ヨーロッパイチイ

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ヨーロッパイチイ
Yew Berries.jpg
ヨーロッパイチイの枝と実
保全状況評価[1]
LOWER RISK - Least Concern
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
Status iucn2.3 LC.svg
分類新エングラー体系
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Gymnospermae
: イチイ綱 Taxopsida
: イチイ目 Taxales
: イチイ科 Taxaceae
: イチイ属 Taxus
: ヨーロッパイチイ T. baccata
学名
Taxus baccata
L.
和名
ヨーロッパイチイ(欧羅巴一位)
セイヨウイチイ(西洋一位)
セイヨウオンコ
英名
European Yew
Common Yew
Taxus baccata MHNT seed.jpg

ヨーロッパイチイ(欧羅巴一位、学名Taxus baccata)は、イチイ科イチイ属の1針葉潅木セイヨウイチイ(西洋一位)とも言う。和名の一位の由来は、この木で正一位などの朝廷の位階を表すを作ったことによる[2]

ヨーロッパに唯一自生するイチイ属であり、英語では本来は単にユー (Yew) と呼ぶ。西洋文学でイチイとあるのは原則としてヨーロッパイチイである。同属他種と区別するために European Yew, Common Yew という。

なお、北米太平洋地域に自生する同属のタイヘイヨウイチイ Taxus brevifolia (Pacific Yew, Western Yew) もセイヨウイチイと言うことがある。ただし、こちらの英名の Western は西洋ではなくアメリカ西部の意味である。

分布[編集]

西欧中欧南欧北東アフリカ南西アジアに自生する。

利用[編集]

古くは、イギリスロングボウの素材としてイチイ材が使われることが多かった。また、材質が硬く、水を通しにくいため、家具を作る材料にも利用される。果実は食用になるが、イチイ同様に種子にはがあり、瀉下薬鎮咳薬などに使う。

Irish Yew Taxus baccata 'Fastigiata' を初めとする多数の栽培品種がある。欧米では庭園樹や街路樹などに植えられる。イギリスアイルランドでは教会などによく植えられ、樹齢千年以上になった古木もある。

タキソールの原料[編集]

パクリタキセル(タキソール)

樹皮などに含まれる10-デアセチルバッカシンIII抗癌剤パクリタキセル商品名タキソール)の半合成原料になる。葉などから抽出するほか、樹木を利用せずに培養細胞から抽出することもできる。

パクリタキセルは当初タイヘイヨウイチイから発見された化合物だが、ごく微量であり利用はできなかった。そのため、似た化合物を十分な量含む種を探した結果、同属のヨーロッパイチイから10-デアセチルバッカシンIIIが発見された。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Conifer Specialist Group 1998. Taxus baccata. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
  2. ^ 基本ハーブの事典 東京堂出版 北野佐久子 2005年p200-202