シュウ酸ジフェニル

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シュウ酸ジフェニル
シュウ酸ジフェニルの構造式
IUPAC名 diphenyl oxalate
別名 エタン二酸ジフェニル
サイリューム®
DPO
分子式 C14H10O4
分子量 242.227
CAS登録番号 [3155-16-6]
融点 136 °C
SMILES O=C(Oc1ccccc1)C(=O)Oc2ccccc2

シュウ酸ジフェニル(しゅうさんジフェニル、diphenyl oxalate)は、シュウ酸フェニル基が2つ結合した構造を持つ有機化合物である。ジエステルの一種。シュウ酸ジフェニルまたはその誘導体は、ケミカルライト(冷光)などの化学発光に使われる有名な化合物群である。

合成[編集]

シュウ酸ジメチルにフェノールを加えて加熱すると、エステル交換反応が起こりシュウ酸ジフェニルが生成する。通常はルイス酸などの触媒を加える[1]

H3COOC-COOCH3 + 2 C6H5OH → C6H5OOC-COOC6H5 + 2 CH3OH

化学発光の機構[編集]

シュウ酸ジフェニルを使う化学発光の機構

シュウ酸ジフェニルと蛍光色素 (dye) との混合物に過酸化水素(濃度約35%)が混ざると、シュウ酸ジフェニルが過酸化水素で酸化されながら分解し、2分子のフェノールと1分子の過シュウ酸エステル (ROOC-COOOH) が生じる。過シュウ酸エステルはさらに酸化を受けて 1,2-ジオキセタンジオン(図の四員環化合物)となる。1,2-ジオキセタンジオンは自発的に分解して2分子の二酸化炭素に変わるが、このときに蛍光色素にエネルギーを与えて励起させる[2]。励起された蛍光色素はエネルギーを光 () として放出しながら基底状態に戻る。この光の波長、すなわち目に見えるは蛍光色素の分子構造に依存する。例えば 9,10-ジフェニルアントラセンを添加しておくと青い光が、ルブレンを添加しておくと橙色の光が観測される。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ 例: Biradar, A. V.; Umbarkar, S. B.; Dongare, M. K. Appl. Catal., A: General 2005, 285, 190-195. DOI: 10.1016/j.apcata.2005.02.028
  2. ^ Rauhut, M. M. Acc. Chem. Res. 1969, 2, 80.