レフュジー (レフュジーのアルバム)

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レフュジー (レフュジーのアルバム)
レフュジースタジオ・アルバム
リリース
録音 1974年2月
イングランドの旗ロンドン、アイランド・スタジオ
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル カリスマ・レコード
プロデュース ジョン・バーンズ
レフュジー アルバム 年表
レフュジー
(1974年)
ライヴ・イン・コンサート:ニューキャッスル・シティ・ホール・1974
(2007年)
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レフュジー』(Refugee)は、イングランドのロック・トリオのレフュジーが1974年に発表したデビュー・アルバム。

解説[編集]

経緯[編集]

1973年夏、メインホースのパトリック・モラーツ(キーボード)は元ザ・ナイスリー・ジャクソン(ベース・ギター、ボーカル)に出会った。スイス人のモラーツは当時、イギリスでの活動に不可欠な労働許可証の発行に支障をきたして、メインホースでの活動がままならなくなっていた[1]。一方、ジャクソンも当時率いていたジャクソン・ハイツ[注釈 1]からキーボーディストとギタリストが脱退したので、活動できない状態だった[1]。ジャクソンはモラーツをジャクソン・ハイツに勧誘するが、モラーツは元ザ・ナイスブライアン・デヴィソン(ドラムス)を誘って新しいトリオを結成することを提案した[2]。デヴィソンはザ・ナイス解散後に結成したエヴリ・ウィッチ・ウェイ[注釈 2]が1971年の春に解散していた[3]ので、2人に合流した。

彼等はトリオ名を「レフュジー」として、ザ・ナイスが解散した時のマネージャーであったトニー・ストラットン・スミスをマネージャーとして、スミスが設立したカリスマ・レコードと契約を結んだ。そしてライブ活動を始める為に数か月のリハーサルを行って、1973年12月2日のロンドン公演でデビューした[4]。翌1974年2月、ロンドンのアイランド・スタジオ[注釈 3]ジョン・バーンズをプロデューサーに迎えて本作を製作した。

内容[編集]

計6曲の収録曲は、モラーツの単独作の「パピヨン」と「リット・ミックリー」とを除いて、モラーツとジャクソンの共作による。

「パピヨン」は、最初はピアノ曲として録音された[注釈 4][5]。「リット・ミックリー」の題は、録音中にモラーツが"rhythmically"と言ったのをデヴィソンが"Ritt Mickley”という人名と聞き間違えたことに由来する[6]

組曲「グランド・キャニオン」は、モラーツがグランド・キャニオンの大自然を取り上げたBBCのドキュメンタリーを観て曲を書き、ジャクソンに歌詞を要求したもの。ジャクソンは図書館からグランド・キャニオンの本や地図を借りて歌詞を練り上げた[5]。組曲「クレド(信教)」の歌詞は、カトリックに対するジャクソンの反芻を描いている[6]。「サムディ」はジャクソンの最初の結婚生活の破綻を取り上げた。

収録曲[編集]

CD
#タイトル作詞・作曲時間
1.「Papillion (パピヨン)Patrick Moraz
2.「Someday (サムディ)Moraz, Lee Jackson
3.「Grand Canyon Suite (グランド・キャニオン組曲)
  • The Source (ファースト・ムーヴメント:ザ・ソース)
  • Theme for the Canyon (セカンド・ムーヴメント:キャニオンのテーマ)
  • The Journey (サード・ムーヴメント:ザ・ジャーニー)
  • The Rapids (フォース・ムーヴメント:ラピッズ)
  • The Mighty Colorado (フィフス・ムーヴメント:ザ・マイティ・コロラド)
Moraz, Jackson
4.「Gatecrasher (ゲイト・クラッシャー)Moraz, Jackson
5.「Ritt Mickley (リット・ミックリー)Moraz
6.「Credo (組曲「クレド(信経)」)
  • Prelude (ファースト・ムーヴメント:前奏曲)
  • I Believe, Pt. 1 (セカンド・ムーヴメント:アイ・ビリーヴ)
  • Credo Theme (サード・ムーヴメント:主題)
  • Credo Toccata & Song (The Lost Cause) (フォース・ムーヴメント:ザ・ロスト・コーズ)
  • Agitato (フィフス・ムーヴメント:アジテート)
  • I Believe, Pt. 2 (シックスス・ムーヴメント:アイ・ビリーヴ・パート2)
  • Variation (セヴンス・ムーヴメント:変奏曲)
  • Main Theme & Finale (エイス・ムーヴメント:メイン・テーマ・フィナーレ)
  •  
  • Moraz, Jackson
  • Moraz, Jackson
  • Moraz, Jackson
  • Moraz, Jackson, Jean Ristori
  • Moraz, Jackson
  • Moraz, Jackson
  • Moraz, Jackson
  • Moraz, Jackson
  • 合計時間:

    参加ミュージシャン[編集]

    レフュジー
    • パトリック・モラーツ – ミニ・ムーグ、AKS シンセサイザー、ピアノ、エレクトリック・ピアノ、クラビネット、オルガン、パイプ・オルガン、マリンバフォン、アルプホルン、electronic slinky、メロトロン、ヴォーカル
    • リー・ジャクソン – ベース、エレクトリック・チェロ、ギター、12弦アコースティック・ギター、リード・ヴォーカル
    • ブライアン・デヴィソン – ドラムス、ティンパニ、ゴング、チベット・ベル、アフリカン・ドラム、カバサ、ブロークン・グラス

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ リー・ジャクソンはザ・ナイスが1970年4月に解散した後、ジャクソン・ハイツを結成して、4作のアルバムを発表した。
    2. ^ 1970年10月にカリスマ・レコードからデビュー・アルバムを発表した。
    3. ^ Sarm West Studios
    4. ^ モラーツは、レフュジーの解散後に加入したイエスのコンサートで、この曲をピアノ・ソロに取り入れて披露した。ライブ・ビデオ『イエス/ライブ 1975』で聴かれる。

    出典[編集]

    1. ^ a b Hanson (2014), p. 199.
    2. ^ Hanson (2014), p. 205.
    3. ^ Hanson (2014), p. 203.
    4. ^ Hanson (2014), p. 207.
    5. ^ a b Hanson (2014), p. 208.
    6. ^ a b Hanson (2014), p. 210.

    引用文献[編集]

    • Hanson, Martyn (2014). Hang on to a Dream: The Story of the Nice. London: Foruli Classics. ISBN 978-1-905792-61-0 

    関連項目[編集]