ギョサン

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女性用ギョサン「パール No.95」(丸中工業所製)

ギョサンは、安価な一体成型の樹脂製ビーチサンダルに対する小笠原諸島独自の呼称。名前の由来は「漁業(従事者の履く)サンダル」や「漁協(で売っている)サンダル」の略である。

概要[編集]

素材はプラスチックでできている。鼻緒とソールが一体成型されているため非常に丈夫で、鼻緒が抜けることがないのが特徴である。水を使う場所での使用を想定して設計されており、タイルなどの上でも滑りにくい。

オリジナルは奈良県御所市丸中工業所の製品。元々は茶色系しかなかったが、2018年時点ではラメ入りや蓄光素材製を含めて60種類程度に増えている。マリンスポーツ愛好者らにも普及しており、パラオなど海外でも「PEARL GYOSAN」の商品名で売られている[1]

歴史[編集]

小笠原諸島が日本に返還された1968年頃から漁師たちの間で普及し始めた。まもなく島内の一般住民も日常的に使用するようになり、「ギョサン」という愛称で呼ばれるようになった。その後、島を訪れる人たちの間でも小笠原名物として知られるようになり、小笠原ギョサンのユニークさに目をつけて紹介したテレビ番組『出没!アド街ック天国』小笠原編(テレビ東京、2000年6月放送)など、マスメディアでも紹介されるようになった。

日本各地で普通に売られていたものの、安さと丈夫さが取り柄の実用性重視だったこの履き物が、お洒落アイテムとして本土に紹介されたのは2002年頃のことである。関西地区のダイバーズショップが本土では最初にギョサンを取り扱った。アイドルグループ「」の大野智がテレビ番組の企画で着用した影響もあったためか、女性客を中心に売れ行きが伸びている[2]グアムでの販売も試みられている。

参考文献[編集]

  • 「巻頭特集 続・ギョサン」『季刊誌 i-Bo 17号』(小笠原自然文化研究所、2006年)

脚注[編集]