ロバート・A・ハリス
ロバート・A・ハリス (Robert A. Harris) は、映画史研究者、映画の保存修復 (film preservation) の専門家で、ニューヨークに拠点を置く、古典的映画の修復、復元を専門的に行う企業 The Film Preserve Ltd のオーナー[1][2]。
古典的映画の修復
[編集]ハリスはこれまでに、ジェイムズ・C・カッツとの共同作業により、『アラビアのロレンス』(1989年修復)、『スパルタカス』(1991年修復)、『マイ・フェア・レディ』(1989年修復)、『めまい』(1996年修復)、『裏窓』(1998年修復)などの修復を手がけてきた。
2006年には、『ゴッドファーザー』と『ゴッドファーザー PART II』の修復に関わった[3] 。
2010年、ハリスは映画制作技術における視覚効果に関する業績に対し、国際プレス・アカデミーからニコラ・テスラ賞を贈られた[4]。
2013年、ハリスは、『おかしなおかしなおかしな世界』ロードショー版の復元を完成させた。
2014年から2015年にかけては、『スパルタカス』や『マイ・フェア・レディ』のデジタル復元作業を指揮し、さらにレニ・リーフェンシュタールによるプロパガンダ映画の傑作『意志の勝利』のデジタル復元を監修した。『マイ・フェア・レディ』の修復では、現存する65mmプリントから、フレームごとに、8Kフォーマット (8K resolution) でデジタル化した上で修復加工し、4Kフォーマットの素材を作成する作業が重ねられ、100万ドル近い費用が投じられたという[5]。
その他の映画への関わり
[編集]ハリスは、マーティン・スコセッシとともに1990年の映画『グリフターズ/詐欺師たち』の製作にあたったほか、脚本も数本手がけ、アーネスト・シャクルトンを取り上げた『Endurance』や、イギリスの飛行船R101を取り上げた『Airship Empire』をプロデューサーのウェンディ・ウィンクス (Wendy Winks) とともに完成させた。『Airship Empire』は、ハーストに、『Endurance』は USA Films(フォーカス・フィーチャーズの前身)に採用されたが、結局いずれの作品も製作されなかった。
ハリスは、業界関係者のフォーラムである「Home Theater Forum」に定期的に寄稿している。
脚注
[編集]- ^ Getting It Right: Robert Harris on Colour Restoration
- ^ “Williamsburg: the Story of a Patriot” restored
- ^ American Cinematographer: Post Focus: Paramount Restores "The Godfather"
- ^ “International Press Academy to Honor Motion Picture Preservationist”. 2016年2月7日閲覧。
- ^ “オードリー・ヘプバーンの名作『マイ・フェア・レディ』が最新デジタルリマスター素材で劇場上映”. CD Journal (2015年10月6日). 2016年2月7日閲覧。
関連文献
[編集]- AV Club Interview, March 2000
- Remastering a Masterwork: Restoration of The Patriot
- Robert A. Harris' Statement at the Film Preservation Study: Washington, D.C. Public Hearing, February 1993
- eFilmCritic: Robert A. Harris On Restoring "The Godfather"
外部リンク
[編集]- ロバート・A・ハリス - IMDb
- Yellow Layer Failure, Vinegar Syndrome and Miscellaneous Musings: Harris' column at The Digital Bits (2002-2009) (NOTE: site archive; hyperlinks have to be manually modified to view them)
- Harris on Home Theater Forum