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ミリアム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
神を賛美するミリアム。

ミリアムヘブライ語: מִרְיָם‎ (Miryam), ラテン語: Miriam, 英語: Miriam)は、『旧約聖書』に登場する女預言者コハテの子アムラムレビの娘ヨケベドの娘で、モーセアロンの姉である[1][2]。(「ミリアムとアロンはモーセとは母が違う異母姉・異母兄」とする説もある[注釈 1]。)

概要

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イスラエルの民を率いてモーセがエジプトを脱出した時、追いかけてきたファラオの軍勢が紅海に飲み込まれた後で、ミリアムは小太鼓[4]を手にとり、踊りながら歌い従い来る女たち皆の音頭をとって、賛美する歌を歌った[5]

荒野を放浪した民がヘツェロトにいたとき、モーセの兄アロンとミリアムはモーセがクシュ人の女性を妻にしたことを非難する。モーセは反論しなかった。ミリアム、アロン、モーセは神の臨在の幕屋の前に呼ばれる。雲の柱の形であらわれた神はモーセを非難したアロンとミリアムに対して怒りを表して去っていく。ミリアムは瞬時にして重い皮膚病にかかり、全身が白くなる。アロンとミリアムは自分たちの行いを悔いる。アロンがモーセに許しをもとめたため、ミリアムは神の指図によって1週間宿営から隔離された後、元の宿営に戻ることができた[6]

ミリアムはツィンの荒野のカデシュの地でなくなったという[7]

なお、マリアという女性名はミリアムのアラム語読みに由来する。

脚注

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注釈

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  1. ^ 『出エジプト記』のモーセ誕生の話(第2章)では「(モーセの母が)結婚して妊娠して男の子(後のモーセ)を生んだ」とモーセが第一子のような書かれ方をしている<第1・2節>が、直後の第4節にモーセの姉が出てくること、前後の話が並行的な内容ではないことや姉の話がこのエピソードの中心のため、異説統合や後世の付け足しによる矛盾と考えにくいことから「母にとっては第一子だが父にはすでに子供がいた」と解釈するものである。
    また、第15章20節の歌う所でも(モーセがそばにいるのに)「アロンの姉妹」として扱われ、モーセよりもアロンと直接結ばれている[3]

出典

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  1. ^ ミリアム」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』コトバンク
  2. ^ 『レクラム版 聖書人名小事典』p.265
  3. ^ 関根正雄 2007, p. 122註(注:出典の本での表記は「ミルヤム」).
  4. ^ 新共同訳聖書』による。『口語訳聖書』によればタンバリン
  5. ^ 出エジプト記』15:20-21
  6. ^ 民数記』12:1-16
  7. ^ 『民数記』20:1

参考文献

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  • ハンス・シュモルト 著、高島市子 訳 『レクラム版 聖書人名小事典』 創元社、2014年9月20日初版。
  • 関根正雄『旧約聖書 出エジプト記』株式会社岩波書店、2007年第42刷(第1刷は1969年)。ISBN 4-00-338012-6 

外部リンク

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