「有糸分裂」の版間の差分

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'''有糸分裂'''(ゆうしぶんれつ、{{Lang-en-short|mitosis}})とは、[[真核生物]]で一般的にみられる[[分裂]]の様式。対立す語は[[無糸分裂]]である[[細胞分裂]]の際に核の中に[[染色体]][[紡錘体]]などの[[糸]]状の構造が形成れて行われる。また有糸分裂を伴う細胞分裂のことを指して有糸分裂ということもある。糸分裂の期間をM期とも言う
'''有糸分裂'''(ゆうしぶんれつ、{{Lang-en-short|mitosis}})とは、[[真核生物]][[細胞分裂]]における[[分裂]]の様式の一つ。細胞分裂の際に[[クロマチン]]が[[染色体]]を形成し、この染色体が[[紡錘体]]によって分配される分裂様式のこと。有糸分裂を伴う細胞分裂のことを指して有糸分裂ということもある。対立する語は[[無糸分裂]]である


[[二倍体]]細胞において[[相同染色体]]を分離させる[[減数分裂]]も有糸分裂の亜形であり(減数有糸分裂)、これに対して通常の有糸分裂を[[体細胞有糸分裂]](somatic mitosis)ということがある。おそらくこちらが本来の定義であるが、単に有糸分裂と言ったときには減数分裂を含めないことが多い。
[[二倍体]]細胞において[[相同染色体]]を分離させる[[減数分裂]]も有糸分裂の亜形であり(減数有糸分裂)、これに対して通常の有糸分裂を[[体細胞有糸分裂]](somatic mitosis)ということがある。{{要出典範囲|おそらくこちらが本来の定義であるが、単に有糸分裂と言ったときには減数分裂を含めないことが多い。|date=2011年8月}}
 
有糸分裂期(M期)以外の長い期間を間期 interphase(I)という(右図)。G2期の後、M期、G1期の順番になる。 [[Image:Cell Cycle 2-2.svg|thumb|right|The cell cycle]] 
==間期==
[[Image:Interphase.png|thumb|left|100 px|Interphase]]
間期は 有糸分裂期(M期)以外の核膜の存在する長い期間を指す。<br />
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==前期==
[[Image:Prophase.jpg| thumb|left|100 px|'''Prophase:''']]
染色体が凝縮する。中心体から[[微小管]]が紡錘体形成る。間期複製された二つの中心体モーター[[タンパク質]]である[[キネシン]]の働きで離れていく。
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==中期==
[[File:Prometaphase 1.jpg| thumb|left|100 px|'''Prometaphase''']]  離れた二つの中心体は前中期で紡錘体極となり、そこから伸びた微小管が染色体の[[動原体]](kinetochore)に結合する。この微小管は動原体微小管とよばれる。図は微小管が核膜内に進入している。このあと前中期では[[核膜]]崩壊する。<br />
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==期==
[[Image:Metaphase.jpg| thumb|left|100 px|'''Metaphase''']]
[[Image:Mitosis-flourescent.jpg| thumb|中期。染色体 (うすい青) が中央に集まる。緑が紡錘体。]] [[Image:Mitotic spindle color micrograph.gif|thumb|中期。染色体 (青) が中央に集まる。緑が紡錘体。]]
中期には細胞の赤道面に染色体が集まる。染色体の各セットが各々正しく紡錘体に結合しているかがチェックされ、これを紡錘体チェックポイントという。支障がある場合は細胞周期が停止する。この期は正しい染色体分配、ひいては細胞分裂のためのもっとも本質的なステップと考えられる。<br />
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== 有糸分裂の進行 ==
==期==
[[ファイル:Mitotic spindle color micrograph.gif|thumb|中期の細胞。染色体 (青) が中央に集まる。緑が紡錘体。]]
[[Image:Anaphase.jpg| thumb|left|100 px|'''Anaphase''' ]]後期では、まず、2つの染色体をつなげていた動原体付近のタンパク質が切断され、分離可能となる。そして、微小管が脱重合によって縮み、染色体がそれぞれの極へと引かれて移動する紡錘体極が離れていく。<br />
[[ファイル:Mitosis-flourescent.jpg|thumb|中期の細胞。ほとんどの染色体 (青) が中央に配列した状態。緑が紡錘体。]]
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=== 間期 ===
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間期は分裂期(M期)以外の期間を指す。
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==期==
=== 前 ===
染色体が凝縮する。[[核小体]]はまだ存在している。[[中心体]]が微小管形成中心として機能し、[[微小管]]の重合進み紡錘体形成る。間期複製された二つの中心体は、[[モータータンパク質]]である[[キネシン]]の働きで離れていく。
[[Image:Telophase.jpg| thumb|left|100 px|'''Telophase''']] 終期には娘染色体が紡錘体極へと到達し、分解されていたゴルジ体や核膜が再形成される。
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==細胞質分裂==
[[アクチン]]と[[ミオシン]]の働きにより、分裂溝ができて、細胞が分かれる。


