クルマムグラ

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クルマムグラ
福島県中通り地方 2020年5月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : シソ類 Lamiids
: リンドウ目 Boraginales
: アカネ科 Rubiaceae
亜科 : アカネ亜科 Rubioideae
: ヤエムグラ属 Galium
: クルマムグラ G. japonicum
学名
Galium japonicum Makino[1]
シノニム
  • Galium trifloriforme Kom. var. nipponicum Nakai[2]
  • Galium nipponicum Makino, nom. superfl.[3]
和名
クルマムグラ(車葎)[4]

クルマムグラ(車葎、学名Galium japonicum)は、アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属多年草[4][5][6]

特徴[編集]

根茎は横に這って分枝する。はほぼ直立し、高さは20-50cmになり、4稜があり、稜上に刺はない。はふつう6個が輪生し、各輪が隔たって茎につく。葉身は長さ1-3cm、幅0.3-1cm、披針形から楕円形で、先は鋭頭、縁に毛が生え、裏面の中央葉脈に刺毛状の毛は生えない。これらの輪生する葉は、対生する本来の2個の葉と、残りの4個の、葉と同形の托葉となる[4][5]

花期は6-7月。茎先の上部に集散花序を出し、10数個のをつける。花柄は太く、2-3回二又に分枝し、筒は半球形で長毛が生える。花冠は杯形で、径2-3.5mm、白色で先は4裂し[4][5]、ごく短い筒部がある[6]雄蕊は4個ある。子房は2室に分かれ、各室に1個の胚珠がある。花柱は短く2裂する。果実は径2-2.5mmで2個の分果からなり、各分果に1個の種子がある。分果には長い鉤状の毛が密生する[4][5]

オククルマムグラとの違い[編集]

同属のオククルマムグラ G. trifloriforme に似る[6]。両種は混同された時期もあり[7][8]、同種を基本種、本種をその変種として扱われたこともある[9][10]が、現在はそれぞれ独立種とされる[5]

オククルマムグラと比べると、本種は茎の稜に刺がないのに対し、同種には茎の稜に下向きの刺があり、触るとザラザラする。また、本種の葉先は先端に向かって次第に狭くなり、葉の裏面中央脈に刺状毛はないのに対し、同種の葉は本種の葉より大きく、葉先は円頭で中央葉脈の先端だけが短くとがり、葉の裏面中央脈に下向き刺状毛がある[4][5][6][10]。さらに、本種は乾燥すると黒色に変色し、クマリン芳香がある[6]。オククルマムグラは乾燥しても黒色にはならず、緑色を保つか褐色になる[8]

分布と生育環境[編集]

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し[4][6][5]、深山の林中に生育する[5]。世界では、朝鮮半島に分布する[5]

名前の由来[編集]

和名クルマムグラは「車葎」の意[4]。学名および和名ともに、牧野富太郎 (1895) による命名である[8]。ムグラ(葎)は、草むら、藪の意味がある[11]

種小名(種形容語)japonicum は、「日本の」の意味[12]

ギャラリー[編集]

下位分類[編集]

  • ホソバノクルマムグラ Galium japonicum Makino f. stenophyllum Kitag.[13]

脚注[編集]

  1. ^ クルマムグラ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ クルマムグラ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ クルマムグラ(シノニム)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d e f g h 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.389
  5. ^ a b c d e f g h i 内貴章世 (2017)「アカネ科」『改訂新版 日本の野生植物 4』pp.272-274
  6. ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.973
  7. ^ くるまむぐら、牧野富太郎著 (1940)『牧野日本植物圖鑑』p.112、牧野日本植物図鑑インターネット版、高知県立牧野植物園
  8. ^ a b c 奥山春季「Galium 属三種ノ記」, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』Vol.11 No.11, pp.786-789 (1935)
  9. ^ 山崎敬 (1981)「アカネ科」『日本の野生植物 草本III 合弁花類』p.53
  10. ^ a b 『新北海道の花』p.103
  11. ^ 『山溪名前図鑑 野草の名前 春』pp.324-325
  12. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1948
  13. ^ ホソバノクルマムグラ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]