コルト AA2000

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コルト オールアメリカン2000
コルト オールアメリカン2000
種類 自動拳銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 コルト・ファイヤーアームズ
仕様
口径 9mm
銃身長 114mm
ライフリング 6条/右回り
使用弾薬 9x19mmパラベラム弾
装弾数 15発
作動方式 シングルアクションロータリーバレル式ショートリコイル
全長 197mm
重量 907g(アルミフレームモデル)
822g(ポリマーフレームモデル)
歴史 
設計年 1992年
製造期間 1992年-1994年
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コルト AA(オールアメリカン)2000: Colt All American 2000)は、アメリカコルト・ファイヤーアームズ社が開発したオートマチック・ピストルである。

概要[編集]

開発経緯[編集]

1980年代後半の当時、アメリカ国内の警察署で採用する拳銃が、この頃のコルト社が生産する警察用拳銃の中心だったダブルアクションリボルバーからオートマチック・ピストルへと移行していった事を切っ掛けに、同社の警察市場における拳銃の出資を取り戻す次世代の拳銃として開発が行われた。本銃はユージン・ストーナーC.リード・ナイトによって設計が行われ、1990年のSHOTショーにて初公開された。[1][2][3][4][5]

ストーナーとリードナイトの数年に渡る合弁事業の末、デザインが完成したが、コルト社へ引き渡されると、二人は同社による最終的なデザインに殆ど意見を示さなかったという。リードナイトは当初、トリガープルを6ポンドにする様求めていたが、コルト社によって12ポンドへと増やし、銃身長とグリップフレームの長さが延長された[5]

しかしながら、革新的で名門の銃器メーカーであるコルト社から発売されたにもかかわらず、低い信頼性に関する報告が後を絶たず、1993年にはリコールをしなければならない事態となった程に評価は低く、大規模な販売は失敗に終わった。そして、僅か2年後の1994年には生産を終了した。コルト社のロン・ウィテカー社長は、「経済的な生産であるためには販売量が十分ではなかった」と述べている[6][7]

コルトの歴史家であるリック・サップは本銃を、「会社の歴史の中で、最も恥ずべき失敗の一つ」とまで評しており、銃器インストラクターのマサド・アヨブは、「悲しく哀れな正確性」と、特に非合理的なデザインに批判的だったという[8][9]

特徴[編集]

フレームはコルト社のピストルでは初のポリマー製で、フロント、リアサイトは固定式3点ドットサイトとなっている。作動機構は、20世紀初頭の古典的な拳銃の一つであるステアーM1912英語版を参考にしたダブルアクションオンリーのロータリーバレル式ショートリコイルを採用しており、バレルラグがカムブロックに回転して停止するまでスチール製のバレルとスライドが後方に移動し、次にバレルラグが所定位置まで合わさると、スライドが後退移動を継続できるようになり、排莢が行われる機構となっている。分解の際に主要部品は7つに分離できるうえ、大半のポリマーフレームのピストルとは異なり、グリップパネルが取り外し可能となっている[10]

木製グリップを備えたアルミフレームのモデルも生産されており、ポリマーフレームモデルと共に生産期間が短かったため、コレクターの間では人気がある[11]

脚注[編集]

  1. ^ Farrell, Scott (1992年). “Where the action is: the double-action-only pistol round-up”. Shooting Industry. オリジナルの2007年11月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071113180808/http://findarticles.com/p/articles/mi_m3197/is_n9_v38/ai_13633474 2007年2月25日閲覧。 
  2. ^ “The legend lives on - Colt files for bankruptcy”. Shooting Industry. (1992年). http://www.findarticles.com/p/articles/mi_m3197/is_n5_v37/ai_12306439 2007年2月26日閲覧。 
  3. ^ Taffin, John (1993年). “The spring handgun review!”. Shooting Industry. http://www.findarticles.com/p/articles/mi_m3197/is_n6_v38/ai_14465905 2007年2月26日閲覧. ""the 9mm of choice now offered by Colt's is the All American 2000."" 
  4. ^ “Wholesalers show reveals market direction - Industry News”. Shooting Industry. (1993年). http://www.findarticles.com/p/articles/mi_m3197/is_n2_v38/ai_13995782 2007年2月26日閲覧. ""Colt's manufacturing gave a first look at their new compact version of the All American 2000, a gun which, if priced competitively, may have a significant impact on the handgun market."" 
  5. ^ a b Lewis, Jack (2004). “Colt's All American 2000”. The Gun Digest Book of Assault Weapons. Iola, Wisconsin: Krause Publications Craft. pp. 49–50. ISBN 0-87349-658-2. https://books.google.com/books?id=N_-Qj4N9YWMC&pg=PA49 
  6. ^ Hopkins, Cameron (2001年). “Kimber Ultra Ten II”. American Handgunner. http://www.findarticles.com/p/articles/mi_m0BTT/is_152_25/ai_72293269 2007年2月26日閲覧. ""Some have been design breakthroughs,...while others have been utterly uninspiring, like the defunct Colt All-American 2000."" 
  7. ^ “Colt's renames Cadet pistol - Colt's Manufacturing Company Inc.'s Colt .22 Single Action pistol”. Shooting Industry. (1994年). http://www.findarticles.com/p/articles/mi_m3197/is_n4_v39/ai_15404105 2007年2月25日閲覧. ""The gun was selling at the rate of 10-12,000 units per year, and for a manufacturer of our size, with 900 employees, it was not enough"" 
  8. ^ Sapp, Rick (2007). Standard Catalog of Colt Firearms. Iola, Wisconsin: F+W Media, Inc. p. 171. ISBN 0-89689-534-3. https://books.google.com/books?id=Q-rnXe1g-F0C&pg=PA170 
  9. ^ Ayoob, Massad (2007). The Gun Digest Book of Combat Handgunnery. Iola, Wisconsib: Gun Digest Books. p. 27. ISBN 1-4402-2654-7. https://books.google.com/books?id=8MNGOPcCDoYC&pg=PA27 
  10. ^ Thompson, Leroy; Smeets, René (1993). Great Combat Handguns. London: Arms & Armour. pp. 97–100. ISBN 1-85409-168-9 
  11. ^ Hartink, A.E. (2002). The Complete Encyclopedia of Pistols and Revolvers. Edison, New Jersey: Chartwell Books, Inc. pp. 87–88. ISBN 978-0-7858-1519-8 

関連項目[編集]