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'''無水マレイン酸'''(むすいマレインさん、maleic anhydride)とは、有機化合物の1種で、[[マレイン酸]]の2個の[[カルボキシル基]]が分子内で[[脱水縮合]]してできる[[カルボン酸無水物]]。[[分子式]] C<sub>4</sub>H<sub>2</sub>O<sub>3</sub> の、無色の針状結晶の[[固体]]である。 |
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== 性質と反応性 == |
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無水マレイン酸は、[[高分子]]の原料として工業的に重要である。電子不足オレフィンであるため、[[スチレン]]などの[[モノマー]]と[[ラジカル重合]]により容易に[[共重合]]が進行する。スチレンとの共重合体は交互共重合体の例として有名である。 |
無水マレイン酸は、[[高分子]]の原料として工業的に重要である。電子不足オレフィンであるため、[[スチレン]]などの[[モノマー]]と[[ラジカル重合]]により容易に[[共重合]]が進行する。スチレンとの共重合体は交互共重合体の例として有名である。 |
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[[LUMO]] のエネルギー準位が低く、[[ディールス・アルダー反応]]におけるジエノフィルとしての反応性が高い。 |
[[LUMO|最低空軌道]] のエネルギー準位が低く、[[ディールス・アルダー反応]]におけるジエノフィル(求ジエン体)としての反応性が高い。 |
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無水マレイン酸と第一級[[アミン]]を原料として[[マレイミド]]骨格が合成できる。マレイミド骨格は[[チオール]]との反応性が高く、ペプチドの[[システイン]]残基を捕捉するために利用される。 |
無水マレイン酸と第一級[[アミン]]を原料として[[マレイミド]]骨格が合成できる。マレイミド骨格は[[チオール]]との反応性が高く、ペプチドの[[システイン]]残基を捕捉するために利用される。 |
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無水マレイン酸の 2008年度日本国内生産量は 95,424 t、工業消費量は 22,930 t である<ref>[http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/02_kagaku.html 化学工業統計月報] - 経済産業省</ref>。 |
無水マレイン酸の 2008年度日本国内生産量は 95,424 t、工業消費量は 22,930 t である<ref>[http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/seidou/result/ichiran/02_kagaku.html 化学工業統計月報] - 経済産業省</ref>。 |
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==毒でんぷん騒動== |
== 毒でんぷん騒動 == |
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本製品は工業用途向けであり、食品への使用は想定されていない。[[2013年]]、[[台湾]]にて無水マレイン酸を含む[[デンプン]]が流通していることが発覚し、毒性を理由に回収されたことがある<ref>{{Cite news |
本製品は工業用途向けであり、食品への使用は想定されていない。[[2013年]]、[[台湾]]にて無水マレイン酸を含む[[デンプン]]が流通していることが発覚し、毒性を理由に回収されたことがある<ref>{{Cite news |
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|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/130608/chn13060807010001-n1.htm |
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== 関連項目 == |
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*[[2,5-ジヒドロフラン]] |
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== 脚注 == |
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2015年1月5日 (月) 23:37時点における版
無水マレイン酸 | |
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IUPAC名 | 無水マレイン酸(許容慣用名) 2,5-ジヒドロフラン-2,5-ジオン(系統名) |
分子式 | C4H2O3 |
分子量 | 98.06 |
CAS登録番号 | 108-31-6 |
形状 | 無色固体 |
密度と相 | 1.509 g/cm3, 固体 |
融点 | 52.6 °C |
沸点 | 202 °C |
無水マレイン酸(むすいマレインさん、maleic anhydride)とは、有機化合物の1種で、マレイン酸の2個のカルボキシル基が分子内で脱水縮合してできるカルボン酸無水物。分子式 C4H2O3 の、無色の針状結晶の固体である。
性質と反応性
アセトンやクロロホルムに溶ける。水に溶かすと加水分解してマレイン酸が生じる。
無水マレイン酸は、高分子の原料として工業的に重要である。電子不足オレフィンであるため、スチレンなどのモノマーとラジカル重合により容易に共重合が進行する。スチレンとの共重合体は交互共重合体の例として有名である。
最低空軌道 のエネルギー準位が低く、ディールス・アルダー反応におけるジエノフィル(求ジエン体)としての反応性が高い。
無水マレイン酸と第一級アミンを原料としてマレイミド骨格が合成できる。マレイミド骨格はチオールとの反応性が高く、ペプチドのシステイン残基を捕捉するために利用される。
製造
無水マレイン酸は、ベンゼンなどの炭化水素の気相酸化によって製造される。
無水マレイン酸の 2008年度日本国内生産量は 95,424 t、工業消費量は 22,930 t である[1]。
毒でんぷん騒動
本製品は工業用途向けであり、食品への使用は想定されていない。2013年、台湾にて無水マレイン酸を含むデンプンが流通していることが発覚し、毒性を理由に回収されたことがある[2][3]。回収された違法でんぷん商品は206トンを上回った[4]。
関連項目
脚注
- ^ 化学工業統計月報 - 経済産業省
- ^ “違法食品添加物事件が海外波及-食の安全に揺れる台湾”. 産経ニュース (産経新聞社). (2013年6月8日) 2013年6月8日閲覧。
- ^ 台湾揺るがす「毒でんぷん」 グルメ観光に打撃懸念 日本経済新聞、2013/6
- ^ 台湾の食品 デンプンから違法添加物が検出人民日報、15 May 29 2013