「シュール」の版間の差分

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これが日本に紹介された際に「シュールレアリスム」または[[英語]]交じりの誤用で「シュールリアリズム」と呼ばれ、シュールと略されるに至った。しかしシュルレアリスムはシュルレエル(超現実) + イスム([[主義]])からなる言葉なので、たとえば「シュール・レアリスム」と真ん中で切って表記するのは誤りであり、一語であるシュルレエルを「シュール」と切るのは日本語独特の省略法であるとはいえ本来の意味からは外れている。なお、シュルレアリスムをシュールと省略するのは日本のみであるという。
これが日本に紹介された際に「シュールレアリスム」または[[英語]]交じりの誤用で「シュールリアリズム」と呼ばれ、シュールと略されるに至った。しかしシュルレアリスムはシュルレエル(超現実) + イスム([[主義]])からなる言葉なので、たとえば「シュール・レアリスム」と真ん中で切って表記するのは誤りであり、一語であるシュルレエルを「シュール」と切るのは日本語独特の省略法であるとはいえ本来の意味からは外れている。なお、シュルレアリスムをシュールと省略するのは日本のみであるという。


もとは知識人や学生などに限られたシュールという言葉であったが、次第にシュルレアリスムだけでなく、シュルレアリスムを思わせる物事も「シュール」と呼ぶようになり、一般へと広がっていった。この際、シュールの対象が「超現実」から「非現実」「不条理」「幻想」などへずれてしまったのは、シュルレアリスムの作品が奇抜で難解で、非現実的に感じられたからではないかと思われる。特にシュルレアリスムの画家のなかでも、実験的な手法を用いた画家たちより、[[サルバドール・ダリ]]や[[ルネ・マグリット]]のように、夢のように幻想的な世界や有り得ない世界、非日常的な世界を具象的に描いた画家たちの影響が強いと思われる。                             
もとは知識人や学生などに限られたシュールという言葉であったが、次第にシュルレアリスムだけでなく、シュルレアリスムを思わせる物事も「シュール」と呼ぶようになり、一般へと広がっていった。この際、シュールの対象が「超現実」から「非現実」「不条理」「幻想」などへずれてしまったのは、シュルレアリスムの作品が奇抜で難解で、非現実的に感じられたからではないかと思われる。特にシュルレアリスムの画家のなかでも、実験的な手法を用いた画家たちより、[[サルバドール・ダリ]]や[[ルネ・マグリット]]のように、夢のように幻想的な世界や有り得ない世界、非日常的な世界を具象的に描いた画家たちの影響が強いと思われる。       <!--雑多な人名を羅列するべきではない、きりがない         
== シュールな笑いを持つ芸人 ==
== シュールな笑いを持つ芸人 ==
**[[松本人志]]
**[[松本人志]]
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**[[POISON GIRL BAND]]
**[[POISON GIRL BAND]]
**[[ふかわりょう]]
**[[ふかわりょう]]
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/10minnw/012sur.html 10分で分かるシュール]
* [http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/topic/10minnw/012sur.html 10分で分かるシュール]
* [http://f2.aaa.livedoor.jp/~shurude/ シュールなページ2] - シュールを題材に笑いを追及してるサイト


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==

2007年10月23日 (火) 03:41時点における版

シュールとは、「現実離れしたさま」、「普通の理屈では説明できないさま」、「難解で奇抜なさま」、「幻想的なさま」、「意外なさま」など、非日常的なものを指す言葉。語源は、20世紀前半の前衛芸術運動であるシュールレアリスム(シュールレアリズム)から。

シュールレアリズムは長年に渡りナンセンスと混同され続け、現在ではほぼ同義として捉えられるのが普通になっており、以下の解説においても留意されたい。

シュールは以下に述べるように和製フランス語なので他国語に訳することはできない。使用される状況に合わせて適宜「奇抜」「不条理」「不可解」などに言い換えて訳し分ける必要がある。

