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2012年2月4日 (土) 14:40時点における版
PSoC(ピーソック、Programmable System-on-Chip)とはサイプレス・セミコンダクター社(Cypress Semiconductor Corporation.)が製造しているマイクロコントローラ製品群の総称である。
概要
製品群はアーキテクチャの違いによって以下のように大きく3種類に分けられる。
- PSoC1 CY8C2xxxx CPUにM8Cを使用
- PSoC3 CY8C3xxxx CPUにIntel 8051を使用
- PSoC5 CY8C5xxxx CPUにARM Cortex M3を使用
マイクロコントローラに加え、「ユーザーモジュール」と呼ばれるブロック構成機能があり、周辺機能を集積できるのが特徴である。
歴史と採用実績
製品としての出荷は2002年に始まった[1]。サイプレスはPSoCを促進するため2002年と2004年に雑誌・Circuit Cellarにて「PSoC Design Challenge」を掲載した[2]。
2009年9月にPSoCにPSoC3とPSoC5の2ファミリを追加する事を発表した。最大の特徴はCPUコア(コアアーキテクチャ)の一新で、PSoC3は8ビットのIntel 8051を、PSoC5には32ビットのARM Cortex M3を採用し、MIPS(100万命令毎秒)を改良・改善している。2010年9月現在、両者ともサンプル出荷が開始されている。なお、当初から存在する初代PSoCは今後もPSoC1として展開される。
TiVoや、アップルiPodのホイール部分の静電容量センサーの制御などに利用されている。
テクノロジー
コア(中心部分)とアナログおよびデジタルブロックで構成されており、プログラムと相互に利用できる。
コア
PSoC1のコアには以下の物が含まれている。
- M8Cマイコン
- フラッシュメモリ
- SRAM
- スリープおよびウォッチドッグタイマー
- PLLを含む複数のクロックソース
- 低速主発振器の内蔵
- 高精度の水晶発振器を使いクロックを外部で作成可能
ユーザーモジュール
PSoCの特徴の1つとして、他のマイクロコントローラ(マイコン)と異なり「ユーザーモジュール」と呼ばれる機能があげられる。様々なアナログおよびデジタルブロックを使用して、マイコンの周辺に必要な一連の機能を集積・内蔵することができる。初期化処理や割り込み処理などのAPIやサブルーチンは開発環境が自動的に作成してくれる。デバイスによって異なるが、最大で16個のデジタルブロックと12個のアナログブロックが利用できる物もある。
デジタルブロックには、デジタルビルディングブロック(DBBxx)とデジタル通信ブロック(DCBxx)の2種類があり、デジタル通信ブロックにはI/Oユーザーモジュール(SPI、I²C、UARTなど)を構成できる。各デジタルブロックは8ビット処理であるが、複数のブロックを組み合わせる事で16・24・32ビットで処理する事ができる。例えば、16ビットのPWMやタイマーはデジタルブロックを2つ接続して処理される。
電源投入時に(ユーザーモジュールを)構成する必要がある点においてはFPGAに似ているが、構成データは内蔵フラッシュメモリーに記憶されており自動的に読み込まれる。PSoC1ではデジタルブロックは既存の物しか使用できず、HDLなどで独自に作成することはできない。ユーザーモジュールの構成は動作中にユーザーモジュールを再構築し、動作・機能を変更することも可能である。
I/Oポート
I/Oポートの機能が固定されている他のマイクロコントローラと異なり、特にデジタル入出力においてはI/Oポートの制約が少ない。PSoCを搭載する基板に合わせて使用するI/Oポートを選択でき、周辺の配線パターンを最適化しやすい。
開発環境
数々の開発環境が無償で提供されている。CUIではなくGUIが徹底しており(基本をマスターした)初心者でも扱いやすいよう考慮されている。
- PSoC Designer、PSoC Creator
- 統合設計環境であり、Visual Studioのような高度なGUIで開発を行える。アセンブラまたはC言語にて開発が行え、コンパイラ(ライセンス込み)も付属している。
- PSoC DesignerはPSoC1を、PSoC CreatorがPSoC3・PSoC5をそれぞれサポートしている。
- PSoC Express
- コードフリーの組込み設計ツール。PSoCの殆どの機能をドラッグ&ドロップのアイコンと論理式でアクセスして利用する事が出来る。
- PSoC Programmer
- ライター(書き込み装置)を利用してデバイスに書き込む際に利用する。
出典
- ^ ロイター:"Cypress Hits Half-Billion Mark in Shipments of PSoC Programmable System-on-Chip Devices"
- ^ Circuit Cellar:PSoC Design Challenge 2002