「ブラ-ケット記法」の版間の差分
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この名称は、二つの状態の[[点乗積|内積]]が[[角括弧|'''ブラケット''']]を用いて <math style="vertical-align: -26%; line-height:100%;">\langle\phi|\psi\rangle</math> のように表され、さらに左半分 <math style="vertical-align: -26%; line-height:100%;">\langle\phi|</math> を'''ブラ'''ベクトル、右半分 <math style="vertical-align: -26%; line-height:100%;">|\psi\rangle</math> を'''ケット'''ベクトルと呼ぶことによる。この記法は[[ポール・ディラック]]によって発明され、'''ディラックの記法'''としても有名である。 |
この名称は、二つの状態の[[点乗積|内積]]が[[角括弧|'''ブラケット''']]を用いて <math style="vertical-align: -26%; line-height:100%;">\langle\phi|\psi\rangle</math> のように表され、さらに左半分 <math style="vertical-align: -26%; line-height:100%;">\langle\phi|</math> を'''ブラ'''ベクトル、右半分 <math style="vertical-align: -26%; line-height:100%;">|\psi\rangle</math> を'''ケット'''ベクトルと呼ぶことによる。この記法は[[ポール・ディラック]]によって発明され、'''ディラックの記法'''としても有名である。 |
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== 直交基底とブラケット記法 == |
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ブラケット記法で表される基底 <math>|\alpha\rangle, |\beta\rangle</math> が互いに直交する場合、 |
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その内積は |
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<math>\langle\alpha|\beta\rangle=\delta_{\alpha\beta}</math> |
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となる。 |
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(<math>\alpha,\beta</math>が連続変数である場合は <math>\delta_{\alpha\beta}\to\delta(\alpha-\beta)</math> のように[[デルタ関数]]に置き換える。) |
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また正規直交基底がはる完全性は |
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<math>\sum_\alpha|\alpha\rangle\langle\alpha|=1</math> |
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と表現される。(<math>\alpha</math>が連続変数である場合は <math>\sum_\alpha\to\int d\alpha</math> のように積分に置き換える。) |
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== 第二量子化とブラケット記法 == |
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[[第二量子化]]された粒子生成演算子<math>a^\dagger</math>を用いて2粒子状態を |
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<math>|\alpha\beta\rangle=a^\dagger_\alpha a^\dagger_\beta |0\rangle</math> |
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と定義する。この時、演算子<math>a^\dagger</math>が[[フェルミオン]]を表す演算子である場合、これらは反[[交換関係]]<math>\{a^\dagger_\alpha,a^\dagger_\beta\}=0</math>を満たすので、 |
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|\alpha\beta\rangle=a^\dagger_\alpha a^\dagger_\beta |0\rangle=-a^\dagger_\beta a^\dagger_\alpha |0\rangle=-|\beta\alpha\rangle |
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となり、反対称化されていることがわかる。 |
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2011年2月2日 (水) 19:31時点における版
ブラ-ケット記法(ブラ-ケットきほう、bra-ket notation)は量子力学における量子状態を記述するための標準的な記法である。
この名称は、二つの状態の内積がブラケットを用いて のように表され、さらに左半分 をブラベクトル、右半分 をケットベクトルと呼ぶことによる。この記法はポール・ディラックによって発明され、ディラックの記法としても有名である。
直交基底とブラケット記法
ブラケット記法で表される基底 が互いに直交する場合、 その内積は
となる。 (が連続変数である場合は のようにデルタ関数に置き換える。)
また正規直交基底がはる完全性は
と表現される。(が連続変数である場合は のように積分に置き換える。)
第二量子化とブラケット記法
第二量子化された粒子生成演算子を用いて2粒子状態を
と定義する。この時、演算子がフェルミオンを表す演算子である場合、これらは反交換関係を満たすので、
となり、反対称化されていることがわかる。