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エンテ型では主翼に垂直尾翼の効果を有する
エンテ型では主翼に垂直尾翼の効果を有する


単発機で胴体上部にプロペラを設置する場合はプロペラ径を大きくできない<ref>p184 これだけ航空力学</ref>が、プロペラ径を小さくすると推進力が落ちるため、プロペラ軸をローリング軸より上にずらしドライブベルトなどで駆動する([[:en:Technoflug Piccolo|Technoflug Piccolo]])、エンジンごとマスト状の構造物に載せるなど、高さを稼いだ機体もあるが追加の機構や構造物の分だけ重量と空気抵抗が増加しメンテナンスの必要も増える。
ジャイロフルーク SC 01やルータン ロング・イージーは機首脚だけが格納できるようになっており、駐機中はプロペラが地面と接触しないように機首脚を格納して機体後部を上に向ける機能を搭載している。


主翼にエンジンを設置する多発機では主翼を[[ガル翼]]として地上との距離を稼ぐ設計があり、この形式を採用した[[:en:Piaggio P.166|Piaggio P.166]]は広告でアピールしていた<ref>[https://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1980/1980%20-%202649.html?search=Pusher%20configuration ]</ref>。ただしガル翼で高くなるのは片側1カ所であり双発機にしか使えない
単発機ではローリング軸より上にずらす設計がある。[[:en:Technoflug Piccolo|Technoflug Piccolo]]はプロペラをエンジンより上部に配置しドライブベルトで駆動している。


動力装置が[[空冷]]式の場合、機体内部に設置すると冷却性能が落ちる<ref name=CT2015_umeda />。空冷エンジンを搭載した震電は胴体両サイドから空気を取り入れ、エンジン後方に設置した強制冷却ファンで空気を導く方式を採用したが、試験飛行では全力を出していないにもかかわらずエンジンの油温が上昇していた。液冷式を採用した[[XB-42 (航空機)]]は試験飛行に成功している。
主翼にエンジンを設置する多発機では主翼を[[ガル翼]]として地上との距離を稼ぐ設計があり、この形式を採用した[[:en:Piaggio P.166|Piaggio P.166]]は広告でアピールしていた<ref>[https://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1980/1980%20-%202649.html?search=Pusher%20configuration ]</ref>。

動力装置が[[空冷]]式の場合、後方にあると冷却性能が落ちる<ref name=CT2015_umeda />。


翼面積が同じならば抵抗は牽引式よりも少ないが、プロペラ後流を主翼に当てられないためエンジン出力を上げて揚力を増加する操作ができない<ref name=mu2>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/13/143/13_143_396/_pdf 三菱双発ター坊多用途機 MU-2]</ref>。[[MU-2]]では開発当初推進式プロペラが検討されたが、MU-2の機体サイズでは価格や重量面でメリットが少ないと判断され、牽引式が採用された<ref name=mu2 />。
翼面積が同じならば抵抗は牽引式よりも少ないが、プロペラ後流を主翼に当てられないためエンジン出力を上げて揚力を増加する操作ができない<ref name=mu2>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsass1953/13/143/13_143_396/_pdf 三菱双発ター坊多用途機 MU-2]</ref>。[[MU-2]]では開発当初推進式プロペラが検討されたが、MU-2の機体サイズでは価格や重量面でメリットが少ないと判断され、牽引式が採用された<ref name=mu2 />。
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戦闘機のメリットであった機首に機銃を搭載できる利点は、1915年には[[:en:Synchronization gear|プロペラと機銃を同調させる機構]]を搭載した[[フォッカー アインデッカー]]が登場したことで失われた<ref>p30 戦闘機と空中戦の100年</ref>。その後も翼内機銃や[[モーターカノン]]などプロペラと干渉しない機構が登場している。
戦闘機のメリットであった機首に機銃を搭載できる利点は、1915年には[[:en:Synchronization gear|プロペラと機銃を同調させる機構]]を搭載した[[フォッカー アインデッカー]]が登場したことで失われた<ref>p30 戦闘機と空中戦の100年</ref>。その後も翼内機銃や[[モーターカノン]]などプロペラと干渉しない機構が登場している。