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== 無糸分裂と有糸分裂 ==
染色体の凝集が進行する。核小体の消失が始まる。離れた二つの中心体は紡錘体極となり、そこから伸びた微小管が染色体の[[動原体]](kinetochore)に結合する。この微小管は動原体微小管とよばれる。図は微小管が核膜内に進入している。[[核膜]]崩壊型の有糸分裂を行う生物では核膜が消失する。
{{Main|無糸分裂}}

真核生物の細胞分裂は有糸分裂が原則であると考えられており、無糸分裂と有糸分裂とを対立させる意味合いは現在は無くなっている。
=== 中期 ===
細胞の赤道面に染色体が配列する。染色体の各1セットが各々正しく紡錘体に結合しているかがチェックされ、これを紡錘体チェックポイントという。支障がある場合は細胞周期が停止する。{{要出典範囲|この期は正しい染色体分配、ひいては細胞分裂のための本質的なステップと考えられている。|date=2011年8月}}

=== 後 ===
染色体をつなげていた動原体付近のタンパク質が切断され、分離可能となる。染色分体は分裂装置の働きにより両極へと移動する。微小管の働きによって染色体が移動すると共に、紡錘体極が離れていく。

=== 終 ===
後期に分配された娘染色体が分散してクロマチンに戻る。核小体が再構成される。核膜崩壊型の分裂を行う生物では、核膜も再構成される。

=== 模式図 ===
<gallery>
ファイル:Interphase.png|間期(interphase)
ファイル:Prophase.jpg|前期(prophase)
ファイル:Prometaphase 1.jpg|前中期(prometaphase)
ファイル:Metaphase.jpg|中期(metaphase)
ファイル:Anaphase.jpg|後期(anaphase)
ファイル:Telophase.jpg|終期(telophase)
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<!-- == 脚注 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
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| 和書
| editor = 石川統 他
| title = 生物学辞典
| year = 2010
| publisher = 東京化学同人
| id = ISBN 978-4807907359
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== 関連項目 ==
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* [[体細胞分裂]]
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2011年8月1日 (月) 10:59時点における版

有糸分裂(ゆうしぶんれつ、: mitosis)とは、真核生物細胞分裂における核分裂の様式の一つ。細胞分裂の際にクロマチン染色体を形成し、この染色体が紡錘体によって分配される分裂様式のこと。有糸分裂を伴う細胞分裂のことを指して有糸分裂ということもある。対立する語は無糸分裂である。

二倍体細胞において相同染色体を分離させる減数分裂も有糸分裂の亜形であり(減数有糸分裂)、これに対して通常の有糸分裂を体細胞有糸分裂(somatic mitosis)ということがある。おそらくこちらが本来の定義であるが、単に有糸分裂と言ったときには減数分裂を含めないことが多い。[要出典]

有糸分裂の進行

ファイル:Mitotic spindle color micrograph.gif
前中期の細胞。染色体 (青) が中央に集まる。緑が紡錘体。
中期の細胞。ほとんどの染色体 (青) が中央に配列した状態。緑が紡錘体。

間期

間期は分裂期(M期)以外の期間を指す。

前期

染色体が凝縮する。核小体はまだ存在している。中心体が微小管形成中心として機能し、微小管の重合が進み紡錘体の形成が始まる。間期に複製された二つの中心体は、モータータンパク質であるキネシンの働きで離れていく。

前中期

染色体の凝集が進行する。核小体の消失が始まる。離れた二つの中心体は紡錘体極となり、そこから伸びた微小管が染色体の動原体(kinetochore)に結合する。この微小管は動原体微小管とよばれる。下図は微小管が核膜内に進入している。核膜崩壊型の有糸分裂を行う生物では核膜が消失する。

中期

細胞の赤道面に染色体が配列する。染色体の各1セットが各々正しく紡錘体に結合しているかがチェックされ、これを紡錘体チェックポイントという。支障がある場合は細胞周期が停止する。この期は正しい染色体分配、ひいては細胞分裂のための本質的なステップと考えられている。[要出典]

後期

染色体をつなげていた動原体付近のタンパク質が切断され、分離可能となる。染色分体は分裂装置の働きにより、両極へと移動する。微小管の働きによって染色分体が移動すると共に、紡錘体極が離れていく。

終期

後期に分配された娘染色体が分散してクロマチンに戻る。核小体が再構成される。核膜崩壊型の分裂を行う生物では、核膜も再構成される。

模式図

参考文献

関連項目