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タイヤ競争が激化していた時代には、各カテゴリにおいて予選用に、寿命は短いがより高いグリップを得る事が可能な予選用タイヤ(Qタイヤ)なども用意されていたが、F1では1998年のレギュレーション変更により、[[グルーブドタイヤ]]の使用が義務付けられた。また、予選と本戦で同一のタイヤを使用することを義務づけたり、予選と本戦を通じて使用できるタイヤの種類(コンパウンド)自体を指定したりと、Qタイヤが存在できないようにしているレースも少なくない。
タイヤ競争が激化していた時代には、各カテゴリにおいて予選用に、寿命は短いがより高いグリップを得る事が可能な予選用タイヤ(Qタイヤ)なども用意されていたが、F1では1998年のレギュレーション変更により、[[グルーブドタイヤ]]の使用が義務付けられた。また、予選と本戦で同一のタイヤを使用することを義務づけたり、予選と本戦を通じて使用できるタイヤの種類(コンパウンド)自体を指定したりと、Qタイヤが存在できないようにしているレースも少なくない。

ドラッグレースにおけるスリックタイヤは主にドラスリとよばれ主な会社はミッキートンプソンやグッドイヤーなどである。このタイヤの特徴はラジアル構造ではなくバイヤス構造であることと、コンパウンドが極端にやわらかいことである、
それと空気圧も極端にひくく設定され、タイヤがたわむことでグリップを稼ぐものである。


==スリックタイヤの寿命==
==スリックタイヤの寿命==

2008年8月28日 (木) 14:23時点における版

スリックタイヤ

スリックタイヤ(Slick tyre, Slick tire)とは、サイピング(siping:排水用の溝)のない、舗装路面を走行するために使用される車両用のタイヤ日本においては、道路運送車両法にて溝のないタイヤは公道で使用することができず、純粋に競技用のタイヤである。ブロックパターンでない、舗装路走行用のMTB用タイヤをこう呼ぶ事もある。

一般に使用されるタイヤはゴムと路面の摩擦によりグリップを得るが、スリックタイヤはタイヤ表面を溶かして路面に粘着することでもグリップを得ており、そのメカニズムはガムテープに似る。そのためタイヤ表面が充分に加熱されていないと本来の性能を発揮することはできない。その性質上一般の自動車に使われることはなく、モータースポーツにおいて乾燥舗装路面を走行する際に使用される。

モータースポーツにおけるスリックタイヤ

路面状況によって性能が著しく変化するため、レース戦略やレーサーの好みに応じて、レースにおいては複数の種類が運用される。これらは長時間走行性維持性能や短時間における走行性能、路面の舗装の違い等に対応し、様々なものが使用される。

スリックタイヤは溝がないため濡れた路面における使用は非常に危険であり、この場合はスリックタイヤに溝を加工したカット・スリック、または雨専用のレインタイヤが使用される。

タイヤ競争が激化していた時代には、各カテゴリにおいて予選用に、寿命は短いがより高いグリップを得る事が可能な予選用タイヤ(Qタイヤ)なども用意されていたが、F1では1998年のレギュレーション変更により、グルーブドタイヤの使用が義務付けられた。また、予選と本戦で同一のタイヤを使用することを義務づけたり、予選と本戦を通じて使用できるタイヤの種類(コンパウンド)自体を指定したりと、Qタイヤが存在できないようにしているレースも少なくない。

ドラッグレースにおけるスリックタイヤは主にドラスリとよばれ主な会社はミッキートンプソンやグッドイヤーなどである。このタイヤの特徴はラジアル構造ではなくバイヤス構造であることと、コンパウンドが極端にやわらかいことである、 それと空気圧も極端にひくく設定され、タイヤがたわむことでグリップを稼ぐものである。

スリックタイヤの寿命

スリックタイヤには溝がないため、溝の深さをもって寿命を測ることはできない。スリックタイヤの寿命は、まずタイヤの接地面を構成するゴムの磨耗状態で決定され、しばしば「コンパウンドが無くなる」と表現される。この部分が失われるとグリップ力は急激に低下し、タイヤとしての性能を発揮できなくなる。コンパウンドの残量を知るため、スリックタイヤは通常のタイヤのスリップサインに相当する小さな穴が空けられており、この穴が無くなる(穴の深さに相当する部分まで磨耗する)とタイヤの寿命ということになる。

また、いちど使用して高温に晒されたタイヤは、表面の素材の組成が変化することとなり、これがグリップ力の低下を招く。このためコンパウンド自体が残っていても既に本格的な競技には使用できない場合もある。

この他、グリップ力がタイヤ表面の素材に依る所が大きく、製造後時間が経過しているものは未使用であっても性能を発揮できない。これは他のタイヤにも言えることであるが、高性能を要求される競技用タイヤの場合、しばしば「賞味期限」などと呼ばれるこの期間は極端に短い。なお、タイヤ表面に吹き付けて古いタイヤのグリップ力を取り戻す「タイヤソフナー」と呼ばれる薬剤は、多くの公式競技ではタイヤの加工の一種と見なされ禁止されている。

入手に関する注意点

あくまで競技用タイヤであり、しかも一部の競技でしか使用できないことから、スリックタイヤを一般に流通させる必要性は無く、また、法律上は公道で使用可能なSタイヤと違い、装着して公道に出ること自体が違反となるタイヤである。このため日本では、流通自体に自主規制がある。

  • タイヤ自体に「公道では使用できません」と明記されており、他のタイヤとの区別がしやすいようになっている。
  • 多くの場合、特定の(スリックタイヤが使用できる)競技の参加者にしか販売されない。
  • 競技の規則で「スリックタイヤの譲渡は不可」と定めていることが普通である

こうした自主規制により、一般の消費者が容易にスリックタイヤを入手、使用できないようなっている。しかしそのためSタイヤより安価に入手できるという、一見おかしな現象も起きている。

関連項目