塩原牧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

塩原牧(しおばらのまき)は、信濃国小県郡(現在の長野県青木村から上田市浦野地区)に存在した勅旨牧。信濃十六牧の一つ。

概要[編集]

延喜式』から『吾妻鏡』にかけて塩原牧の名が見られるところから、少なくとも10世紀初頭から12世紀末まで存続していたことが確認できる。

「延書式」巻48の左右馬寮式御牧の条には、山鹿牧・塩原牧・岡屋牧・平井弖牧・笠原牧・高位牧・宮処牧・埴原牧大野牧・大室牧・猪鹿牧・萩倉牧・新治牧・長倉牧・塩野牧・望月牧の順に記載されている。

東信地方の新治牧・長倉牧・塩野牧・望月牧が一塊に記載されていることから、記載順には地理的・成立年的などの意味が含まれると解釈し、山鹿牧(豊平村)と同じく八ヶ岳山麓にあった(茅野市米沢地区)とする説がある。[1]

それに対し、「神使御頭之日記」天文5年(1536)正月1日の条に「塩原」、「御頭役請執帳」元亀3年(1572)3月13日の条に、「浦野之塩原之郷」などとあることから、東山道浦野駅にあった(上田市浦野地区~青木村)とする説もある[2]

上田市浦野には日本三代実録に記載がある馬背神社が存在し、青木村には子檀嶺神社・子檀嶺岳(こまゆみ=駒弓)があるなど、現在にも僅かに名残が残っている。

文献[編集]

  • 上田市誌 歴史編(3)東山道と信濃国分寺

脚注[編集]

  1. ^ 吉田好謙「信濃地名考」『新編信濃史料叢書』
  2. ^ 黒坂周平・小池雅夫「塩原牧」『長野県の地名・日本歴史地名体系20』平凡社

関連項目[編集]