用例

現在の日本では奇抜で難解なギャグを表現したり、不思議な性格の人を形容したり、不可解な状況に置かれた際に使用される。単に現実離れしているだけでなく、現実を皮肉った、シニカルなものを指すことも多い。 用例としては

など。 今日において、シュールは多様な意味で使われており、もはや日本独自の概念になりつつあるともいえる。

語源

シュールの語源は、第一次世界大戦後に起こったシュルレアリスム(シュールレアリズム、surréalisme、超現実主義)といわれる美術などを中心とする芸術運動で、もとはフランス語である。

第一次世界大戦の多大な戦禍が原因による、人類の技術・精神・歴史などの全否定を行ったダダイズムの嵐が吹き荒れた後、人類の光と闇の部分を等しく受け入れようと言うシュールレアリズムという運動が起きた。シュールレアリズムにおいては、一つの作品が相反する二つの価値観を同時に内包し、どちらかに評価が偏る事なく拮抗している状態が求められる。
第一次世界大戦は、当時までに発達していた人類の文化を全て結集して行われた、ヨーロッパ全土を巻き込む大戦争であった。その戦禍はかつて人類が経験した事がないほどの規模で、当時の人々の生活に大きな爪痕を残した。これに対し、若者達が怒りの声を上げたのがダダイズムである。それまで重んじられて来た科学技術や精神、歴史なども、突き詰めた結果は第一次世界大戦にしかならなかった。ならばそれを全否定しようと言うのがダダイズムである。芸術界にしばしダダイズムの嵐が吹き荒れた後に、冷静になった人々は第一次世界大戦の失敗は、人類がその光の部分のみを大事にし過ぎ、自らの内に潜む醜い部分から目を背けていたためだと主張し始めた。彼等は光と闇の両方が人間の本性であり、どちらか一方のみで人間を語る事は出来ないのだと、一つの作品内にその両方を描いた。シュールレアリズムの誕生である。
シュールレアリスムでは自動筆記コラージュなど偶然性の強い手法を用いて、主観や自意識を排して作品制作を行おうとした。シュルレアリストたちはこうした手法を通し、無意識の世界やの世界、街の中で不意に感じられる奇妙な感じなど、日常生活などの現実(レエル)に隣接した裏側や内側にある「むき出しの現実」、「超現実(シュルレエル)」を露呈させようとした。超現実の超(シュル)とは「超高速」の超である。超現実とは現実を離れていたり非現実であるのではなく、「ものすごい現実」「過剰な現実」「上位の現実」というような意味である。

これが日本に紹介された際に「シュールレアリスム」または英語交じりの誤用で「シュールリアリズム」と呼ばれ、シュールと略されるに至った。しかしシュルレアリスムはシュルレエル(超現実) + イスム(主義)からなる言葉なので、たとえば「シュール・レアリスム」と真ん中で切って表記するのは誤りであり、一語であるシュルレエルを「シュール」と切るのは日本語独特の省略法であるとはいえ本来の意味からは外れている。なお、シュルレアリスムをシュールと省略するのは日本のみであるという。

もとは知識人や学生などに限られたシュールという言葉であったが、次第にシュルレアリスムだけでなく、シュルレアリスムを思わせる物事も「シュール」と呼ぶようになり、一般へと広がっていった。この際、シュールの対象が「超現実」から「非現実」「不条理」「幻想」などへずれてしまったのは、シュルレアリスムの作品が奇抜で難解で、非現実的に感じられたからではないかと思われる。特にシュルレアリスムの画家のなかでも、実験的な手法を用いた画家たちより、サルバドール・ダリルネ・マグリットのように、夢のように幻想的な世界や有り得ない世界、非日常的な世界を具象的に描いた画家たちの影響が強いと思われる。       

外部リンク

参考文献

『シュルレアリスムとは何か』 巖谷國士 ちくま学芸文庫 ISBN 4480086781