菊の着綿

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

菊の着綿(きくのきせわた)とは重陽の節句に行われる宮中の習慣。重陽の季語でもある。「きせわた」は「被綿」とも。

平安時代貴族の習慣で、重陽の日に植物染料で染めた黄色真綿を被せ、明くる早朝朝露を含んだ綿を菊より外し、その綿でを拭えば菊の薬効により無病であるという。

中国伝説に、上流に菊の花園があるの菊の花びらが漬かったを飲んだ人が長寿を得たというものがあり、またの「枕慈童」に中国の故事として菊のを飲んで不老不死になった少年が登場するなど、菊を服用するなどして薬効を得るのはもとは中国の習慣であったと思われる。また、室町時代には菊酒という菊を浸した酒を飲むことも行われるようになった。

いずれも古くは京都上方地域の一部に残った風習であったが、昨今ではみられなくなった。

関連項目[編集]