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| 別名=塩化スルフィニル |
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== 性質 == |
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塩化チオニルは、[[ベンゼン]]、[[クロロホルム]]、[[四塩化炭素]]には溶ける。[[水]]に対しては激しく発熱反応し、[[二酸化硫黄]] SO<sub>2</sub> と[[塩化水素]] HCl になる。また無水の金属ハロゲン化物を作る際の脱水剤や[[カルボン酸]]および[[アルコール]]の塩素化によく用いられる。 |
塩化チオニルは、[[ベンゼン]]、[[クロロホルム]]、[[四塩化炭素]]には溶ける。[[水]]に対しては激しく発熱しながら反応し、[[二酸化硫黄]] SO<sub>2</sub> と[[塩化水素]] HCl になる。また無水の金属ハロゲン化物を作る際の脱水剤や[[カルボン酸]]および[[アルコール]]の塩素化によく用いられる。 |
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特に他のハロゲン化剤と異なり、反応後の生成物が HCl や SO<sub>2</sub> などガスであることと、塩化チオニル自身が低沸点であることから反応系外に除去することが容易である。それゆえ実験室における[[ヒドロキシ |
特に他のハロゲン化剤と異なり、反応後の生成物が HCl や SO<sub>2</sub> などガスであることと、塩化チオニル自身が低沸点であることから反応系外に除去することが容易である。それゆえ実験室における[[ヒドロキシ基]]の[[塩素化]]に好んで用いられる。 |
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また、塩化チオニルによる[[アルコール]]の塩素化は、他の塩素化剤とは異なり反応機構は[[SN1反応|S<sub>N</sub>1反応]]でも[[SN2反応|S<sub>N</sub>2反応]]でも進行しないことが知られており、[[ワルデン反転]]せずに立体保持で反応が進行する。その際の反応機構として四員環遷移状態が提唱されている。 |
また、塩化チオニルによる[[アルコール]]の塩素化は、他の塩素化剤とは異なり反応機構は[[SN1反応|S<sub>N</sub>1反応]]でも[[SN2反応|S<sub>N</sub>2反応]]でも進行しないことが知られており、[[ワルデン反転]]せずに立体保持で反応が進行する。その際の反応機構として四員環遷移状態が提唱されている。 |
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:[[画像:説明 塩化チオニルの塩素化.png|inline|塩化チオニルの塩素化]] |
:[[画像:説明 塩化チオニルの塩素化.png|inline|塩化チオニルの塩素化]] |
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このような分子内置換反応の機構は、S<sub>N</sub>i機構と呼ばれる。 |
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== 製法 == |
== 製法 == |
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塩化チオニルは[[二酸化硫黄]] SO<sub>2</sub> と[[五塩化リン]] PCl<sub>5</sub> と反応させ、副生する[[リン酸トリクロリド]] POCl<sub>3</sub> と分留すると得られる。 |
塩化チオニルは[[二酸化硫黄]] SO<sub>2</sub> と[[五塩化リン]] PCl<sub>5</sub> と反応させ、副生する[[リン酸トリクロリド]] POCl<sub>3</sub> と分留すると得られる。 |
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工業的には[[二塩化硫黄]] |
工業的には[[二塩化硫黄]] SCl<sub>2</sub> を[[三酸化硫黄]] SO<sub>3</sub>で酸化して製造される。 |
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== 関連項目 == |
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* [[塩素化]] |
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[[Category:無機化合物|えんかちおにる]] |
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2007年1月8日 (月) 16:45時点における版
塩化チオニル | |
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塩化チオニルの構造式 | |
別名 | 塩化スルフィニル |
組成式 | Cl2OS |
式量 | 118.97 g/mol |
形状 | 淡黄色液体 |
CAS登録番号 | [7719-09-7] |
密度と相 | 1.65 g/cm3, 液体 |
融点 | −104.5 °C |
沸点 | 76 °C |
塩化チオニル(えんか—、thionyl chloride)とは、亜硫酸の酸塩化物に相当する無機化合物で、化学式 SOCl2、分子量 118.97、融点 −104.5 ℃、沸点 76 ℃、比重 1.65 g/cm3 の淡黄色透明の液体であり、発煙性や刺激臭を有する。CAS登録番号は [7719-09-7]。塩化スルフィニル (sulfinyl chloride) とも呼ばれる。
性質
塩化チオニルは、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素には溶ける。水に対しては激しく発熱しながら反応し、二酸化硫黄 SO2 と塩化水素 HCl になる。また無水の金属ハロゲン化物を作る際の脱水剤やカルボン酸およびアルコールの塩素化によく用いられる。
特に他のハロゲン化剤と異なり、反応後の生成物が HCl や SO2 などガスであることと、塩化チオニル自身が低沸点であることから反応系外に除去することが容易である。それゆえ実験室におけるヒドロキシ基の塩素化に好んで用いられる。
また、塩化チオニルによるアルコールの塩素化は、他の塩素化剤とは異なり反応機構はSN1反応でもSN2反応でも進行しないことが知られており、ワルデン反転せずに立体保持で反応が進行する。その際の反応機構として四員環遷移状態が提唱されている。
このような分子内置換反応の機構は、SNi機構と呼ばれる。
製法
塩化チオニルは二酸化硫黄 SO2 と五塩化リン PCl5 と反応させ、副生するリン酸トリクロリド POCl3 と分留すると得られる。
工業的には二塩化硫黄 SCl2 を三酸化硫黄 SO3で酸化して製造される。