「デモンターブル」の版間の差分
分割可能な自転車の需要の経緯を解説、折りたたみ自転車との違いを車輪の違いとしました。 |
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'''デモンターブル'''({{Lang-fr|démontable}})とは、[[ルネ・エルス]]のカタログ・モデルの名称である。日本国内では、省略して'''デモンタ'''と呼ぶこともある。 |
'''デモンターブル'''({{Lang-fr|démontable}})とは、[[ルネ・エルス]]のカタログ・モデルの名称である。日本国内では、省略して'''デモンタ'''と呼ぶこともある。[[自転車]]の[[フレーム (自転車)|フレーム]]のトップ・チューブとダウン・チューブの中間を分割して小さく持ち運べるようにしたものであり、「{{Lang|fr|démontable}}」を直訳するとフランス語で分割可能という意味である。ルネ・エルスのデザインの影響が大きかった日本では分割可能な自転車をデモンターブルと呼ぶのが通例になっている。逆に英語圏では「セパラブル(Separable)」と呼ばれる事もあるが、呼び方は一定していない。 |
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「{{Lang|fr|démontable}}」を直訳するとフランス語で分割可能という意味である。 |
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===分割機能の種類=== |
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もともとは[[自転車]]の[[フレーム (自転車)|フレーム]]のトップ・チューブとダウン・チューブの中間を分割して小さく持ち運べるようにしたもの。 |
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ルネエルスの設計では接合部に径の異なるスリーブを重ねて、クィックリリースで固定する方式が取られている。フレームのパイプにつながる接合部の中心には凹凸があり、位置がずれるのを防いである。また塗装では剥がれてしまうためにメッキ処理をされている事が多い。現在では、ルネ・エルスの工房も無くなり技術的には、分割機構を製作する事が可能であってもノウハウも継承されにくくなりつつあるが、日本ではオーダーメイドで作る事ができ、また後述のように一部マスプロ車種として生産もされている。 |
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現在では、フランスの工房も無くなり技術的には、分割機構を製作する事が可能であってもノウハウも継承されにくくなりつつある。現在でのデモンターブルの用途としては自動車での運搬よりも飛行機での運搬を目的とする用途が多く、荷物の超過料金が飛行機ごとに厳しく課せられるアメリカでの需要が主流となりつつある。工法も従来の比較的容易な方式である[[S&S Machine]]社のBTCカップリング[[カップリング]]などを購入して取り付ける工房が増えて来た。 |
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最近の工法では[[S&S Machine]]社のBTCカップリング[[カップリング]]などを溶接ないしロウ付けして装着する方法が増えている。この工法ではクロモリだけでなくチタンでも製作は可能となっている。基本フレームビルダーによるオーダーメイドか加工依頼をする必要があるが、後述のように一部マスプロ車種として生産もされている。 |
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ルネ・エルスのような本格的なデモンターブルは、渡辺捷冶製作所:ブランド名SWや[[東叡社]](さいたま市)のようなオーダーメイド工房で製作可能である。 |
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但し、クイック・リリースを別に購入して加工する手間が発生することから、一般的なコンシューマー向けに[[S&S Machine]]社のBTCカップリング(東叡社はS&S社の指定工場)を使い作成することが多く見られるようになった。S&Sの指定工房には、ほかに、[[つねさぶろう]](千葉市)などがある。 |
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同じダイヤモンド・フレームであっても独自の分割方式を設ける工房やマスプロ・メーカーも存在している。 |
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===需要の変化=== |
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上記、ダイヤモンド・フレーム以外であってもデモンターブルは、存在するが、一般的にフォールディング・バイクとして分類する。 |
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[[折り畳み自転車]]は、古くから軍用の[[自転車部隊]]にも採用されている。 |
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しかし現在でのデモンターブルの用途としては飛行機での運搬を目的とする用途が多く、都市間の交通の主流が飛行機である事、そして荷物の超過料金が飛行機(空港から空港の飛行機)ごとに厳しく課せられる事からアメリカでの需要が主流となりつつある。すなわちコンパクトにまとめる事で不必要な出費を抑える事を目的とする事が多い。 |
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[[蝶番|ヒンジ]]を採用する折りたたみ自転車の場合、商品コンセプトとして場所を取らずに自宅に畳んで置き手軽に使う事を目的にしているため比較的簡単に組み上げることが可能な設計となっている。 |
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だが、ヒンジ部分の精度の問題や折りたたみ機構による車体設計の制限などがあり、畳んだ時のコンパクト性を重視した構造と小径車自身の走行性能にも依存していることから、上記デモンターブルよりも性能が落ちるのは、明らかである。 |
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===折りたたみ自転車との違い=== |
