スヴァローグ
スヴァローグ(Svarog)とはスラヴ神話における太陽神であり、火の精霊の神でもある。輝き清いという意味である。
[編集] 概要
スヴァローグという名は、同じ意味を持つサンスクリット語のSvargaとペルシャ語のxwar(チャバール)と関連している可能性があることから、インド=ヨーロッパ語族との関連性が示唆される。
古スラヴ人にとって火はとても神聖であったため、火が灯っている間は叫んだり罵ることは禁止されていた。民話におけるスヴァローグは「火の大蛇」、「翼を持った火を噴く竜」として描かれている。火の神Svarogichはスヴァローグの息子である(「~ヴィッチ」とは子と言う意味である)という解釈も存在する一方、この2人は同一の火の神を示すという解釈もある。
古スラヴ神話では、スヴァローグは火に介在する生殖や性的な力をもって鍛冶の神としても信仰していた。これらの神話では、同じ竜である巨大蛇あるいは多頭竜の姿をとるズメイと戦っている。当時のズメイは無差別に人々を殺戮していた。スヴァローグは鍛冶で使うトングでズメイを捕まえ、鍬で引き上げ、こらしめた。 いくつかの神話では、スヴァローグは溝を掘るのに、自身の口を鋤代わりに使って耕し、人間に恵みを与えたという。さらにスヴァローグは深い溝を作り、あの世とこの世を切り離す事も出来るという。そして、今度は敵対していたはずのズメイがその溝に死者を放り投げるという共働作業も行なっている。 さらに、いくつかのスラヴ神話では、すきで耕された溝はSmorodina川になったという。そして時代は流れ、やがてズメイはリュブリャナの「竜の橋」等の守護獣にもなり、東欧世界全般では悪竜や守護竜へと多様な変化を遂げていく(詳細はズメイの記事を参照)。
また、スヴァローグは聖コスマスと聖ダミアヌス、聖ミカエルとも同一視された。この場合、聖人を動物表現で表すことが多い。同一視された聖人の姿は黄金の角を持った牛、雄豚、馬、Varagnaという名のハヤブサで現している。
スヴァローグ伝説はスラヴ部族が農業を営み始めた紀元前8世紀から6世紀のころまでさかのぼることが出来る。スヴァローグの語源は言語学上、古スラブ語のsvar(輝き・清浄)という語である。
なお、最近の欧州ではネオペイガニズムというムーブメントがある。ネオペイガニズム上のスヴァローグを最高神かつ創造神とすることがある。本来の古スラヴ神話ではスヴァローグ 、ペルーン、ダジボーグの三柱がトリグラフを構成していたからである。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- Graves, Robert: New Larousse Encyclopedia Of Mythology (Hardcover) Crescent (December 16, 1987)
- Ryan, W. F.:The Bathhouse at Midnight: An Historical Survey of Magic and Divination in Russia (Magic in History Series) (Paperback) Pennsylvania State University Press (September 1999)
- Znayenko, Myroslava T.: The gods of the ancient Slavs: Tatishchev and the beginnings of Slavic mythology (Paperback), Slavica (1980)
- Yoffe, Mark; Krafczik, Joseph: Perun: The God of Thunder (Studies in the Humanities (New York, N.Y.), V. 43.) (Hardcover), Peter Lang Publishing (April 2003)
- フェリクス・ギラン編、小海永二訳『ロシアの神話』青土社1993,pp12-17.