メアカンキンバイ

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メアカンキンバイ
筑波実験植物園植栽 2015年5月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: タテヤマキンバイ属 Sibbaldia
: メアカンキンバイ S. miyabei
学名
Sibbaldia miyabei (Makino) Paule et Soják[1]
シノニム
  • Sibbaldiopsis miyabei (Makino) Soják[2]
  • Potentilla miyabei Makino[3]
和名
メアカンキンバイ(雌阿寒金梅)[4][5][6]

メアカンキンバイ(雌阿寒金梅、学名:Sibbaldia miyabei)は、バラ科タテヤマキンバイ属小低木[7]高山植物[4][5]

特徴[編集]

根茎から地中性の匍匐枝を出して広がる。は長さ3-10cmになり、分枝して斜上するかまたは這い、古い葉の葉柄に包まれ、木質化する。全体に開出する黄褐色の伏した毛が生える。は互生し、3個の小葉からなる3出複葉になり、葉の長さは3-5cm。頂小葉と側小葉は同じ形で、同じ大きさか頂小葉の方がやや大きく、小葉は、長さ5-15mm、幅4-10mmで、広倒披針形から倒卵形になり、先端は切形で粗い3歯牙があり、基部は広いくさび形、やや革質で灰緑色になる。葉柄は長さ1.5-4cmになり、葉柄の基部にある托葉は、披針形で先端が鋭頭になり、縁は全縁、膜質になり、長さ12-15mmで、半分以上が葉柄と合着する[6][7]

花期は7-8月。茎先に集散花序をつけ、黄色の径12-15mmのを1-5個つける。は5個、萼片は披針形で先は鋭くとがり、長さ5-7mmになり、外側と縁に剛毛が生える。副萼片も5個あり、線形で長さ3-5mmになる。花弁も5個あり、広倒卵形から倒卵状円形で、先端は円頭から凹頭、基部は爪状になり、長さ6-7mm、幅4-6mmになる。雄蕊は20個あり、葯は黄色で卵状球形となる。花床筒は短い卵状円錐形で剛毛が生える。心皮は多数あり、花柱は糸状で長く伸び3-4mmになる。果実痩果で多数あって、長さ約1.5mmになり、ややゆるんだ卵形になり褐色で、長い毛がある[6][7]

分布と生育環境[編集]

北海道の硫黄山羅臼岳斜里岳雌阿寒岳大雪山系羊蹄山に分布し[4][5]、高山の日当たりのよい斜面や砂礫地に生育する[7]。北海道以外では千島列島に分布する[6]

名前の由来[編集]

和名メアカンキンバイは「雌阿寒金梅」の意で、基準標本1897年(明治30年)に雌阿寒岳で採集されたことによる[3][4][5][6]1902年(明治35年)、その基準標本をもとに牧野富太郎によって、バラ科キジムシロ属の種、メアカンキンバイ Potentilla miyabei Makino (1902).として命名、記載された[3]種小名 miyabei は、北海道、千島列島の植物研究を行った札幌農学校北海道帝国大学教授の宮部金吾(1860年 - 1951年)への献名である[6]

分類[編集]

本種は、従来、キジムシロ属 Potentilla に含められていた。しかし、近年の分子系統学的解析により、タテヤマキンバイ属の基準種であるタテヤマキンバイS. procumbens と系統的に近縁であることが明らかとなり、従来の学名 Potentilla miyabei Makino をタテヤマキンバイ属 Sibbaldia に移し、新しい学名を新組み合わせ名 Sibbaldia miyabei (Makino) Paule et Soják (2009)とした[7]

保全状況評価[編集]

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

(2012年環境省レッドリスト)

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ メアカンキンバイ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ メアカンキンバイ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c メアカンキンバイ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d 『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』p.364
  5. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑8 高山に咲く花』p.242
  6. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.288, p.1337
  7. ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物3』pp.57-58

参考文献[編集]