ケミカルライト

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ケミカルライトスティック

ケミカルライト (chemical light) は、化学発光による照明器具の総称である。

全般を指す通称としてサイリュームシアリウム (CYALUME, Cyalume) として呼ばれるが、これは米オムニグロー・コーポレーションの登録商標である。ほか、株式会社ルミカ(旧 日本化学発光株式会社)の登録商標であるルミカ (Lumica)、ルミカライトとも呼ばれる。

サイリュームという呼称[編集]

曲げたケミカルライト

サイリュームは商品名だが、世界初のケミカルライトであり、ケミカルライト全般をサイリュームと呼ぶことが多く、これらの代名詞となっている。サイリュームは棒状のもの(ライトスティック)が主流であることから、電気式のライトスティックをもサイリュームと呼ぶこともあるが、ペンライトに分類されるものであり、発光原理は大きく異なる。又、小型懐中電灯を用いて電池式サイリウムを自作する者もいる。

語源は、開発社名のシアナミド (Cyanamid) とルミネッセンス (luminescence、発光) の合成語(ただしこの後、シアナミドはこの商標権を含む発光体事業をオムニグローに売却した)。英語での発音は「サイアルーム」に近いが、日本での商品名および登録商標はあくまでサイリュームである。

サイリウムと呼ばれることも多いが、英語の発音からは無理のあるカナ表記であり[1]、オムニグローの商品名としても誤りである。ただし、他社製品をサイリュームとして売ると商標権侵害になるので、あえてサイリウムとして売ることがある。なお、サイリウムという商標は(ケミカルライトの商標としては)登録されていない。

原理[編集]

色々な種類のケミカルライト

シュウ酸ジフェニル過酸化水素との混合溶液の化学発光により蛍光を放つ。溶液Aをガラス製のアンプルに入れ、そのアンプルが溶液Bとともにポリエチレンの筒に入れ密閉されている。スティックを曲げて内部のアンプルを割ることで2液が混合される。発光のメカニズムについてはシュウ酸ジフェニルを参照。

ケミカルライトの化学反応

発熱せず、引火性がないため屋内でも使用でき、酸素も必要としない。

黄色赤外線などのタイプがある。通常6–8時間、長いもので10時間以上発光する。また、数分間(5分~15分)しか発光しないかわりに高い照度と輝度を有するものもあり、このタイプで代表的なものがウルトラオレンジ(UOと略す場合もある)と呼ばれるものである。

用途[編集]

ケミカルライトを使用するアメリカ陸軍兵士

コンサート会場で幻想的、叙情的などの空間を演出するために用いたり、夜間の自動車トラブルや停電などの災害時、夜釣り浮きなどに利用される。

法執行機関の特殊部隊では、制圧済みの部屋を後続部隊に教えるために地面に設置するほか、軍隊では、ナイトビジョンでしか視認できない赤外線仕様のものが夜間の敵味方識別に使用されている。

また、地震などの災害が発生して下敷きになったなど場合、救助員に居場所を知らせる用途がある。

危険性[編集]

ケミカルライトには過酸化水素が含まれており、また副生成物としてフェノールができる。そのため、この液体が目に入ったり飲んだりすると一時的に痛みが出ることがある。少量であるため水で洗うなどすれば大きな健康被害が出ることはないと言われるが、万一、目に入った場合は眼科医による診断と治療が望まれる。有害な物には違いないので、扱いには注意が必要である。また、本体が破損した場合、中のガラス製のアンプルの破片でけがをする恐れがある。

使用において[編集]

ルミカライト(サイリューム)は上記で述べられている通り、アンプルがポリエチレンの筒に入れ密閉されているものである。 強く折ったりした場合には、簡単に内液がこぼれ出す恐れがある。 また、円筒型の物については、膝などに叩きつけて割る光景も見かけるが、それも液体がこぼれ出す危険があるので、あまり良い使用方法ではない。 さらにこれも円筒型の物に言えるが、本体は細長いため、簡単に手から抜け落ちてしまう場合もあり、飛んでいったサイリューム(ルミカライト)が他人に当たってしまうなどの恐れがあるため、注意が必要である。

脚注[編集]

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  1. ^ 1991年の平成3年6月28日内閣告示第2号「外来語の表記」における留意事項、およびそれ以前の1954年の第2期国語審議会第20回総会での術語表記合同部会報告「外来語の表記について」で、語末(特に元素名等)の-umは原則として「‐ウム」と書くことが示されているが、これにも該当しない。

外部リンク[編集]