月、静岡県立大学の食品栄養科学部にて准教授に就任した[3]。2019年3月31日、静岡県立大学の准教授を退任した[7]

研究[編集]

専門は物理学であり、数理物理学ソフトマター物理学宇宙論といった分野の研究に取り組んでいる[1]。特にソフトマター物理学の視点から、食品における粘弾性の解析に従事している[8]。たとえば、トマトケチャップなど散逸系物質の移動現象を説明する際に、アインシュタイン理論時空幾何学を用いたアプローチを試みた[9]。また、非平衡統計系の数理モデルコンピュータシミュレーションについての研究や、宇宙の暗黒物質ダークエネルギーについての研究も行っている[8]

静岡県立大学においては、食品物理学研究室を主宰した。食品物理学という学問については「はっきりとした定義はまだ定着しておらず、研究者により考え方、内容が異なる。物理学を以て食品を研究する学問というのが一応の定義である。似通った分野として食品工学、食品物性学などがある。前者は技術的な側面にウエイトが置かれ、後者は物理学の一分野である物性物理学を食品にあてはめたものである。これらに比べると、食品物理学は幅が広い」[10]と位置付けており、研究室発足に際して「この分野の草分けを目指して教育研究を進めたい」[10]との決意を述べている。具体的には、粘性弾性の測定や構造解析などを通して、食品の力学物性について調査している[10]。食感等については官能検査で測定するのが通例であるが、力学物性の観点での調査の場合は定量的な測定方法を採ることになる[10]。また、食品の相転移現象などを通して、食品の熱物性についても調査している[10]

研究実績は学術誌などで発表しており、特に物理学者表實と共同執筆し『Nuclear Physics B』で発表した「Renormalization using the background-field method」[4]や、物理学者のゲイリー・ギボンズと共同執筆し『Classical and Quantum Gravity』で発表した「The finiteness requirement for six-dimensional Euclidean-Einstein gravity」[5]、および、単独執筆し『Physics Letters B』で発表した「Effective potential in Kaluza-Klein theories」[11]などが知られている。

人物[編集]

趣味としてピアノ演奏ジョギング、および、旅行を挙げている[12]

略歴[編集]

著作[編集]

主要な論文[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 「専門分野」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  2. ^ a b c d e 「学歴」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  3. ^ a b c d e f 「主な経歴」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  4. ^ a b Shoichi Ichinose and Minoru Omote, "Renormalization using the background-field method", Nuclear Physics B, Vol.203, Iss.2, Elsevier, August 16, 1982, pp.221-267.
  5. ^ a b Gary William Gibbons and Shoichi Ichinose, "The finiteness requirement for six-dimensional Euclidean-Einstein gravity", Classical and Quantum Gravity, Vol.17, No.10, IOP Publishing, February 8, 2000, pp.2129.
  6. ^ 「学位」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  7. ^ 「教員人事」『はばたき』139号、静岡県立大学広報委員会、2019年7月16日、22頁。
  8. ^ a b 「主要研究テーマ」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  9. ^ 「教育・研究に対する考え方」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  10. ^ a b c d e 食品物理学研究室「研究室の経歴および方針」『食品物理学研究室のホームページ/経歴方針』食品物理学研究室、2006年11月9日。
  11. ^ Shoichi Ichinose, "Effective potential in Kaluza-Klein theories", Physics Letters B, Vol.152, Iss.1-2, Elsevier, February 28, 1985, pp.56-58.
  12. ^ 「ごあいさつ」『食品物理学研究室ホームページ/ごあいさつ』食品物理学研究室。

関連人物[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]