「水中文化遺産保護条約」の版間の差分

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こうした問題に対処するため、2001年の第31回ユネスコ総会で水中文化遺産保護条約が採択された。この条約では少なくとも100年間水中にある[[文化遺産]]を[[水中文化遺産]]と定義して保護の対象とし、水中文化遺産の商業目的による利用の禁止、保護に関しては現状での保全を優先とすること、専門家による調査の徹底などを定めている。また、領海、排他的経済水域、[[深海底]]などの区域ごとに保護措置を規定している。
こうした問題に対処するため、2001年の第31回ユネスコ総会で水中文化遺産保護条約が採択された。この条約では少なくとも100年間水中にある[[文化遺産]]を[[水中文化遺産]]と定義して保護の対象とし、水中文化遺産の商業目的による利用の禁止、保護に関しては現状での保全を優先とすること、専門家による調査の徹底などを定めている。また、領海、排他的経済水域、[[深海底]]などの区域ごとに保護措置を規定している。


水中文化遺産保護条約の発効には20か国以上の批准が条件となっており、[[アメリカ合衆国]]、[[イギリス]]、[[日本]]などの主要国は批准には至っていないが、2008年10月現在の段階で批准国数が20か国に達し、2009年1月より発効されることが決定された。しかし、条約が排他的経済水域の管轄権に関して[[沿岸国]]に与えている権限が強すぎる点などが問題視されている。
水中文化遺産保護条約の発効には20か国以上の批准が条件となっており、2008年10月現在の段階で批准国数が規定に達し、2009年1月より発効されることが決定された。しかし、アメリカ合衆国、イギリス、日本などの主要国は批准には至っていない。この理由として、条約が排他的経済水域の管轄権に関して沿岸国に与えている権限が強すぎる点などがあげられている。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==

2008年10月30日 (木) 07:49時点における版

第二次世界大戦中に紅海で沈没したイギリスの軍用貨物船ティスルゴーム

水中文化遺産保護条約(すいちゅうぶんかいさんほごじょうやく、Convention on the Protection of the Underwater Cultural Heritage)は、2001年の国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)総会で採択された、沈没船海底遺跡などの水中文化遺産の保護を目的とした条約である。批准国の数が所定の数に達し、2009年1月より発効される。

概要

世界の海には300万隻の沈没船が沈んでいると言われる[1]。1960年代以降、トレジャーハンター海洋サルベージを行って沈没船や海底遺跡などの水中文化遺産を引き上げ、私的に売買する活動が活発になった。トレジャーハンターは科学的調査は行わずに、水中文化遺産を破壊して金銭的価値のあるものだけを収集していたため、こうした行為に対する国際的な非難が高まったが、これを規制する国際法は長らく存在しなかった。

1982年に国連海洋法条約が採択され、1994年に発効し、水中文化遺産についても領海内での無断調査の禁止、領海外でも当該文化遺産の起源を有する国への配慮が盛り込まれた。しかし規制は不十分であったためトレジャーハンターの活動は続けられた。日本でも、水中文化遺産については文化財保護法埋蔵文化財に関する規定などが適用されるが、現行法は領海内でしか適用されず、排他的経済水域大陸棚における水中文化遺産の保護については特別の定めは存在しない。

こうした問題に対処するため、2001年の第31回ユネスコ総会で水中文化遺産保護条約が採択された。この条約では少なくとも100年間水中にある文化遺産水中文化遺産と定義して保護の対象とし、水中文化遺産の商業目的による利用の禁止、保護に関しては現状での保全を優先とすること、専門家による調査の徹底などを定めている。また、領海、排他的経済水域、深海底などの区域ごとに保護措置を規定している。

水中文化遺産保護条約の発効には20か国以上の批准が条件となっており、2008年10月現在の段階で批准国数が規定に達し、2009年1月より発効されることが決定された。しかし、アメリカ合衆国、イギリス、日本などの主要国は批准には至っていない。この理由として、条約が排他的経済水域の管轄権に関して沿岸国に与えている権限が強すぎる点などがあげられている。

参考文献

  1. ^ 海洋政策研究財団

関連項目

外部リンク