「吸光度」の版間の差分

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式の導出と説明
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[[ファイル:Beer lambert.png|thumb|吸光度測定]]
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'''吸光度'''(きゅうこうど, '''absorbance''')特定の波長の[[光]]に対して[[物質]]の吸収強度を示す尺度である。光度Aは次の定義に従って算出される。無次元量
'''吸光度'''(きゅうこうど、[[英語|英]]: absorbance)とは[[]]におい、ある物体を[[]]が通った際に強度がどの程度弱まるかを示す[[無次元量]]である。'''学密'''(こうがくみつど、[[英語|英]]: optical density)とも呼ばることがある。吸収・[[散乱]]・[[反射]]をすべて含むため、吸収のみを表すものではない


[[分析化学]]において、[[波長]] λ における吸光度 ''A''<sub>λ</sub> は
<math>A=\log_{10}(I_0/I)=0.434\alpha L \,</math>
:<math>I_0</math> = 入射光強度
:<math>A_\lambda = -\log_{10}(I/I_0)</math>
と定義される。つまり、入射光強度 ''I''<sub>0</sub> と透過光強度 ''I'' の比([[透過率]])の[[常用対数]]をとり、吸収のある場合を正とするために負号を付けたものである。透過率が光路長の指数関数であるのに対し、吸光度は対数で表されているため光路長に[[比例]]する。例えば透過率が 0.1(吸光度が 1)の物体の厚さが3倍になったとすると透過率は 0.1<sup>3</sup> = 0.001 になるのに対し、吸光度は単に3倍になる。
:<math>I</math> = 透過光強度
: <math> \alpha </math> = [[吸収係数|吸光係数]]
:<math>L</math> = 物質の厚さ


吸光度を[[吸収係数|吸光係数]] α と光路長 ''L'' とを用いて表すと、α''L'' = -[[自然対数|ln]] (''I''/''I''<sub>0</sub>) なので
光学密度(optical density)は機械的に測定され上記の式で計算されるもので、散乱・反射を含み、吸収そのものではない。
:<math>A_\lambda = -\log_{10}(I/I_0) = -\frac{\ln (I/I_0)}{\ln 10} \simeq 0.434 \alpha L</math>
となる。


吸光度を測定するためには分光光度計が使用されるが、測定する光の波長帯により光源と検出器が異なるので、
吸光度を測定するためには分光光度計が使用される測定する光の波長帯により光源と検出器が異なる測定装置が用いられる。
*赤外分光光度計
*可視・紫外分光光度計
のいずれかの装置で測定される。


液体の吸光度を測定する場合石英セルに入れる場合が多いが、その場合は<math>I_0</math>がblank cellの透過光強度、<math>I</math>sample cellの透過光強度となる。
液体の吸光度を測定する場合石英セルに入れることが多いその場合は ''I''<sub>0</sub>が空のセルの透過光強度、''I'' 試料セルの透過光強度となる。
吸光度は試料セルの光路長と試料濃度 ''C'' に比例し、

:<math>A_\lambda = \alpha LC</math>
吸光度はSample Cellの光路長とSample濃度 (C) に比例し、
で表される。これを'''[[ランベルト・ベールの法則]]'''と呼ぶ。この法則を使うと[[検量線]]から物質濃度を算出る。

<math>A= \alpha LC</math>

で表されこれを'''[[ランベルト-ベールの法則|ランベルト・ベール(ランバート・ベール)の法則]]''' ('''Lambert-Beer law''') と呼ぶ。このランベルト・ベールの法則を使い、[[検量線]]から物質濃度を測定することが可能る。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2010年2月9日 (火) 11:58時点における版

ファイル:Beer lambert.png
吸光度測定

吸光度(きゅうこうど、: absorbance)とは分光法において、ある物体をが通った際に強度がどの程度弱まるかを示す無次元量である。光学密度(こうがくみつど、: optical density)とも呼ばれることがある。吸収・散乱反射をすべて含むため、吸収のみを表すものではない。

分析化学において、波長 λ における吸光度 Aλ

と定義される。つまり、入射光強度 I0 と透過光強度 I の比(透過率)の常用対数をとり、吸収のある場合を正とするために負号を付けたものである。透過率が光路長の指数関数であるのに対し、吸光度は対数で表されているため光路長に比例する。例えば透過率が 0.1(吸光度が 1)の物体の厚さが3倍になったとすると透過率は 0.13 = 0.001 になるのに対し、吸光度は単に3倍になる。

吸光度を吸光係数 α と光路長 L とを用いて表すと、αL = -ln (I/I0) なので

となる。

吸光度を測定するためには分光光度計が使用される。測定する光の波長帯により光源と検出器が異なる測定装置が用いられる。

液体の吸光度を測定する場合は石英セルに入れることが多い。その場合は I0が空のセルの透過光強度、I が試料セルの透過光強度となる。 吸光度は試料セルの光路長と試料濃度 C に比例し、

で表される。これをランベルト・ベールの法則と呼ぶ。この法則を使うと検量線から物質濃度を算出できる。

関連項目