ジャン・バニエ

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ジャン・バニエ

ジャン・バニエ(Jean Vanier、1928年9月10日)はスイスジュネーブに生まれた、カナダ人のカトリックの思想家。知的障がいや発達障がいなどの知的ハンディを持つ人々と持たない人々の共同体であるラルシュ(L'Arche)の創設者、ならびに知的ハンディを持つ人とその家族や友人が定期的に集まり、支えあうネットワークである信仰と光 (Foi et Lumière) の共同創設者。

マザー・テレサの親しい友人であり、ヘンリ・ナウエンにも大きな示唆と影響を与えた人物である。数々の著作があり、その多くは日本語にも翻訳されている。その霊的指導者としての功績からカトリックの司祭と誤って紹介されることが多いが、聖職者ではなく、レイ・パーソン(平信徒)である。

ラルシュ共同体[編集]

「ラルシュ」は、フランス語で「箱舟」の意味から付けられた名前であり、「なかま(コア・メンバー)」と呼ばれる知的ハンディを持つ人々と彼らの生活を支える「アシスタント」と呼ばれる人々が、人間らしさを探そうとするコミュニティー(共同の生活の場)である。ラルシュではそれぞれの信仰が大切にされており、祈りを中心とした生活を送っている。

1964年、ジャン・バニエは、友人のトマ・フィリップ神父を通じて、ラファエルとフィリップという知的ハンディを持つ男性と出会った。病院に閉じ込められるように暮らしていた彼らの状況を知ったバニエは、彼らとともにフランスのトロリー村で祈りを中心とする共同生活を始めた。これが、ラルシュ共同体の始まりである。

その後、ラルシュの霊性に基づくグループ・ホームは各地に作られるようになり、現在ではラルシュ・インターナショナルには40カ国、約150箇所に大小さまざまな共同体が加盟している。それぞれ、知的ハンディを持つ人と持たない人が、本当の家族のようにして共同生活を送っている。

日本におけるラルシュ共同体[編集]

日本では、静岡県静岡市にある「かなの家」が1991年にラルシュ・インターナショナルに加盟しており、現在、日本唯一のラルシュ共同体として次第に規模を拡張し、活発な活動を行なっている。

かなの家の他には、「シード・グループ」と呼ばれるラルシュをモデルとしたグループ・ホームが日本各地に存在し、ラルシュ共同体となることを目指している。

バングラデシュのラルシュと日本[編集]

バングラデシュにもテゼ共同体の支援により、2007年にラルシュ共同体が創設された。バングラデシュのラルシュのコミュニティ・リーダーは、日本の国際協力NGOである日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)から派遣されている、日本人のワーカーである。

イスラム教国のバングラデシュのラルシュでは、それぞれ違う宗教に属するメンバー(イスラム教、ヒンズー教、キリスト教)が、互いの信仰を大切にしつつ、祈りを中心とした生活をともにしていることから、先進的な共同体として世界のラルシュのなかでも特に注目されている。

「信仰と光」[編集]

「信仰と光」は、知的ハンディを持つ人々とその家族・友人が集う、地域ごとの小さなネットワークである。1971年ジャン・バニエとマリーエレン・マチューによってフランスで創設され、約78ヵ国に1,500の共同体が存在する。

メンバーは定期的に集まり、友人として互いの生活での経験を語り合い、喜びと困難を分かち合う。ラルシュと同じ考え方(霊性)に基づいているが、ラルシュと違ってメンバーは必ずしも一緒に暮らしているわけではない。

現在のバニエの活動[編集]

現在は、ラルシュ・インターナショナルの実務的な運営から身を引き、著作やメッセージ、黙想会などを通して、ラルシュの霊的指導者として活動を行っている。

参考文献[編集]

  • ジャン バニエ 『ジャン・バニエの言葉: 講話とインタビュー』 浅野幸治 訳、新教出版社、2012年、ISBN 978-4-40052-360-4
  • ジャン・ヴァニエ 『人と出会うこと』 原田葉子 訳、聖パウロ女子修道会、2008年、ISBN 978-4-78960-657-8
  • ジャン・バニエ 『あなたは輝いている―ラルシュ・コミュニティーからの思索』 佐藤仁彦 訳、一麦出版社、2008年、ISBN 978-4-90066-695-5
  • ジャン・バニエ 『永遠の泉―いま、泣いているあなたは幸いです』 佐藤仁彦 訳、一麦出版社、2006年、ISBN 978-4-90066-666-5
  • ジャン・バニエ 『人間になる』 浅野幸治 訳、新教出版社、2005年、ISBN 978-4-40042-130-6
  • ジャン.ヴァニエ 『暴力とゆるし』 原田葉子 訳、女子パウロ会、2005年、ISBN 978-4-78960-591-5
  • ジャン.ヴァニエ 『うつを越えて』 原田葉子 訳、女子パウロ会、2004年、ISBN 978-4-78960-575-5
  • ジャン・バニエ 『コミュニティー―ゆるしと祝祭の場』 佐藤仁彦 訳、一麦出版社、2003年、ISBN 978-4-90066-657-3
  • ジャン・バニエ 『ラルシュのこころ―小さい者とともに、神に生かされる日々』 佐藤仁彦 訳、一麦出版社、2001年、ISBN 978-4-90066-642-9
  • ヘンリ・ナウエン 『明日への道―ラルシュへと向かう旅路の記録』 長沢道子・植松功 訳、あめんどう、2001年、ISBN 978-4-90067-709-8
  • ジャン・バニエ 『心貧しき者の幸い』 鳩の会 訳、あめんどう、1996年、ISBN 978-4-90067-703-6
  • ジャン・バニエ 『小さき者からの光』 長沢道子 訳、あめんどう、1994年(再版 2010年)、ISBN 978-4-90067-702-9
  • ジャン・バニエ 『希望にあふれて 3版』 長沢巌・ 矢口以文 訳、日本キリスト教書販売、1976年(再版1992年)、ISBN 978-4-81842-126-4
  • ジャン バニエ 『愛と性の叫び―心に傷を負った人々からの』 江草安彦・渡辺和子 訳、ぶどう社、1990年、ISBN 978-4-89240-088-9

外部リンク[編集]