ダクテッドは機体形状が制限される<ref>p184 これだけ航空力学</ref>
ダクテッドは機体形状が制限される<ref>p184 これだけ航空力学</ref>

胴体上部にプロペラを設置する場合はプロペラ径を大きくできない<ref>p184 これだけ航空力学</ref>ため、マスト状の構造物で高さを稼ぐ設計もあるが、その分重量と空気抵抗が増加する。


ジャイロフルーク SC 01やルータン ロング・イージーは機首脚だけが格納できるようになっており、駐機中はプロペラが地面と接触しないように機首脚を格納して機体後部を上に向ける機能を搭載している。
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計画の初期には,層流翼 を極力利 用 して抵抗 を減 少 しよ うと考 えた.そのため,プ ロペ ラを々の基礎形 を研 究 した.そ の後,こ の程度の機体 では,離 陸 のほ うが着陸 よりもつら く,離 陸が翼面積決定 の決 め手 とな ることが判明 した.pusher typeはtractor type(け ん 引式)に 比 べて,同 じ翼面積の場合は抵抗 は減少 するが,離 陸に当たって プロペ ラ後流に よる揚 力増加 を利用 できないので,翼面積 を大 きくす る必要 を生 じ,結 局抵抗 は 変わ らず,重 量な らびに価 格が増加 するだけ
計画の初期には,層流翼 を極力利 用 して抵抗 を減 少 しよ うと考 えた.そのため,プ ロペ ラを々の基礎形 を研 究 した.そ の後,こ の程度の機体 では,離 陸 のほ うが着陸 よりもつら く,離 陸が翼面積決定 の決 め手 とな ることが判明 した.pusher typeはtractor type(け ん 引式)に 比 べて,同 じ翼面積の場合は抵抗 は減少 するが,離 陸に当たって プロペ ラ後流に よる揚 力増加 を利用 できないので,翼面積 を大 きくす る必要 を生 じ,結 局抵抗 は 変わ らず,重 量な らびに価 格が増加 するだけ

2018年9月12日 (水) 10:40時点における版

推進式を採用したライトフライヤー号

推進式すいしんしき、またはプッシャー式、Pusher configuration)とは、航空機においてプロペラダクテッドファンが機体後部に設置されている形式[1]。プロペラの回転によって生ずる空気の流れは機体を"押し出す"形になる。これに対して牽引式(トラクター式、Tractor configuration)では、プロペラが機体前部に設置されるため機体を"引っ張る"形になる。

概要

RAF F.E.2b。尾部が枠構造になっている。

世界初の有人動力飛行を達成したライトフライヤー号ユージン・バートン・イーリーによって初めて艦上からの離陸に成功したカーチス モデルDなど、初期の航空機の多くは推進式であった。

後述するように推進式のメリットとデメリットの多くは表裏一体であり、デメリットの解消がメリットの減少に繋がっている。また機銃の搭載位置というアドバンテージもほどなくして新技術で解決されており、サイズと用途によっては不利となることもある。プロペラ機は航空機の歴史を通して推進式が主流だったのはライトフライヤー号の飛行から数年であり、そもそも航空機においては潜水艦や船舶においてプロペラ(スクリュー)を後部に配置することに比べ効果は少ないという意見もある[2]

単発の飛行艇モーターグライダーエンテ型、先尾翼機は推進式が多い[3]。特に単発の飛行艇はプロペラを水面から離すため、スーパーマリン・ウォーラスのようにエンジンごと機体上部に配置する設計の機体が主流であり、小型機ではさらに推進式とした機体が複数存在する(リパブリック RC-3 シービーSIAI-マルケッティ FN.333コロニアル スキマー英語版グッドイヤー ダック英語版ICON A5など)。

利点

推進式では牽引式に比べ胴体が短くて済み、尾翼は双ブームか細い1本ブームの先端に取り付けることで[4]機体重量を減らすことが出来る[5]。特にエンテ型では尾翼ブームも不用となり胴体は操縦席とエンジンのみで済み、機首にレーダーなど搭載しなければ、ジャイロフルーク SC 01のように操縦席が機首先端付近まで到達する設計も可能である。

