「加糖練乳」の版間の差分
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2013年2月28日 (木) 18:07時点における版
加糖れん乳(加糖煉乳、かとうれんにゅう、英: Sweetened condensed milk)とは、牛乳に糖分を加えて濃縮させた、粘度の高い液体状の食品である。一般的にはれん乳(時には練りミルク)と略称されることが多い。また、れん乳を意味する英語からコンデンスミルクとも呼ばれる。
概要
「練乳」の本来の表記は「煉乳」であり、「練乳」は「煉」が常用漢字に入っていないことにともなう代用表記である。法令では「れん乳」と書かれる。
成分は乳等省令で「乳脂肪分8%以上・乳固形分28%以上・全ての糖分58%以下」(加糖れん乳)と定義されており、一般的な製法は、原料の牛乳に砂糖を加えて煮詰め、液体に光沢が現れたら加熱を止めて冷却し、しばらく寝かせた後に缶やチューブに詰めている。
牛乳に砂糖を加えるのは、甘みをつけるのが第一の目的ではなく、液体化した蔗糖を濃厚にすることで細菌の繁殖を防ぎ、保存性を高めるためであり、蔗糖が結晶せず乳糖が最小限の結晶となる限度まで加えられている。これは容器への充填後に殺菌するのを省くことを図ったものだが、最近の製品は加熱殺菌して出荷されている。この製法は1835年にイギリスのニュートンが考案したのち、1856年にアメリカのゲイル・ボーデンが工業化に成功し製品として売り出した。
用途
加糖れん乳は、当初は新鮮な牛乳を得にくい場所で、湯で薄めて飲用にしたり、コーヒーや紅茶などに加えて飲むために用いられた。現在も、ベトナムではコーヒーに加糖れん乳を入れて飲むのが一般的で、この飲用法は日本でもベトナムコーヒーとして知られつつある。日本では一部のコーヒー飲料にも使われていて、マックスコーヒーに代表されるような濃厚な甘みとミルク感を持つコーヒー飲料を作り出したりしている。また、香港では香港式ミルクティーの一種の「茶走」(チャーザウ)や鴛鴦茶の一種の「鴦走」(ヨンザウ)として紅茶などに用いられている。
しかし、飲用に適した各種乳製品が簡単に入手できるようになった現在、飲用よりも調味料としてイチゴなどにつけて食べたり、かき氷にかけたり、菓子やアイスクリームを作る時の材料として用いられることが多い。また、糖分が多く風味が濃厚なことから、好んで直接食べる人も多い。
一時期、母乳が得られない時に育児用に用いられたこともあるが、乳児が分解しづらい蔗糖や乳脂肪が多く含まれ、逆に核酸などの不可欠な成分が不足するため、専用の育児用粉ミルクが開発された現在では避けられている。
加糖れん乳にまつわる話
- 脱脂乳を使った加糖脱脂れん乳も製造されている。
- 加糖れん乳にカルシウムを加えて薄く板状に固形化した菓子があり、「ミルクケーキ」という商品名をつけられている事が多い。
- ミルクジャムという名称の商品もあるが、多くは糖分によって少しキャラメル風味を持たせた加糖れん乳である。
- 加糖れん乳の缶詰を数時間茹でることで糖分がメイラード反応を起こしドゥルセ・デ・レチェとなる。中南米でよく作られる。
- 日本でロッテが販売しているアイスクリーム「レディーボーデン」は、加糖れん乳を工業化したゲイル・ボーデンが商標の由来である。
- 森永乳業は旧称を日本煉乳株式会社、明治乳業は旧称を極東練乳株式会社といった。
- 五代目三遊亭圓楽は、加糖練乳をそのままの状態で好んで食することで知られている。練乳に関するエピソードとして、地方の仕事の際にイチゴにかけるために出された加糖練乳を、イチゴにかけずにそのまま缶ごと飲み干した、ということがあった。当人の没後に、当時その場に居合わせた林家木久扇によって、その際に薀蓄を言いながらおかわりを求めていたことをネタにされている。