「オイラーの定数」の版間の差分

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{{Otheruses|オイラーのγ|自然対数の底|ネイピア数|整数列|オイラー数}}
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'''オイラーの定数''' (Euler’s constant) は、[[数学定数]]の1つで、以下のように定義される。
'''オイラーの定数'''(オイラーのていすう、Euler’s constant)は、[[数学定数]]の1つで、以下のように定義される。


{{Indent|<math>\gamma := \lim_{n \rightarrow \infty } \left(\sum_{k=1}^n \frac{1}{k} - \ln(n) \right) = \int_1^\infty\left({1\over\lfloor x\rfloor}-{1\over x}\right)\,dx</math>}}
{{Indent|<math>\gamma := \lim_{n \rightarrow \infty } \left(\sum_{k=1}^n \frac{1}{k} - \ln(n) \right) = \int_1^\infty\left({1\over\lfloor x\rfloor}-{1\over x}\right)\,dx</math>}}

2014年3月3日 (月) 03:30時点における版

オイラーの定数(オイラーのていすう、Euler’s constant)は、数学定数の1つで、以下のように定義される。

オイラー・マスケローニ定数 (Euler-Mascheroni constant)、オイラーのγ (Euler's gamma) とも呼ぶ。

この値は、およそ0.57721 56649 01532 86060 65120 90082 40243 10421 59335 93992 35988 05767 23488 48677 26777 66467 09369 47063 29174 67495...である。

上式中のΣ部は調和級数と呼ばれる。調和級数が発散するという事実は、今日に於いては微分積分学の初歩であるが、古くは収束すると考えられていた。

調和級数が発散すること自体は14世紀のパリ大学のニコル・オレームにより証明されている。その後ライプニッツなどは有限項の調和級数の近似式に関心をもつなど17世紀においても数学的な関心を集めていた。

有限項の調和級数の近似式への関心から、レオンハルト・オイラーは調和級数の増え方が極限に於いて対数関数に等しいことを証明した。つまり、調和級数と対数関数との差はある定数に収束し、それをオイラーの定数と呼ぶ。オイラーはこの値を小数第6位まで求めた。その後、ロレンツォ・マスケローニが第32位まで求め(ただし、正しかったのは第20位まで)、γの記号で表した。

オイラーの定数は超越数であろうと予想されているが、無理数であるかどうかさえ分かっていない。

ガンマ関数との関係

大文字のガンマΓで表されるガンマ関数と小文字のガンマγで表されるオイラーの定数は共にオイラーによって与えられたものであるが、オイラー自身はガンマ関数を階乗(factorial)と呼んでいる。ガンマ関数の記号はルジャンドルに始まり、オイラーの定数の記号はマスケローニ英語版に始まるものである[1]。オイラーの定数の記号がガンマ関数に由来するものであったのか、今となっては確かめようがない。しかし、オイラーの定数がガンマ関数に関係しているということは確かである。ガンマ関数の乗積表示

の対数微分

を代入すると

を得る。

積分表示

オイラーの定数の値は以下の定積分で与えられる。

あるいは

を用いれば

となり、更にのときに

であるから

となる。

参考文献

  1. ^ Jeff Miller, Earliest Uses of Various Mathematical Symbols
  • William Dunham, "Euler, The Master of Us All" - Chapter 2

外部リンク