「庶民院 (イギリス)」の版間の差分

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2005年12月28日 (水) 14:47時点における版

庶民院(しょみんいん、House of Commons)は、議会を構成する下院に相当する議院。平民院ともいう。

  1. 英国議会を構成する議院の一つ(本稿ではこれを記載する)
  2. カナダ議会を構成する議院の一つ
  3. アイルランド議会を構成する議院の一つ

庶民院(House of Commons)は貴族院(House of Lords)とともに英国議会において両院制を構成する。ただし立法権限は貴族院より大きい。

注)英国議会は、二院制ではなく国王を含めた三院制であるとする古い法律学説もあるようである。この点は、イギリスに於ける庶民院の発展史・学説史をたどる際に、想起すべき知識である。

庶民院の構成

議院構成

  • 定数:646人(2005年)
法律で定められた定数には幅があり、その範囲内で境界委員会(Boundary Commission)が選挙区を制定するため、人口の増減などで変化する。
  • 会期:一年一会期で、通年開会。ただし休会はある。
  • 定足数:40人。(400人の誤植ではない。)
しかし以前から定足数確認動議が禁止されているので、事実上は議長の外、与野党1人ずつが出席すれば、審議は開始できる。この点貴族院並みとなった。後述のようなロングラン審議を毎日しているのでは、これも致仕方ないところだろう。

議事運営

法案は「3読会制」。伝統的に「本会議」(ないし全院委員会)審議を重視して来たが、最近は案件別(日本米国のような所轄省庁別ではなく)「常任委員会」の設置など、「委員会制度」化へ向けての取り組みも見られる。ただ、やはり庶民院審議の花が、与野党対面の議席にて首相と次期首相(野党党首)が最前列で差し向かいに対決する本会議であることは、今も変わりないだろう。金曜日を除き8時間を超えるロングラン本会議である。しかも会期中平日は毎日開会されている。その上、終了間際に延会動議が提出され、それの審議のためと称してさらに30分ほど審議を続行する。この30分間は毎日一人ずつの議員が、自分の選挙区の問題や社会の関心を集めている問題について政府に質問し対応を求める時間として使われており、特に無名な平議員にとっては活躍のチャンスとなる。

議事日程

一般的な議事日程は以下の通りである。(11:30スタートの場合)

11:30 -

  • 祈祷(Prayers) - 神父により行われ、議長が着席する
  • 諸手続

11:35

  • 口頭質問(Oral Questions) - 大臣に対する質問

12:00

  • 首相への口頭質問 - いわゆるクエスチョンタイム。水曜のみ

12:30 以降は討論(Debate)の時間となる。

  • 政府報告 - 政府の方針や重要事項などがあれば大臣が発表
  • 政府提出法案(Public Bill)の討論と採決
  • 緊急討論(Emergency Debate)

19:00

  • 延会討論(Adjournment Debate)

19:30 延会

基本的な開会時間

  • 月曜 - 14:30-22:30
  • 火曜 - 14:30-22:30
  • 水曜 - 11:30-19:30
  • 木曜 - 10:30-18:30
  • 金曜 - 9:30-15:30(ただし金曜に開会することは少ない)
開会時間は基本的なもので、自由に変更できる。

議員

  • 任期:5年
  • 選挙権:18歳以上
  • 被選挙権:21歳以上
  • 選挙制度:一選挙区・一当選・比較多数・一回投票で、いわゆる単純小選挙区制。労働党・保守党の二大政党制化しているが、近年ではかつての二大政党である自由党の後裔である自由民主党も議席を伸ばしている(イギリスのBBCの選挙報道でも、労働・保守・自民を並べて扱っている)。また、単純小選挙区制度では民意を正確に反映できていないことから、選挙制度の改革を求める声も出てきている。

議長

議長は「スピーカー」(Speaker of the House)と呼ばれる。議事運営の殆どを司り、金銭法案の認定権を握るなど、権限は大きいが、中立公平を貫き先例に従って慎重に行使するべきとされている。 議長は先任者が辞任した場合に原則として全会一致で選ばれる。その際は、政府と野党の中立公平を守るために、大臣経験者ではなくあまり政府に関わりの無かった重鎮議員が好まれる。 議長は辞任を申し出ないかぎり、総選挙を経ても留任するのが原則である。総選挙の際には議長の選挙区には対立党も候補を出さないなどの配慮がなされる。

庶民院の優越

連続2会期(つまり足かけ2年)、庶民院で可決した法案は、貴族院が否決・修正しても、庶民院案のまま法律となる。貴族院は成立を13か月引き延ばせるだけということになる。金銭法案(注)であると庶民院議長が認定した法案は、貴族院で一か月しか成立を遅らせることができない。

  • (注)歳入や歳出を決定する法案。イギリスには統一的な「予算」はない。各税法等や各支出法の総体が、その年の財政の現況であるにすぎない。

首相はもはや貴族院から選ばれることはないだろう。また貴族院で不信任されても首相は辞職の必要はないが、庶民院が不信任した場合は国王が庶民院を解散しない限り、辞職しなければならない。首相信任への優越は憲法的習律である。前2者は、制定法で決まっている。

主な政党と議席数

2005年5月総選挙後の確定議席

政党名議席数
労働党356
保守党197
自由民主党62
その他(スコットランド民族党など)30
合計645

庶民院の歴史

庶民院の誕生

かつて王会(Curia Regis)から発展した英国議会「The Parliament」は貴族国王のみで構成され、庶民からは召集されなかった。しかし1254年シモン・ド・モンフォールが反乱を起こし、1265年に初めて庶民の代表を招いたものが始まりと言われている。

その後、1295年エドワード1世が各州・特権都市から2名の庶民代表を州長官より国会へ派遣させ、これが「模範議会」として後世の議会召集のモデルとなった。

庶民院の独立と発展

当初は庶民は貴族たちと一緒に会議を開いていたが、次第に別室で自分たちだけの協議をするようになった。その後国王と貴族が待つ本会議へ一同出向き、議長が代表して庶民の決議を伝えた(議長を「speaker」と呼ぶのは、これに由来する)。
議長は政治的に大変危険がつきまとい、多くの議長が国王の不興を買って殺された。有名なトマス・モアは議長在任中ではないが、その後大法官にまでなった後にヘンリー8世に殺された。 こういう歴史的経緯から、議長が選ばれた際には、新しい議長はその危険な職務を嫌がる仕草を見せ、それをまわりの議員が無理矢理議長席に連れて行くというパフォーマンスが儀式となって残っている。

大臣をめぐる国王との戦い~貴族院とともに
イギリス革命チャールズ1世クロムウェル名誉革命後のホイッグ時代

選挙権の拡大~国民による支持・政党の強化・内閣による指導
グレイディズレイリグラッドストンロイド=ジョージの「クーポン選挙」

貴族院との戦い
アスキス内閣、アトリー内閣、ブレア内閣