マグロール

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マグロールMaglor第一紀? - ?)は、J・R・R・トールキン中つ国を舞台とした小説、『シルマリルの物語』の登場人物。 もっとも偉大なエルフフェアノール七人の息子の次男。母はネアダネルノルドールの上級王フィンウェの孫。その力強く美しい歌声から、「偉大なる伶人マグロール」(Maglor the Mighty Singer)と呼ばれた。父、兄弟とともに「フェアノールの誓言」をなしたが、母から受け継いだより穏やかな気質のため、誓言によってなされた悪しき所業を悔いることが多かった。ベレリアンドにおいては、ダゴール・ブラゴルラハまでマグロールの山間を治めた。

マグロールの父名はクウェンヤカナフィンウェKanafinwë)であった。「カナ」(Kana)とは、おそらく「指揮者である・威厳ある」(commanding)を意味するクウェンヤ「Kano」からきており、かれの堂々たる声をあらわしたものだろう。かれの母名は「黄金を裂くもの」(Gold-Cleaver)を意味する、 マカラウレMakalaurë)であった。これも彼の声の力強さをほのめかしたものと思われる。「マグロール」はマカラウレのシンダール語訳である。

ノルドール一の伶人としと知られ、その歌声は山海越えて響き渡るほど美しく、竪琴を奏でながらその声を披露した。音楽に関してはノルドールよりもシンダールの方が長けているが、マグロールはノルドとしては別格で、その実力はシンダール一の伶人ドリアスダイロンに次ぐものとされていた。彼の作品の中で最も著名なのは、自身を含むノルドールの没落を歌った『ノルドランテ』。


再会の宴[編集]

太陽の出た年から20年後、フィンゴルフィンはメレス・アダアサド(再会の宴)をひらき、多くのエルフが招かれた。フィンゴルフィンとフィンロドの一族の多く、フェアノールの息子たちのなかからはマイズロスとマグロールとその戦士たちが出席した。またキーアダンに従うファラスリムたちと、オッシリアンド緑のエルフたちも出席した。ドリアスからは無骨者マブルングと伶人ダイロンが出席した。かれらは喜びのうちに語り合い、友情を新たにした。

第三の合戦でのマグロール[編集]

太陽の時代の75年。モルゴスはエルフたちが油断しているものと信じ、オークたちを送り出した。マイズロスとマグロールはドルソニオンの北、アルド=ガレンの平原でオークを挟み撃ちにして打ち破り、アングバンドが見えるところまで追跡して全滅させた。この合戦はダゴール・アグラレブ(赫々たる勝利の合戦)と呼ばれた。

第五の合戦でのマグロール[編集]

太陽の時代の455年、ダゴール・ブラゴルラハでマグロールは敗れ、かれはマイズロスのもとに身を寄せた。マイズロスは「マイズロスの連合」と呼ばれる提案を行い、ノルドールとドワーフ人間がモルゴスに対して連合した。

471年、マイズロスとその兄弟は、ノルドール、人間、ドワーフからなる東軍を率いて、ニアナイス・アルノイディアドを戦った。かれらはオーク、バルログらと戦い善戦したが、東夷のウルファングの息子たちの裏切りによって敗れた。マグロールは裏切りの主導者ウルドールを殺した。フェアノールの息子たちはそれぞれ傷を負いながらも、エルフ、ドワーフの生存者とともにドルメド山へと逃れた。

第二の同族殺し[編集]

ルーシエンがこの世を去り、その息子ディオルシルマリルを受け継いだ。フェアノールの息子たちはこれを引き渡すよう要求したが、ディオルは返答しなかった。するとケレゴルムは兄弟たちを煽りたて、かれらは誓言にしたがってドリアスを襲い、これを滅ぼした。ケレゴルム、カランシアクルフィンはディオルに討たれ、しかしディオルもまた討ち死にした。しかしディオルの娘エルウィングは逃げ延び、シルマリルは彼女の元にあった。太陽の時代の505年のことである。

第三の同族殺し[編集]

580年ごろ。エルウィングがシリオンの河口に住み、シルマリルがかの女の元あることを知ると、フェアノールの息子たちの生き残り、マイズロス、マグロール、アムロドはこれを要求した。エルウィングが拒否すると、兄弟はかの女の一党を襲い、滅ぼした。アムロドはこの戦いのさなかに死んだ。エルウィングはシルマリルを抱いて海へと身を投げ、またしてもかれらは宝玉を取り戻さなかった。

養父マグロール[編集]

マイズロスとマグロールの一党は、エアレンディルとエルウィングの息子たち、エルロンドエルロスを捕らえた。両親は息子たちの運命を憂えたが、マグロールは愛情をもって子供たちを育て、子供たちもまたマグロールを愛した。

さまようマグロール[編集]

583年。怒りの戦いによってモルゴスは捕らえられ、かれから取り上げられた二つのシルマリルは、エオンウェの保管するところとなった。マンウェの伝令であるエオンウェは、ベレリアンドのエルフにアマンと地へと帰ることを勧めたが、マイズロスとマグロールは聞かなかった。マグロールは誓言に倦み疲れ、ヴァリノールにおいて裁きを受けることを望んだが、マイズロスはかれらの謝罪がイルーヴァタール自身に届くことはないと考えた。そのためかれらは誓言を果たすためヴァラール軍に挑んで殺されるか、誓言を果たさず常闇に落ちるかの二者択一に迫られた。マグロールは誓言を放棄すればこれ以上の悪をなさずにすむと主張したが、結局はマイズロスに従った。二人はエオンウェの陣を襲い、シルマリルを一つずつ手に取った。シルマリルはかれらの手を焼き、マイズロスは宝玉とともに大地の裂け目に身を投げ、マグロールはそれを海へと放した。マグロールは二度とエルフのもとへは戻らず、悔恨の歌とともに海辺をさまようものとなった。

マグロールの妻[編集]

トールキンはフェアノールの息子たちのうち結婚していたであろう人物としてマグロールをあげている。しかしながらかれの妻、あるいは子供のことはどこにも記されていない。

フェアノールの系図[編集]

 
 
 
 
 
 
 
フィンウェ
 
ミーリエル
 
マハタン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
フェアノール
 
 
 
ネアダネル
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
マイズロス
 
マグロール
 
ケレゴルム
 
カランシア
 
クルフィン
 
アムロド
 
アムラス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ケレブリンボール

参照すべき項目[編集]