「タリム盆地」の版間の差分

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北に[[天山山脈]]、西に[[パミール高原]]と[[カラコルム山脈]]、南に[[崑崙山脈]]と[[アルチン山脈]]がある。盆地内の大部分は[[タクラマカン砂漠]]で占められており、周囲の山脈の雪解け水を源とする[[タリム川]]や[[孔雀河]]などの[[内陸河川]]が流れている。
北に[[天山山脈]]、西に[[パミール高原]]と[[カラコルム山脈]]、南に[[崑崙山脈]]と[[アルチン山脈]]がある。盆地内の大部分は[[タクラマカン砂漠]]で占められており、周囲の山脈の雪解け水を源とする[[タリム川]]や[[孔雀河]]などの[[内陸河川]]が流れている。


およそ2万年前には、盆地のほぼ全域が大湖であったが、[[最終氷期]]が終わり、気候が温暖化するにつれて乾燥化・縮小化進み終には現在の広砂漠になったと考えられている。「さまよえる湖」として知られる[[ロプノール]]は、タリム川の末端湖のひとつであり、この砂漠の北東端にあったが、上流にできた[[ダム]]などの影響で、現在は干上がっている。
およそ2万年前の最後の[[氷河期#氷期と間氷期|氷期]]から現在の[[氷河期#氷期と間氷期|間氷期]]へと遷り変わる頃には、盆地のほぼ全域が[[カスピ海]]のような極めて広となったが、その後気候が温暖化するにつれて次第に水失われ、大部分が砂漠になったと考えられている<ref name="Nazo">{{Cite book|和書|author=石井良治|title=湖がきえた(ロプ・ノールの謎)|publisher=築地書館|year=1988|isbn=4-8067-1059-8}}</ref>。「さまよえる湖」として知られる[[ロプノール]]は、タリム川の末端湖のひとつであり、この砂漠の北東端にあったが、上流にできた[[ダム]]などの影響で、現在は干上がっている。


タリム盆地の地下に、[[五大湖]]の10倍にもなる大きさの地下水源の存在の可能性が指摘されている。塩分と二酸化炭素が多く含まれているので、そのままでは飲用水・農業用水には利用できないとされる。
タリム盆地の地下に、[[五大湖]]の10倍にもなる大きさの地下水源の存在の可能性が指摘されている。塩分と二酸化炭素が多く含まれているので、そのままでは飲用水・農業用水には利用できないとされる。
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[[Image:Tarimbecken 3. Jahrhundert.png|300px|right|thumb|3世紀頃のタリム盆地の勢力図]]
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この盆地は古来中国で[[西域]]と呼ばれた地域で、[[シルクロード]]が通っており、[[楼蘭]]、[[亀茲]]、[[于闐]]といった多くの[[オアシス]][[都市国家]]が栄え、覇を競った。現在は中国領であるが、[[テュルク系民族|テュルク系遊牧民]]だった[[ウイグル|ウイグル人]]がいまも住んでおり、言語もウイグル語で文字は[[アラビア文字]]を使う。[[チベット自治区|チベット]]と並んで[[中国の歴史#少数民族問題|民族問題]]を孕んだ地域である。
この盆地は古来中国で[[西域]]と呼ばれた地域で、[[シルクロード]]が通っており、[[楼蘭]]、[[亀茲]]、[[于闐]]といった多くの[[オアシス]][[都市国家]]が栄え、覇を競った。現在は中国領であるが、[[テュルク系民族|テュルク系遊牧民]]だった[[ウイグル|ウイグル人]]がいまも住んでおり、言語もウイグル語で文字は[[アラビア文字]]を使う。[[チベット自治区|チベット]]と並んで[[中国の歴史#少数民族問題|民族問題]]を孕んだ地域である。

== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
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2015年12月16日 (水) 23:36時点における版

タリム盆地英語Tarim Basinウイグル語تارىم ئويمانلىقى中国語塔里木盆地)は、中央アジアにある内陸盆地である。東西1,400km、南北550kmにわたって広がり、総面積は560,000平方キロメートル。現在は中国新疆ウイグル自治区となっている。

NASAの衛星から見たタリム盆地

北に天山山脈、西にパミール高原カラコルム山脈、南に崑崙山脈アルチン山脈がある。盆地内の大部分はタクラマカン砂漠で占められており、周囲の山脈の雪解け水を源とするタリム川孔雀河などの内陸河川が流れている。

およそ2万年前の最後の氷期から現在の間氷期へと遷り変わる頃には、盆地のほぼ全域がカスピ海のような極めて広大な湖となったが、その後気候が温暖化するにつれて次第に水が失われ、大部分が砂漠になったと考えられている[1]。「さまよえる湖」として知られるロプノールは、タリム川の末端湖のひとつであり、この砂漠の北東端にあったが、上流にできたダムなどの影響で、現在は干上がっている。

タリム盆地の地下に、五大湖の10倍にもなる大きさの地下水源の存在の可能性が指摘されている。塩分と二酸化炭素が多く含まれているので、そのままでは飲用水・農業用水には利用できないとされる。

3世紀頃のタリム盆地の勢力図

この盆地は古来中国で西域と呼ばれた地域で、シルクロードが通っており、楼蘭亀茲于闐といった多くのオアシス都市国家が栄え、覇を競った。現在は中国領であるが、テュルク系遊牧民だったウイグル人がいまも住んでおり、言語もウイグル語で文字はアラビア文字を使う。チベットと並んで民族問題を孕んだ地域である。

脚注

  1. ^ 石井良治『湖がきえた(ロプ・ノールの謎)』築地書館、1988年。ISBN 4-8067-1059-8 

関連項目