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'''ヤドリギ'''('''宿り木''')は広義には[[ヤドリギ類]] (mistletoe) の総称的通称だが、狭義には特にそのうちの一種、日本に自生する ''Viscum album'' subsp. ''coloratum'' の[[標準和名]]である。 |
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狭義のヤドリギ ''Viscum album'' subsp. ''coloratum'' は、セイヨウヤドリギ ''Viscum album'' ({{lang-en|European mistletoe, common mistletoe}})の亜種である。この項目ではViscum albumとその亜種について解説する。 |
狭義のヤドリギ ''Viscum album'' subsp. ''coloratum'' は、セイヨウヤドリギ ''Viscum album'' ({{lang-en|European mistletoe, common mistletoe}})の亜種である。この項目ではViscum albumとその亜種について解説する。 |
2013年1月3日 (木) 13:26時点における版
ヤドリギ | |||||||||||||||||||||
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Viscum album L.
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Viscum album L. | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ヤドリギ オウシュウヤドリギ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
mistletoe European mistletoe common mistletoe | |||||||||||||||||||||
亜種 | |||||||||||||||||||||
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ヤドリギ(宿り木)は広義にはヤドリギ類 (mistletoe) の総称的通称だが、狭義には特にそのうちの一種、日本に自生する Viscum album subsp. coloratum の標準和名である。
狭義のヤドリギ Viscum album subsp. coloratum は、セイヨウヤドリギ Viscum album (英語: European mistletoe, common mistletoe)の亜種である。この項目ではViscum albumとその亜種について解説する。
なお、学名はラテン語により、「白い(album)宿り木(viscum)」の意。
従来はヤドリギ科に属すとされていたが、現在(APG植物分類体系)はビャクダン科に含められている。
特徴
ヨーロッパおよび西部・南部アジア原産。半寄生の灌木で、他の樹木の枝の上に生育する。30-100cmほどの長さの叉状に分枝した枝を持つ。黄色みを帯びた緑色の葉は1組ずつ対をなし、革のような質感で、長さ2–8センチメートル、幅0.8–2.5cmほどの大きさのものが全体にわたってついている。花はあまり目立たない黄緑色で、直径2–3cm程度である。果実は白または黄色の液果であり、数個の種子が非常に粘着質なにかわ状の繊維に包まれている。
全体としては、半ば宿主の枝から垂れ下がって、団塊状の株を形成する。宿主が落葉すると、この形が遠くからでも見て取れるようになる。
亜種
亜種は一般的に4種類まであるとされており、しばしばさらに2亜種が加えられる。それらは果実の色、葉の形と大きさ、そして最も特徴的には宿主となる木が異なる。
- Viscum album subsp. abietis (Wiesb.) Abromeit — 中央ヨーロッパに分布する。果実は白、葉の大きさ8センチメートル。モミに寄生する。
- セイヨウヤドリギ Viscum album subsp. album — ヨーロッパ、南西アジアからネパールにかけて分布。果実は白、葉は3–5センチメートル。リンゴ属、ポプラ、シナノキ属、まれにコナラ属の樹木に寄生。
- Viscum album subsp. meridianum (Danser) D.G.Long — 東南アジアに分布。果実は黄色。葉は3–5センチメートル。カエデ、クマシデ属、クルミ、サクラ属、ナナカマド属に寄生。
- Viscum album subsp. creticum — ベーリング (Böhling) らが近年クレタ島西部から報告した (Böhling et al. 2002)。果実は白、葉は短い。カラブリアマツ (Pinus brutia) に寄生。
- ヤドリギ Viscum album subsp. coloratum Komar — 日本でヤドリギといった場合、主にこれを指す。『中国植物志』では別種 Viscum coloratum (Komar) Nakai として扱われる。
日本のヤドリギ
日本のヤドリギは上記のようにセイヨウヤドリギの亜種とされる。基亜種の果実が白く熟すのに対し、淡黄色になる。まれに橙黄色になるものがあり、アカミヤドリギ f. rubro-aurantiacum と呼ばれる。宿主樹木はエノキ・クリ・アカシデ・ヤナギ類・ブナ・ミズナラ・クワ・サクラなど幅広いが、基亜種よりは多くない。
果実は冬季に鳥に食われる。キレンジャク・ヒレンジャクなどがよく集まることで知られる。果実の内部は粘りがあり、種子はそれに包まれているため、鳥の腸を容易く通り抜け、長く粘液質の糸を引いて樹上に落ちる。その状態でぶら下がっているのが見られることも多い。粘液によって樹皮上に張り付くと、そこで発芽して樹皮に向けて根を下ろし、寄生がはじまる。
参考文献
- Böhling, N.; Greuter, W.; Raus, T.; Snogerup, B.; Snogerup, S.; Zuber, D. (2003). "Notes on the Cretan mistletoe, Viscum album subsp. creticum subsp. nova (Loranthaceae/Viscaceae)". Israel J. Pl. Sci. 50 (Suppl.): 77–84.
- 佐竹義輔他編、『日本の野生植物 木本 II』(新装版)、(1999)、平凡社