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逆にデモンターブルは、分割・組み立ては、折り畳み車に比べると作業工程が増えるものの、基本的にフレームを分割するだけの変更に留まっているので分割式でない自転車と同じ走行性能を有する。 |
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[[蝶番|ヒンジ]]を採用する折りたたみ自転車の場合、コンパクトに折りたたむ事を第一としている事が多い。そのために車輪を小径とする事はほとんどである。小径の特徴として路面の凹凸を拾いやすい事が挙げられており、これは走行性能に直結する。もちろん小径の車輪を使ったデモンターブルにアレックス・モールトンがあるが、モールトンにはサスペンション機能が装備されている。それに対してデモンターブルは基本的に自転車を分割しただけなので、少なくとも設計上の走行性能は同じである。 |
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デモンターブルの欠点としては、その煩雑な分割、組み立て工程が挙げられる。往々にして専用工具を必要とする事もあり、一定以上の自転車の構造の基礎知識を知っておく事が必須となる。もし基礎知識を知らない人がデモンターブルを取り扱う事は容易ではない。反面折りたたみ自転車は自転車の構造を知らなくても勘弁に折りたためるものがほとんどである。 |
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===現行モデル=== |
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デモンターブルはオーダーで注文製造される事がほとんどである。しかし少数ではあるが大量生産を前提に製造されているものもある。現時点での製品は以下の通りである。 |
デモンターブルはオーダーで注文製造される事がほとんどである。しかし少数ではあるが大量生産を前提に製造されているものもある。現時点での製品は以下の通りである。 |
2017年5月8日 (月) 14:48時点における版
デモンターブル(フランス語: démontable)とは、ルネ・エルスのカタログ・モデルの名称である。日本国内では、省略してデモンタと呼ぶこともある。自転車のフレームのトップ・チューブとダウン・チューブの中間を分割して小さく持ち運べるようにしたものであり、「démontable」を直訳するとフランス語で分割可能という意味である。ルネ・エルスのデザインの影響が大きかった日本では分割可能な自転車をデモンターブルと呼ぶのが通例になっている。逆に英語圏では「セパラブル(Separable)」と呼ばれる事もあるが、呼び方は一定していない。
分割機能の種類
ルネエルスの設計では接合部に径の異なるスリーブを重ねて、クィックリリースで固定する方式が取られている。フレームのパイプにつながる接合部の中心には凹凸があり、位置がずれるのを防いである。また塗装では剥がれてしまうためにメッキ処理をされている事が多い。現在では、ルネ・エルスの工房も無くなり技術的には、分割機構を製作する事が可能であってもノウハウも継承されにくくなりつつあるが、日本ではオーダーメイドで作る事ができ、また後述のように一部マスプロ車種として生産もされている。
最近の工法ではS&S Machine社のBTCカップリングカップリングなどを溶接ないしロウ付けして装着する方法が増えている。この工法ではクロモリだけでなくチタンでも製作は可能となっている。基本フレームビルダーによるオーダーメイドか加工依頼をする必要があるが、後述のように一部マスプロ車種として生産もされている。
需要の変化
もともとデモンターブルが生まれた理由にフランスでの事情が挙げられる。1ヶ月近くバカンスを取る事が一般的なフランスで、通常では積みにくい自転車をそのまま自動車のトランクに積みやすくするために開発されたのがデモンターブルの始まりとされている。
しかし現在でのデモンターブルの用途としては飛行機での運搬を目的とする用途が多く、都市間の交通の主流が飛行機である事、そして荷物の超過料金が飛行機(空港から空港の飛行機)ごとに厳しく課せられる事からアメリカでの需要が主流となりつつある。すなわちコンパクトにまとめる事で不必要な出費を抑える事を目的とする事が多い。
折りたたみ自転車との違い
ヒンジを採用する折りたたみ自転車の場合、コンパクトに折りたたむ事を第一としている事が多い。そのために車輪を小径とする事はほとんどである。小径の特徴として路面の凹凸を拾いやすい事が挙げられており、これは走行性能に直結する。もちろん小径の車輪を使ったデモンターブルにアレックス・モールトンがあるが、モールトンにはサスペンション機能が装備されている。それに対してデモンターブルは基本的に自転車を分割しただけなので、少なくとも設計上の走行性能は同じである。
デモンターブルの欠点としては、その煩雑な分割、組み立て工程が挙げられる。往々にして専用工具を必要とする事もあり、一定以上の自転車の構造の基礎知識を知っておく事が必須となる。もし基礎知識を知らない人がデモンターブルを取り扱う事は容易ではない。反面折りたたみ自転車は自転車の構造を知らなくても勘弁に折りたためるものがほとんどである。
現行モデル
デモンターブルはオーダーで注文製造される事がほとんどである。しかし少数ではあるが大量生産を前提に製造されているものもある。現時点での製品は以下の通りである。
- パナソニック(Panasonic)
- 以前は同社ブランドの製品「ラ・スコルサ・ヌーボ」にも、ロード、ミキストなどと並んでデモンターブル・モデルが設定されており、現在もパナソニック サイクルテックでPOSと呼ぶオーダーメード車種のうちOSD9がデモンターブルとしてラインナップされている。接合方式は従来の方式でBTCカップリングは使用していない。
- アレックス・モールトン(Alex Moulton)/ブリヂストン・モールトン(Bridgestone Moulton)
- 独特のトラスフレーム形状で小径車はあるが、自転車の広義にはデモンターブルの一種となる。分割は六角レンチ一本で可能。
- 2004年より分割方式のフレーム「ブレイクアウェイ」を販売。軽量で画期的な接合方式でシートポストもフレームをつなぐ強度の一部として計算されており、六角レンチ一本で分割可能。その後折り畳み自転車メーカーのダホンがリッチーのパテントの使用権を取得、リッチーブランドと並行してブレイクアウェイフレームを使ったデモンターブルを自社ブランドとして製造している。
- サーリー(Surly)
参考文献
- ハイネ, ジャン、プラデーレ, ジャン=ピエール『ハンドメイド自転車の黄金時代 : 華麗なるフランスの旅行車たち』グラフィック社、2011年4月8日(原著2009年)。ISBN 9784766121926。 NCID BB05888232。