機首にエンジンが無いため形状を空力的に最適化することができる[3]。単発機でも操縦席前方にプロペラが無いため視界が良好となる[6]ため、エジレイ オプティカSeabird Seekerなど観測機に採用されている。

尾翼にスリップストリーム(プロペラ後流)が当たる設計の場合、直接当たるので昇降舵方向舵の効きが良くなる[3]

胴体が短いため風見鳥効果は少なくなるが、離陸滑走中の横風には敏感ではないというメリットもある[7][8]

単発の牽引式では常に主翼や垂直尾翼にプロウォッシュ(螺旋状の気流)が当たり効率が落ちる[6]ことに加え、垂直尾翼が気流で押されて機首が左に向く現象が発生し[9]低速時に出力を上げるとピッチヨーの制御に強く影響する[10]ため、離陸時にはバランスを取るための当て舵操作が必要となり[9]、垂直尾翼をローリング軸から僅かに傾けて取り付ける、エンジンのプロペラ軸を僅かに右に傾けるなどの調整が行われるが、完全には消えない[11]

推進式ではルータン ロング・イージーXB-42 (航空機)のようにプロペラが機体後端にある設計の場合、胴体周りに流れるプロウォッシュの影響がない[9]

[6]

機体にスリップストリーム(プロペラ後流)が当たらない場合は振動が少なくなるため、機内の騒音が軽減される[12]。旅客機では大きなメリットであるためCBA 123ピアッジョ P.180 アヴァンティではセールスポイントの一つとなっている[12]

初期の戦闘機は機銃を機首に搭載するため推進か後部に機銃手を乗せていた[13]。推進式であれば機首に機銃を搭載できるため、敵機の後ろについて追撃することができた[14]。これにより本格的な空戦が可能な制空戦闘機が誕生した[15]

欠点

離陸時の機首上げ動作では地面とプロペラのクリアランスが少なくなるため、地面と接触しないような対策が必要となるが、降着装置を長くすると重量が増加する。ローリング軸からずらすと上下のバランスが崩れる。単純にプロペラ経を小さくすると推進力が落ちるなどそれぞれデメリットがある。震電では降着装置を長めに設計していたが、テストでの離陸滑走中、機首を上げ過ぎてプロペラ端を地面に接触させる事故を起こしたため、垂直尾翼の下部に車輪を付けている。

エンテ型では主翼に垂直尾翼の効果を有する

単発機で胴体上部にプロペラを設置する場合はプロペラ径を大きくできない[16]が、プロペラ径を小さくすると推進力が落ちるため、プロペラ軸をローリング軸より上にずらしドライブベルトなどで駆動する(Technoflug Piccolo)、エンジンごとマスト状の構造物に載せるなど、高さを稼いだ機体もあるが追加の機構や構造物の分だけ重量と空気抵抗が増加しメンテナンスの必要も増える。

主翼にエンジンを設置する多発機では主翼をガル翼として地上との距離を稼ぐ設計があり、この形式を採用したPiaggio P.166は広告でアピールしていた[17]。ただしガル翼で高くなるのは片側1カ所であり双発機にしか使えない。

動力装置が空冷式の場合、機体内部に設置すると冷却性能が落ちる[6]。空冷エンジンを搭載した震電は胴体両サイドから空気を取り入れ、エンジン後方に設置した強制冷却ファンで空気を導く方式を採用したが、試験飛行では全力を出していないにもかかわらずエンジンの油温が上昇していた。液冷式を採用したXB-42 (航空機)は試験飛行に成功している。

翼面積が同じならば抵抗は牽引式よりも少ないが、プロペラ後流を主翼に当てられないためエンジン出力を上げて揚力を増加する操作ができない[18]MU-2では開発当初推進式プロペラが検討されたが、MU-2の機体サイズでは価格や重量面でメリットが少ないと判断され、牽引式が採用された[18]

