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神奈川県警覚醒剤使用警官隠蔽事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

神奈川県警覚醒剤使用警官隠蔽事件(かながわけんけいかくせいざいしようけいかんいんぺいじけん)とは、1996年神奈川県警察警部補覚醒剤を使用した事件を県警本部長が隠蔽した組織犯罪1999年に発覚し9人が書類送検され、当時の警察本部長ら5人が有罪となった。警察本部長が有罪になったのは史上初で、戦後最悪の警察不祥事と称された[1]

概要

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1996年9月頃、神奈川県警察本部警備部外事課警部補は飲食店で知り合った女性と不倫をし覚醒剤を使用するようになった。12月12日に妄想に取り憑かれるようになり課の当直に電話をして赴き、薬物使用を自供した。腕には注射痕があった。

課長代理は翌13日に監察官室長と監察官に通報し、室長は警務部長渡辺泉郎警察本部長に報告した。また、生活安全部長に、事後処理方法につき相談。その際に、県警本部長の意向の下で、1996年12月、県警は現職警察官の覚醒剤使用を隠蔽することに決定。警部補の尿から「陽性」反応が出なくなるまで、同警部補を横浜市内のホテルに軟禁した。その間、警部補は不倫という理由で諭旨免職となった。

1999年9月、その後これらの事実が内部告発により発覚。元警部補は覚せい剤取締法違反で起訴され、懲役1年6月・執行猶予の有罪判決が言い渡された。

隠蔽事件で立件の対象となったのは9人であり、最終的には1999年12月に当時の県警本部長、警務部長、生活安全部長、監察官室長、監察官の5人が犯人隠匿罪で起訴された(県警本部長を除いた4人は証拠隠滅罪でも起訴された)。本部長経験者が現職当時の犯罪で刑事被告人となるのは初めてであった。2000年5月29日、5人に対して執行猶予付きの有罪判決が言い渡された。

また、神奈川県警の問題が連日報道される中、本来は警察職員の不正を告発しなければならない監察官室が1991年に不祥事を積極的に公表しないよう指示したマニュアルを作成していたことも判明。事件の公表は「一般市民への警察の信頼感と警察職員の士気を低下させるだけ」であり、「マスコミとの摩擦を恐れるだけの安易な考えで公表することがあってはならない」といった内容が報道によって明らかになり、神奈川県警の隠蔽体質が露呈した[2]

その他

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  • 有罪判決を受けた元神奈川県警本部長の息子が児童の死体をネットに掲載するクラブきっず事件が発覚し、2005年7月5日に児童ポルノ禁止法違反で執行猶予付きの有罪判決が出ている。
  • この事件で起訴猶予処分となった元神奈川県警外事課長は停職3ヶ月の処分を受けて依願退職。後に司法試験に受験して3回目で合格し、司法修習を終えた2004年以降は弁護士として、自身の体験を生かしてコンプライアンスに関する本を出したり、公務員を対象とした倫理に関する講習などの仕事も担当している。

出典

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関連項目

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