トランス・ワールド航空800便離陸失敗事故

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トランス・ワールド航空 800便
事故機の姉妹機
事故の概要
日付 1964年11月23日
概要 逆噴射装置の誤作動によるオーバーラン
現場 イタリアの旗 イタリア ラツィオ州フィウミチーノ フィウミチーノ空港
乗客数 62
乗員数 11
負傷者数 23
死者数 50
生存者数 23
機種 ボーイング707-331
運用者 アメリカ合衆国の旗 トランス・ワールド航空
機体記号 N769TW
出発地 アメリカ合衆国の旗 チャールズ B. ウィーラー・ダウンタウン空港英語版
第1経由地 アメリカ合衆国の旗 シカゴ・オヘア国際空港
第2経由地 アメリカ合衆国の旗 ジョン・F・ケネディ国際空港
第3経由地 フランスの旗 パリ=オルリー空港
第4経由地 イタリアの旗 ミラノ・マルペンサ空港
第5経由地 イタリアの旗 フィウミチーノ空港
最終経由地 ギリシャの旗 エリニコン国際空港英語版
目的地 アラブ連合共和国の旗 カイロ国際空港
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トランス・ワールド航空800便離陸失敗事故(トランス・ワールドこうくう800びんりりくしっぱいじこ)は、1964年11月23日に発生した航空事故である。トランス・ワールド800便(ボーイング707-331)がイタリアフィウミチーノ空港からの離陸に失敗し、乗員乗客73人中50人が死亡した[1]

飛行の詳細[編集]

事故機[編集]

事故機のボーイング707-331(N769TW)は製造番号17685として製造されて1960年4月21日に初飛行し、同年5月9日にトランス・ワールド航空に納入された。エンジンはプラット・アンド・ホイットニー JT4A-12英語版を搭載していた[1][2]

乗員・乗客[編集]

乗員は非常に経験豊富であった。

  • 機長は44歳の男性で、1960年5月からボーイング707の機長を務めていた。総飛行時間は17,408時間であり、その内2,617時間がボーイング707での飛行時間であった。
  • 副操縦士は46歳の男性であった。総飛行時間は17,419時間であり、その内1,269時間がボーイング707での飛行時間であった。
  • 航空機関士は47歳の男性であった。総飛行時間は14,231時間であり、その内1,308時間がボーイング707での飛行時間であった。
  • 交代副操縦士は41歳の男性であった。総飛行時間は9,928時間であり、その内1,920時間がボーイング707での飛行時間であった。

客室には7人の客室乗務員がいた。

また、乗員乗客の中にはアメリカ人に加えて、フランス人やイタリア人がいた。

事故の経緯[編集]

800便は13時05分にフィウミチーノ空港の滑走路25までタキシングし、その1分後に滑走路上で加速し始めた。しかし、時速148キロメートルに達した時点で計器が第4エンジン推力がゼロであることを示し、すぐに第2エンジンの逆噴射装置を作動させるためのインジケーターが点灯した。パイロットは滑走路端から800~900メートル手前の地点で離陸を中止したが、機体はパイロットが予想していたよりもすぐには減速せず、右に旋回した後に第4エンジンが地上にあったロードローラーに衝突した。この衝突で機体は炎上し始めたが、同機はさらに260メートル程進んだ。機体が完全に静止する前に機体中央の燃料タンクが爆発し、これによって機体は完全に破壊された。この事故で乗員5人(副操縦士と客室乗務員4人)と乗客45人が死亡したが、残りの23人は負傷しつつも生存した[1]

事故現場

事故原因[編集]

事故調査の最終報告書によれば、事故原因は第2エンジンの逆噴射装置が作動しなかったことであった。これは、エアインテークが断裂してエアシリンダーの空気圧が不足したことが原因とされている。これにより、4基のエンジン全てのスラストレバーが逆噴射の位置にあったにもかかわらず第2エンジンは機体を前方に進ませる推力を発生させることとなった[1]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 事故詳細 - Aviation Safety Network
  2. ^ REGISTRATION DETAILS FOR N769TW (TRANS WORLD AIRLINES (TWA)) 707-331 — PlaneLogger”. 2021年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月30日閲覧。

外部リンク[編集]