薩長同盟

薩長同盟 （さっちょうどうめい）は、江戸時代後期（幕末）の慶応2年1月21日（1866年3月7日）に京都二本松薩摩藩邸で締結された、薩摩藩と長州藩の政治的、軍事的同盟である。薩長連合ともいう。

概要

京都を中心とする幕末の政治世界で影響力を持った薩摩藩と長州藩は倒幕思想では共通していたが、薩摩藩論を主導する西郷隆盛・大久保利通は、1864年（元治元年）8月18日に会津藩と協力し京の政界から長州を追放した八月十八日の政変を行い、更に同8月20日の禁門の変で長州を京都から追放する。朝敵となった長州は幕府から第一次長州征討を受け、この因縁により薩長間は敵対関係となった。

長州・薩摩間の和睦は、イギリスの駐日公使であるハリー・パークスが長州の高杉晋作と会談したり、薩摩や同じく幕末の政界で影響力を持っていた土佐藩を訪問するなどして西南の雄藩を結びつけさせたことに始まる。

土佐の脱藩浪人で長崎で貿易商を営んでいた坂本龍馬や中岡慎太郎の斡旋もあって、主戦派の長州藩重臣である福永喜助宅において会談が進められ、下関での会談を西郷が直前に拒否する事態もあったが、1月21日（18日、22日説も）京都小松清廉邸（京都市上京区）で坂本を介して西郷隆盛、小松清廉と長州藩の木戸貫治が倒幕運動に協力する6か条の同盟を締結した。他の薩摩側出席者は大久保利通、島津伊勢、桂久武、吉井友実、奈良原繁。

その後の戊辰戦争への第一段階の様に置かれることが多いが、以下に認められる様に、長州藩の状況が悪くなっても薩摩藩は長州藩を支援するという内容であって、共に倒幕へ向けて積極的に動き出そうとするものではない。

提携内容（6ヶ条）

一、戦いと相成候時は、すぐさま二千余の兵を急速差登し、只今在京の兵と合し浪華へも一千程は差置き、京阪両所相固め候事

一、戦、自然も我が勝利と相成り候気鋒相見え候とき、其節朝廷へ申上げきっと尽力の次第これあり候との事

一、万一敗色に相成り候とも、一年や半年に決して潰滅致し候と申す事はこれなき事に付き其間には必ず尽力の次第これあり候との事

一、是なりにて幕兵東帰せし時は、きっと朝廷へ申上げすぐさま冤罪は朝廷より御免に相成り候都合にきっと尽力との事

一、兵士をも上国の土、橋、会、桑も只今の如き次第にて、勿体なくも朝廷を擁し奉り、正義を抗し、周旋尽力の道を相遮り候時は、終に決戦に及ぶほかこれなくとの事

一、冤罪も御免の上は、双方とも誠心を以て相合し、皇国の御為に砕身尽力仕り候事は申すに及ばず、いづれの道にしても、今日より双方皇国の御為め皇威相輝き、御回復に立ち至り候を目途に誠しを尽くして尽力して致すべくとの事なり

表に御記入しなされ候六条は小・西両氏および老兄龍等も御同席にて談合せし所にて、毛も相違これなく候。従来といえども決して変わり候事はこれなきは神明の知る所に御座候。

※上記原文記載の人員の他には、坂本龍馬が木戸の求めに応じて裏面に朱書で、裏書署名している。

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