戦闘機のメリットであった機首に機銃を搭載できる利点は、1915年にはプロペラと機銃を同調させる機構を搭載したフォッカー アインデッカーが登場したことで失われた[19]。その後も翼内機銃やモーターカノンなどプロペラと干渉しない機構が登場している。

ダクテッドは機体形状が制限される[20]

ジャイロフルーク SC 01やルータン ロング・イージーは機首脚だけが格納できるようになっており、駐機中はプロペラが地面と接触しないように機首脚を格納して機体後部を上に向ける機能を搭載している。

採用機種

小型機から大型機まで存在するが、セスナシーラスなどの主要なメーカーでは採用されていない。


モーターグライダー

単発機でのプロペラ配置は、機体後端(ルータン ロング・イージー)と機体上部(リパブリック RC-3 シービーSIAI-マルケッティ FN.333コロニアル スキマー英語版グッドイヤー ダック英語版ICON A5)がある。機体上部に設置する場合、FN.333のように垂直尾翼をプロペラの後部からずらした設計もある。

多発機の場合は、ピアッジョ P.180 アヴァンティのようにT字尾翼とすることでスリップストリームが機体に当たらない設計になる。

YB-35 (航空機)

脚注・出典

  1. ^ Such as Propeller-Driven Sleighs Archived copy”. 2011年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年9月10日閲覧。 or Aerosani
  2. ^ Don Stackhouse (14 February 2007), “ASK DJ Aerotech Question”, DJ Aerotech Electrics Soaring and Accessories, オリジナルの21 November 2011時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20111121030726/http://djaerotech.com/dj_askjd/dj_questions/pushtractor.html 
  3. ^ a b c p184 これだけ航空力学
  4. ^ p184 これだけ航空力学
  5. ^ Raymer, Daniel P., Aircraft Design: A Conceptual Approach,, AIAA, p. 222 
  6. ^ a b c d 電動スカイカーにおけるラダー操舵による走行安定化制御法に関する基礎検討 - 宇宙航空研究開発機構
  7. ^ “Grob tests highlight exhaust problem”, Flight International: 11, (24–30 June 1992), オリジナルの20 May 2011時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20110520124243/http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1992/1992%20-%201611.html  Flight test : Low sensitivity to crosswind gusts and turbulence is another outstanding feature.
  8. ^ Flight test Results for Several Light, Canard-Configured airplanes, Philip W. Brown, NASA Langley Research Center, Pusher Airplane Evaluation (VariEze), Flying Qualities : Directional control during take-off roll is quite easy, even with a strong, gusty crosswind.
  9. ^ a b c The Design of the Aeroplane, Propeller Effects, p304-307
  10. ^ Basic Aerodynamics Term 基本的な航空力学の用語
  11. ^ [1]
  12. ^ a b Niles, Russ (2011年12月13日). “Naples Targets Piaggio Noise”. AVweb. http://www.avweb.com/avwebbiz/news/Naples_Targets_Piaggio_Noise_202459-1.html 2011年12月13日閲覧。 
  13. ^ p26 戦闘機と空中戦の100年
  14. ^ p22 戦闘機と空中戦の100年
  15. ^ p26 戦闘機と空中戦の100年
  16. ^ p184 これだけ航空力学
  17. ^ [2]
  18. ^ a b 三菱双発ター坊多用途機 MU-2
  19. ^ p30 戦闘機と空中戦の100年
  20. ^ p184 これだけ航空力学

参考文献

  • 戦闘機と空中戦(ドッグファイト)の100年史―WW1から近未来まで ファイター・クロニクル 関 賢太郎 著 潮書房光人社 2016年 ISBN 978-4769816287
  • これだけ! 航空工学 飯野 明 著 秀和システム 2016年 ISBN 978-4798046174

https://www.flightglobal.com/pdfarchive/search.aspx?ArchiveSearchForm%24search=Pusher+configuration&ArchiveSearchForm%24fromYear=1910&ArchiveSearchForm%24toYear=2004&x=36&y=14

https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&as_vis=1&q=%E6%8E%A8%E9%80%B2%E5%BC%8F%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%9A%E3%83%A9&btnG=

関連項目

外部リンク